お気に入りの公園を見つけた。

会社の同僚と昼を過ごすのがいよいよしんどくなってしまった私は、以来お昼ご飯はお弁当を適当に買い、公園で食べることにしている。

何に対してもイライラしてしまい、どうにもストレスだらけになってしまう私にとって、昨今はこの昼休みの公園こそが唯一の安らぎの場所となってしまった。


公園に入るとすべり台の奥にベンチがあり、ここが私の定位置である。

気持ちとしては専用シートだ。



この場所は最高だ。


実はここからは向かいで営業しているドトールの店内がまる見えなのである。



ドトールの店内ではこのお昼の時間、非常に混雑していて店員さんが忙しそうにしている。


その店員さんのひとりがとにかくめちゃくちゃカワイイ。本当にカワイイ。

昔、彼氏彼女の事情で主人公の宮沢をイジメていたマホさんだかなんだかに似ている。名前がはたしてマホさんであっているのかどうかはあやしいが似ている。

30手前の歯科衛生士をストーキングしたり、宮沢の父親をドロ2→ワイルドカード→すみません、UNOです。の鬼畜コンボで沈めたりした作中が懐かしい。


彼女の表情はやや暗く、サービス業にしては無愛想な雰囲気すら漂わせている。


だがしかし誰よりもひたむきに仕事に打ち込み、てきぱきと作業をこなし、時折みせるその本当に微かな笑顔に私
はすっかり心を奪われてしまった。


なんて幸せな時間なのだろうか。


世間はコロナだなんだと騒ぎ、国民は安全を奪われ、目の前の飲食店では猫の手も借りたいような状況だ。

それなのに私はお気に入りの子を眺めながら弁当を食べている。


至福だ。一歩間違えれば犯罪に落ちかねないけども。


そのドトール店員と付き合おうと画策するわけでもなく、ただただ外から「おっ?テーブルを拭くのか・・・ちゃんとキレイにしてあげるんだよ」などと思いながら見守ってあげているわけだから危険性と隣合わせの狂気もある。


もしこの瞬間に大震災が発生したら、手にしたおにぎりをかなぐり捨て、真っ先に彼女を救いにドトールへ飛び込むだろう。

「ケガはないかい?素敵なお嬢さん」


その光景を30回ほど脳内で再現し、妄想している。




にしたって本当に会社に居場所がない。

トイレすら行きたくない。

これはわりと、結構まずい事態だ。