小学生の頃、担任の教育方針で毎月道徳の授業の際に身体に障碍を持った方が授業にきていた。


『とにかく障碍者はハンディキャップじゃない。彼らは明るく生きているということを教えたい』と担任だったおばちゃんは息巻き、
それに伴い毎月やたら明るい障碍者が学校にやってきた。

この授業が本当に苦痛だった。

誤解ないよう明言しておくが、障碍者の方の話が苦痛であるとかそういうことではない。

とにかくこの担任がこの授業に関しては厳しく、アクビや居眠りなど以ての外で、少しでも俯いたりするだけで『ちゃんと聞いてるのか!』と怒号を飛ばされ、容赦なく公開叱責を受けることになるのが本当にしんどかった。

2時間ぶっ通しの授業を狭い教室でなぜか整列状態で聞かされるので、小学5年生の私達にはなかなか体力的にもきつく、疲れた態度をとるのはやむをえなかった。

にも関わらずあっと言う間に疲労感ある生徒を見つけるや否や、担任は激怒し、全員の前に立たされ『あなたは障碍者をバカにしているのか!』と怒鳴られる。

疲れているだけなのだが、罵倒は容赦なく、とにかく障碍のある人間をバカにしたという罪で裁いてくるのだ。

その公開説教が苛烈さを極めるたびに障碍者が『まあまあ。私は気にしてませんから』と慰め、それを聞いた担任が『謝りなさい』と要求し、障碍者に「馬鹿にしたような態度で申し訳ありませんでした」と謝る。ここまでが1パッケージ。

地獄のようなこの展開に、私は心底うんざりし、勝手に障碍者が嫌いになっていった。


担任は何度も何度も乙武洋匡の五体不満足を読んでくるという宿題を私達に課し、計5回に渡り感想文を書かされた。

正直読むのもうんざりしていて、‟僕はサッカーできます“あたりまでしか読まずに、なんとなくで感想文を書いた。

担任がバイブルのように復唱する部分を適当に引用すれば、いとも簡単に花丸がもらえる。


本当にバカバカしい。


『乙武さんは生まれたときに五体が不満足だった。それでも乙武さんのお母さんは生まれてきたその姿をみて、‟なんてかわいいんだろう“と喜んだ。それで乙武さんは明るく、ハンディキャップを感じさせない男の子に育ったのよ。素晴らしい!』

担任は何度も言った。

それをどれだけ耳にしても「かっこいい車いす乗ってるなあ」しか感じなかった。








きたる7月10日の参院議員選挙に乙武氏は出馬する。

もう何年も前になってしまうが、以前は自民党から出馬する直前で5股が発覚し全て白紙になってしまったので念願叶ってというところだろう。

未だに5股騒動が生々しい乙武氏ではあるが、私自身はその騒動に関して好意的に受け止めている。

そもそも不倫は当事者たちとその関係者内でのクローズドな問題であるべきだ。
当然悪者がいて被害者もいるが、それを我々が糾弾する意味はないと思っている。


賛否は別として、彼の「妻でなく、母親になってしまった」はなかなかわかりやすかったし、
一緒に写っている浮気相手とされる女性が皆美人だったのも驚きだった。


活力にあふれ、話術巧み、そしてマメ。肉食男子。


豪快じゃないか。個人的にはちょっとかっこいいとさえ思えた。


あの時の担任の先生はその騒動に何を思っただろうか。


『障碍はハンディキャップじゃない!』を唱え、乙武氏の健常者と比類ない性格と行動を賞賛していたが、まさに5股不倫なんてそれの体現ではないか。

批判するにしても賞賛するにしてもあの教育の正解ですね先生。よかったよかった。僕らも公開説教された甲斐がありますよ。



まあ多分参院選は負けるでしょう。



ちなみに生まれたときに障害のある乙武氏をみて母親がかわいい!と言ったエピソードは偽りであるとご本人が仰ってました。
母親は布にくるまれた乙武氏をみたので、その段階で障碍があることに気が付かなかったそうです。

なのであのエピソードは虚偽だと。

でも結局愛情をもって乙武氏を育てたのはよくわかりますから、そんな嘘はどうだっていいと思っています。