「地獄童子!」
思わず、鬼太郎はその背中に駆け寄った。
「地獄童子、良かった。無事だったんだな!」
肩に手を置くと、ゆっくりと地獄童子は振り返った。
「…」
「鬼太郎の仲間…だったのか?」
「地獄童子、この森には宇宙妖怪が潜んでいるんだ。覚えているだろう?
あの時、僕達が戦った連中さ」
「…」
しかし、地獄童子は鬼太郎の問い掛けに答えず、黙ったままでいる。
「地獄童子?」
「おい零児、様子がおかしいんとちゃうか?」
「何だ? 嫌な予感が消えねえ…ん!?」
「なぁ、何とか言ってくれよ、地…」
「鬼太郎、そいつから離れろ!」
不穏な静寂を破ったのは、えん魔。
「妖能力! 火炎爆弾ッ!!」
「うわっ!?」
地獄童子目がけて放たれた火の玉。鬼太郎と地獄童子はそれぞれ反対側に飛び退いて、直撃を免れた。
「何をするんだ、えん魔くん!?」
「そいつの影を良く見てみろ、鬼太郎!」
「影…あっ!?」
地獄童子の足元に伸びる影。それは…人の形を成していなかった。
「…」
気づかれるや否や、
それまで無表情だった地獄童子は不気味な笑みを浮かべ、ドロドロに溶けてしまった。
「こ、こいつは…!?」
再び、その形が再構成される。その姿は。
「宇宙妖怪…!!」
そう、あの時。
『まだ生きていたのか! 鬼太郎! このしつこい奴は俺に任せて、お前は元の世界に帰るんだ!!』