最近になってようやく池田エライザが池田イライザではなく池田エライザであることに気がついた。

なんらかのSNSに池田エライザの魅力について投稿を行ったものの、それは全て池田イライザになってしまっているので至急直さなければ!と意気込んだものの、一体全体自分がどのSNSに池田イライザを放ったのか全く思い出せない。

だがいずれにせよ、池田エライザがとんでもなく素敵であることは明白である。



椎名慎司が帰ってきた。

消息を経って久しかった椎名慎司は、某SNSで躍動していた。


とあるエロ自撮りを多くアップする45歳のおばちゃんが『職場の若い女の子は声掛けをしない。私の後ろを通るときは後ろ通ります!と声を出してくれないと。なんでそんな簡単なことができないのか。挨拶もロクにしないし』というというブログを投稿していた。

それはあんたが嫌われてるだけなんじゃ…となんとなく真相っぽい答えを導き出しつつもそのブログに寄せられたコメントを読んでいると

「おつかれさまー!
声掛けは労働環境としての安全性の確保と連携の円滑化の為には必要だし、そこに「目があるから見れば分かる理論」は通用しなくて、鼓膜も声帯もあるんだから全部使って働かないとダメだっていう認識が無いのかもね…(´・ω・`)

食器が割れる瞬間の最大のリスクって破片が勢いよく目に刺さる事にある筈で、そこ理解してたら「相手の死角を通る時は絶対に声掛けないと!(常に声出ししないと!)」ってなると思うけど。。。
まずその人、頭使った方が…いや、何でもないw」

と、やたらこのエロいおばちゃんの味方に立つものがあり、一体どんなやつがこんなリプライをしているのかと確認してみると椎名慎司だった。




あの日の椎名慎司は口をきいてくれなかった。

私のことをどう思っていたのかはわからないがとにかく口をきいてくれなかった。

だが、同席した唯菜嬢はよくしゃべった。

唯菜嬢は自身が務める会社の倉庫で、制服をはだけたりする卑猥な自撮りをSNS上にアップしており、それは私をおおいに興奮させた。

同時に唯菜嬢が話せば話すほど、椎名慎司は閉口していった。    

その数分後、私は自身が床に落としてしまったおしぼりを拾おうと身をかがめた際、テーブルの下で手を繋ぐ椎名慎司と唯菜嬢を目にした。

ああ。付き合っているのか。

それがわかると、なんとなくではあるが、閉口する椎名慎司が愛しく思えた。



7年後、唯菜嬢は私に言った。

『あのクソ虫はちり紙と一緒に全部便所に流しました』

椎名慎司はあの日、私に職業を写真家と名乗っていたが、その実態はヒモだった。

たしかに写真を撮ったりはしているが、たまにコンテストに応募する程度で、稼ぐほどのことはやっていないそうだ。


『写真だってね、とりあえず白黒にしたり薄い色にしたりしてるだけですから。誰だってできるわ』


唯菜嬢はとにかく辛辣だった。彼らが別れるにあたって、好意を敵意が凌駕した結果であることは聞かずとも明白だった。


『きいてよ。あのクソ虫。私の財布からカード抜いて勝手に使ったんだよ!?バレるでしょそんなの』

「何を買ったんだい?そのカードで彼は」

『すんごいハイレグなブーメランパンツを大量に買ってたんだよ!‟仕事で出張する“ってなんで派遣バイトが出張すんだよって思ってたら地方の海でブーメランパンツはいてナンパしてたんだよ??』

「写真を撮りたかったんじゃないの?鉄人社とかに投函するために・・・」

『カメラ置いてったよあいつは!!!』


結局そのブーメランパンツについて問い詰めたところ、彼はまさかの黙秘権を行使。

うつむき続け一切の釈明を行わなかったため、愛想の尽きた唯菜嬢により家を追い出されたそうだ。

『偉そうなことばっかり言ってたくせに、横領ブーメランパンツについてはダンマリってダサすぎるでしょ』

強く憤り、憎しみのこもった唯菜嬢の一言が印象的だった。



そんなブーメランパンツ椎名慎司が帰ってきた。

おそらく引続きクレジットカードを不正使用しブーメランパンツについては黙認したまま帰ってきた。

いまやオッサンしか使わないような顔文字を駆使しながら帰ってきた。

しかし私は何も言うまい。

言いたいことは多々あるのでこのように日記にしてしまっているが本人には何も言うまい。

その理由は単純に揉めるのが嫌だからではある。

久々に見た彼の写真は相変わらず白黒だった。

シャボン玉が宙に舞っている写真のようだが、如何せん白黒なのでよくわからなかった。

写真に添えた彼の言葉がこれだ。

【飴子の隠し味が「塩」であるように、女性の隠し味も「女の子っぽさ」とかなんじゃないかと思う】

うぇーい。

いったいお前は何を言ってるんだ。

この上ねぇなオイ。


私はブーメランパンツをネットで検索してみた。

それは、常人では到底人前で着用できないものだった。