「大丈夫なのか?」
「こいつはまだあと一発撃てる。それだけありゃ十分だ。よっ!」
カズマは走行中のバギーから飛び降り、地面スレスレで拳を撃ちつけて着地した。
「あいつ、あの腕…」
異変を感じ、ワイルドタイガーもサイドカーを停止させる。
「NEXT? いや、アルター使いか。HOLY隊員…」
「…ってわけじゃあなさそうだな、どう見ても」
「ぃよォ。アンタ、NEXTだろ? ヒーローごっこで金もらってる」
カズマの挑発。
「…何?」
「気に要らねえな。てめえらNEXTも、やってる事はHOLY野郎どもと大差無え。
正義、正義と、守られた環境でヌクヌクやりやがって。激しくムカつくぜ」
「誰だか知らんが、お前がどう思おうとお前の勝手だ。俺はヒーローポイントにも、地位や名誉って奴にも、それほど興味は無え。
俺はこのNEXTの力で、困ってる人や助けを求めてる人を守れりゃそれでいい。それが、ヒーローってもんだと思ってる」
「抜かせよ、この! それがムカつくってんだ!!」
「てめえは、この街の外にある掃き溜めみてえな世界を知らねえからそんな事が言えるんだよ!
壁をひとつ越えりゃ、そこは裏切り裏切られの地獄さ。弱い奴から先に死んで行く。
誰も気に留めない、誰にも悲しまれない、そんな場所なのさ。俺はそこで生きて来た。ガキの頃から、たった独りでな!」