炭熾る微けき音せる いろり端語り部ゆるり話し始めぬ
霙まじる風吹きおろす遠野路に祭りのあとの旗翻る
旅篭屋を背にして立てる胸像の羽織の肩に落ち葉降り懸る
茅葺きの軒に吊りある唐辛子時雨の風の揺らし過ぎたり
手織機板の間に据え裂き織りする女の手もと飽かずながめぬ
紅葉映る池の辺りの草むらに都落ち来し人の塚あり
池の端に引き揚げられし御座船の船腹みせて彩色褪せぬ
中尊寺紅葉の映える坂の辺に落武者たちの無縁塚ならぶ
黄金の仏陀拝みて御堂出づいろはもみじの鮮やけき赤
緋の法衣つけて延年の舞を観ておりぬ管長さまの錫杖光る