2014年公開の劇場版名探偵コナン、異次元の狙撃手を忘れない。
狙撃手というワード、予告の段階でチラつく黒の組織の存在が、嫌でも劇中の重要キャラクターである赤井秀一の登板を期待させた。
原作で赤井秀一が来葉峠で肺を撃たれ、含みのある会話の後に頭を撃ちぬかれ生死不明となったのが2007年。
7年の時を経て、何度も考察にあがり続けた赤井秀一のなんらかの痕跡がこの劇場版作品で観れるのではないかと我々はワクワクした。
作品は開始早々に黒の組織の登場の可能性がなくなり少しばかりガッカリした館内の空気の中、徐々に徐々に、我々が想像しているよりも色濃く見える赤井秀一の痕跡。
そして最後のシーン。
沖矢昴が静かに発したのだ。
「了解」
と。
この瞬間、上映中の映画館とは思えないざわめきが怒り、中には思わず席を立ち上がる人もいた。
それは前述の通り、7年以上も不明であった赤井秀一の生存と正体が確定した瞬間だった。
これがあるから名探偵コナン劇場版を見逃すわけにはいかないんだよ。
昨年緋色の弾丸を観賞し、心の中でかつての友人である鹿間にそう私は呟いた。
鹿間とは2004年から2010年までの6年間、一年に一度だけ会い、名探偵コナン劇場版を観た。
テレビCMでコナンが流れる度に、「そろそろ会う季節ですね」と連絡をとり、コナンを観終わると「また来年」と言い別れる。
そんなアホみたいな友情を6年も続けたのだ。
しかしそれは、互いに社会人になると同時に、どちらからともなく失われることになった。
社会がしんどすぎて、コナンどころではなくなってしまったのだろう。
数年後、Facebookで互いの近況を知った。
昔は軽口を叩き合いながら仲良く会話もしていたものだが、妙に仰々しいネット上での再会だった。
薬剤師を目指していたはずの鹿間は、明らかにマルチ商法の会社に就職していた。
一目みて「あ、これはマルチですね」となるお決まりのプロフィール充実が香ばしく、投稿はやたらと意識の高いおじさん達との登山写真に溢れ、象徴的な「私があなたに紹介して、あなたが友人に紹介して、その友人が別の友人に紹介して」のチャート図が踊っていた。
好きな著書「金持ち父さん、貧乏父さん」が光る。
結局私は彼の投稿に対し、「おい、俺もマルチにかませてくれや」「おい、お前の周囲のおっさん、何枚舌あんねん」「おい、お前山登るな。海行け。海」「おい、お前マルチで稼いだ金、競馬で溶かすってそれもう内側から反旗翻してるようなもんだぞ」と地獄のような鬼クソリプをラッシュすることになり、彼にブロックされた。
こうして彼と私の友情は終わったのだ。
だがいまでも、年に一度彼を思い出す。
30も半ばの年齢になってしまったが、また一緒にコナンを観に行きたいと思う。
そしてまた、彼のマルチ生活をこれでもかとバカにしたいとも思う。
鹿間はいま、何をしているだろうか。
いまもコナンを観ているか?
もう黒の組織のボスの正体出たんだぞ。
あの頃、きっと未完で終わるなんて冗談めいてたけど、まさか10年以上経ってこんなに話が進むとは思わなかったよな、逆に。
あの日、異次元の狙撃手のラストシーンを観て、一緒に「え!?確定じゃん!!」と叫びたかったよ俺は。
いつかくる再会の日を、心より待つ。
狙撃手というワード、予告の段階でチラつく黒の組織の存在が、嫌でも劇中の重要キャラクターである赤井秀一の登板を期待させた。
原作で赤井秀一が来葉峠で肺を撃たれ、含みのある会話の後に頭を撃ちぬかれ生死不明となったのが2007年。
7年の時を経て、何度も考察にあがり続けた赤井秀一のなんらかの痕跡がこの劇場版作品で観れるのではないかと我々はワクワクした。
作品は開始早々に黒の組織の登場の可能性がなくなり少しばかりガッカリした館内の空気の中、徐々に徐々に、我々が想像しているよりも色濃く見える赤井秀一の痕跡。
そして最後のシーン。
沖矢昴が静かに発したのだ。
「了解」
と。
この瞬間、上映中の映画館とは思えないざわめきが怒り、中には思わず席を立ち上がる人もいた。
それは前述の通り、7年以上も不明であった赤井秀一の生存と正体が確定した瞬間だった。
これがあるから名探偵コナン劇場版を見逃すわけにはいかないんだよ。
昨年緋色の弾丸を観賞し、心の中でかつての友人である鹿間にそう私は呟いた。
鹿間とは2004年から2010年までの6年間、一年に一度だけ会い、名探偵コナン劇場版を観た。
テレビCMでコナンが流れる度に、「そろそろ会う季節ですね」と連絡をとり、コナンを観終わると「また来年」と言い別れる。
そんなアホみたいな友情を6年も続けたのだ。
しかしそれは、互いに社会人になると同時に、どちらからともなく失われることになった。
社会がしんどすぎて、コナンどころではなくなってしまったのだろう。
数年後、Facebookで互いの近況を知った。
昔は軽口を叩き合いながら仲良く会話もしていたものだが、妙に仰々しいネット上での再会だった。
薬剤師を目指していたはずの鹿間は、明らかにマルチ商法の会社に就職していた。
一目みて「あ、これはマルチですね」となるお決まりのプロフィール充実が香ばしく、投稿はやたらと意識の高いおじさん達との登山写真に溢れ、象徴的な「私があなたに紹介して、あなたが友人に紹介して、その友人が別の友人に紹介して」のチャート図が踊っていた。
好きな著書「金持ち父さん、貧乏父さん」が光る。
結局私は彼の投稿に対し、「おい、俺もマルチにかませてくれや」「おい、お前の周囲のおっさん、何枚舌あんねん」「おい、お前山登るな。海行け。海」「おい、お前マルチで稼いだ金、競馬で溶かすってそれもう内側から反旗翻してるようなもんだぞ」と地獄のような鬼クソリプをラッシュすることになり、彼にブロックされた。
こうして彼と私の友情は終わったのだ。
だがいまでも、年に一度彼を思い出す。
30も半ばの年齢になってしまったが、また一緒にコナンを観に行きたいと思う。
そしてまた、彼のマルチ生活をこれでもかとバカにしたいとも思う。
鹿間はいま、何をしているだろうか。
いまもコナンを観ているか?
もう黒の組織のボスの正体出たんだぞ。
あの頃、きっと未完で終わるなんて冗談めいてたけど、まさか10年以上経ってこんなに話が進むとは思わなかったよな、逆に。
あの日、異次元の狙撃手のラストシーンを観て、一緒に「え!?確定じゃん!!」と叫びたかったよ俺は。
いつかくる再会の日を、心より待つ。