集中を高めるカズマを余所に、杏子はマミを心配して話しかける。
「どういうつもりだ?」
「なにがかしら」
「あのチンピラと合体技って話だよ!」
「あら佐倉さん」
「んだよ」
「妬いてるの?」
「は、はぁ!? バッカ、んなわけあるか! もう! 勝手にしろよ!」
赤面する杏子を見て、
マミは優しく微笑んだ。
「ありがとう。なんだか緊張が解けたわ」
その笑顔を向けられて、杏子はなぜか、逆に緊張したような感情を覚えた。
「こっちは準備OKだ!」
「こっちも行けるわ!」
二人の言葉にハッとして、見守るしかない自分に、杏子は歯噛みした。
「さぁ! 行こうぜ!!」
カズマの指が順に折り畳まれていく。同時、周囲の物質が音を立て砕け散った。
「オオオ……!」
虹色の粒子がマミのマスケット銃をも飲み込んで、粒子分解されていく。
その瞬間にほんの少しだけ身を引いて――
しかし、分解された『自分のマスケット銃』に意識を集中させる。
「さあ!行って、カズマさん!」
「ウオオオオ……!!」
カズマの唸り声を合図に、右手がアルター化した――シェルブリットには、
瀟洒な彫刻が彫られていた。
「アアアア!」
当の本人が気に留める素振りはなく、シェルブリットの羽根が回転し、高速に達した。