自宅のある場所のJRの最寄り駅から徒歩1分の場所に、Uというキャバクラがある。
一見なんの変哲もない普通のキャバクラに見える、というよりはほんとに普通のキャバクラなのだろうが、ここの評判が昔からとても良い。
大学生の時に地元の友人達とお酒を飲み交わした際にも、「駅前のUって知ってる?あそこめっちゃ良いらしいよ」と誰かが言っていた。
あの頃の私達は学生故、キャバクラに行くお金なんかなかったために誰もよしこの後行ってみようぜ!とはならなかった。
それから数年後、社会人になりまた同じ地元の友人とお酒を飲んでいたところ、彼が「この後キャバでもいく?」と誘いをかけてきた。
私は真っ先にUを思い浮かべたのだが、どうやら友人も同じ考えらしく、ついにUに行こうという流れになった。
しかし。
店を出て数分であっという間にキャッチに捕まった私達は「もういく店が決まってるので」と断ったにも関わらず、驚異的な粘りに屈しかけてしまった。
「お兄さん達、30〜40の女と、ピチピチの10代、どっちが良いんですか!?うちは10代ですよ!」
強く訴えるキャッチ。
私は本当の本当に30〜40の女性がドストライクなのだが、友人の手前ということもあり、なぜか気取りながら
「よし。10代いっちゃいますか!」
とチャラけてしまった。
すぐに友人が「ぇ、ええ?」と狼狽したが、「まあそう言うなら」と強く反対することもなかったため結局その10代の店に行くことになり、Uには行かなかった。
(10代の店は店でそれなりに楽しかった)
あれから今日に至るまで、Uには行けていない。
いまは金は一応なくはないし、時間もある。
足が前に出さえすればいける。
けれどもまだ至っていないのだ。
まず第一に一緒に行く人がいない。
地元の友人達となると会うことなんてほぼない。
そんな中で1人でキャバクラに行って遊ぶ。
…結構ヤバいでしょ。
1人でキャバクラはまりだしたらヤバいでしょ。入り口でしょ。
そして何より、年齢を重ねれば重ねるほどキャバクラというものへの不毛感が高まっていく。
たとえばキャバ嬢と付き合えるなんてことがあればそれは最高であるが、そんなことはもうほぼ100%無い。
嘘と短い幻想の中で、希少な実弾だけが消費されていく。
そう思えてしまえるくらいに、社会を経験してしまった。
いままさに、行くべきという感情と行かないべきという感情がぶつかり合い、混ざり合っていく。
現実的な目線で考えれば行かないにこしたことはないものの、非現実的な月の欠片を求めるのであれば、Uに行くのは使命だ。
現実と非現実であれば現実を選ぶのが正しいに決まっているが。
でもそういうことってあるでしょう?
男なら不毛とわかっていても足を踏み入れなければならない時がある。わりとある。むしろ言い訳として成立するくらいある。
今日も私はUの前を通り、自宅に帰る。
店の前を通ると昔の同級生が、客の見送りでドレス姿で現れる。
彼女は私に気づくと、バツの悪そうな表情で軽く微笑む。
私はそれに気付いていないような素振りで店の前を通過する。
後日、店先で彼女が立っている。
『久しぶり』
「このお店で働いてるの?」
『まあ…ちょっとね』
「ドレス似合ってる。綺麗だよ」
『ほんと?ありがとう。良かったら今度飲みにきてね』
「絶対行くよ。この店に入ってみたかったんだ」
『え、うそ、なんで??』
「なんだか昔からこの店に入らなければならない理由があった気がするんだ。今日ようやくわかったよ。その理由は、キミに出会うためだ」
『…』
なーんて展開あるわけねえわくそ。
妄想もたいがいにしとけばーかやろこのやろうめ!
一見なんの変哲もない普通のキャバクラに見える、というよりはほんとに普通のキャバクラなのだろうが、ここの評判が昔からとても良い。
大学生の時に地元の友人達とお酒を飲み交わした際にも、「駅前のUって知ってる?あそこめっちゃ良いらしいよ」と誰かが言っていた。
あの頃の私達は学生故、キャバクラに行くお金なんかなかったために誰もよしこの後行ってみようぜ!とはならなかった。
それから数年後、社会人になりまた同じ地元の友人とお酒を飲んでいたところ、彼が「この後キャバでもいく?」と誘いをかけてきた。
私は真っ先にUを思い浮かべたのだが、どうやら友人も同じ考えらしく、ついにUに行こうという流れになった。
しかし。
店を出て数分であっという間にキャッチに捕まった私達は「もういく店が決まってるので」と断ったにも関わらず、驚異的な粘りに屈しかけてしまった。
「お兄さん達、30〜40の女と、ピチピチの10代、どっちが良いんですか!?うちは10代ですよ!」
強く訴えるキャッチ。
私は本当の本当に30〜40の女性がドストライクなのだが、友人の手前ということもあり、なぜか気取りながら
「よし。10代いっちゃいますか!」
とチャラけてしまった。
すぐに友人が「ぇ、ええ?」と狼狽したが、「まあそう言うなら」と強く反対することもなかったため結局その10代の店に行くことになり、Uには行かなかった。
(10代の店は店でそれなりに楽しかった)
あれから今日に至るまで、Uには行けていない。
いまは金は一応なくはないし、時間もある。
足が前に出さえすればいける。
けれどもまだ至っていないのだ。
まず第一に一緒に行く人がいない。
地元の友人達となると会うことなんてほぼない。
そんな中で1人でキャバクラに行って遊ぶ。
…結構ヤバいでしょ。
1人でキャバクラはまりだしたらヤバいでしょ。入り口でしょ。
そして何より、年齢を重ねれば重ねるほどキャバクラというものへの不毛感が高まっていく。
たとえばキャバ嬢と付き合えるなんてことがあればそれは最高であるが、そんなことはもうほぼ100%無い。
嘘と短い幻想の中で、希少な実弾だけが消費されていく。
そう思えてしまえるくらいに、社会を経験してしまった。
いままさに、行くべきという感情と行かないべきという感情がぶつかり合い、混ざり合っていく。
現実的な目線で考えれば行かないにこしたことはないものの、非現実的な月の欠片を求めるのであれば、Uに行くのは使命だ。
現実と非現実であれば現実を選ぶのが正しいに決まっているが。
でもそういうことってあるでしょう?
男なら不毛とわかっていても足を踏み入れなければならない時がある。わりとある。むしろ言い訳として成立するくらいある。
今日も私はUの前を通り、自宅に帰る。
店の前を通ると昔の同級生が、客の見送りでドレス姿で現れる。
彼女は私に気づくと、バツの悪そうな表情で軽く微笑む。
私はそれに気付いていないような素振りで店の前を通過する。
後日、店先で彼女が立っている。
『久しぶり』
「このお店で働いてるの?」
『まあ…ちょっとね』
「ドレス似合ってる。綺麗だよ」
『ほんと?ありがとう。良かったら今度飲みにきてね』
「絶対行くよ。この店に入ってみたかったんだ」
『え、うそ、なんで??』
「なんだか昔からこの店に入らなければならない理由があった気がするんだ。今日ようやくわかったよ。その理由は、キミに出会うためだ」
『…』
なーんて展開あるわけねえわくそ。
妄想もたいがいにしとけばーかやろこのやろうめ!