東北に住む母がたの祖母が90歳を迎えた。

私としては100歳、110歳とまだまだ生きてもらいたいところだが、90歳となると高齢は高齢である。

私が住んでいるのが東京なので、気軽に会える距離ではない。

会えるうちに会っておいたほうがいい、と母親に告げられ、私は8月、実に8年振りに東北の地を訪れることになった。


なんて楽しみなのだろうか。


無駄に東北が好きだ。


何がという理由もなければ、アナザースカイと呼べるような場所でもない。

それでもなぜか私は東北が好きなのだ。

沖縄よりも西日本よりもハワイよりもグアムよりも東北が好きだ。


呪術廻戦で釘崎野薔薇が登場した回、東京に憧れる彼女は『駅まで車で2時間、そこから新幹線で3時間でようやく東京に着く』と語っていたが、我が家もドンピシャで東京まで同じ時間を要する。

俺ん家がモデルになってるんじゃねえか?とすら思った。


なんなら私も座敷童子くらいならみたことがある。


だがその距離と時間も、妖怪すらも、私には愛しいのだ。