この子は クロと名前を贈られ
幸せな日々を 与えられました
優しい お父さんと
素直で 遠慮がちで 心配性な娘が
あの日 檻の中の
小さな震える この子に
その手を差し伸べてくれました
お父さん
ご挨拶は あれですよ あれ!
そうです 律儀に
お帽子を外して どうも・・・・
あの日 八代保健所の檻の前で
クロは お父さんが
犬たちを前に 帽子を外し
一緒に 連れて帰れない子たちに
心から 詫びた日から・・・・
ずっと ずっと 大切に 一緒に暮してもらいました
あれから 10年の年月
クロは 年を重ね
律儀な娘は はちボラのメンバーとなり
休みの日には 朝から 車を走らせて
犬たちの お世話に駆けつけてくれます
クロは 私たちに
すてきなご縁を つないでくれました
体調を崩し 心配する日々に
クロは 娘に 優しいついていい嘘を教えていました
大丈夫よ 大丈夫
心配する お父さん
クロを失う不安に涙するお父さんに
クロは 大丈夫 誰もわるくない
クロが いてくれて 私たちは幸せだったじゃない
そんな お父さんを支える言葉を
優しい 優しすぎる 娘が
自分の寂しさ 悲しさを堪え
平気な顔した 嘘を 伝えました
お父さん クロは大丈夫よ
そんな 娘に 本心を 伝えて一緒に泣ける
保護犬を迎え 保護犬を慈しむ仲間を
クロは ちゃんと 置いて旅立ちます
誠実な 丁寧なメールから
いつも 他者に気を遣い どんなことも
細かく気にする クロちゃんの飼い主さんの生き方
私に足りない配慮を持って暮らす お手本です
あなたの 家族に 感謝です
あなたの 存在に 感謝です
クロが 振り返ると
そのまま息をしていなかったと 父が・・・・
調子よさそうだったのに・・・・ どうして なんで
そんな 言葉を 泣きながら
伝えてくれた けれど・・・・
仲間はね 苦しい姿じゃなく
気づかないうちに・・・・って クロらしいねって
家族だねって 思ったよ・・・・
クロちゃんの最期には
記しておかなければ ならない話があります
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10年以上前・・・・
この子は 八代保健所管内の ある民家の中に
閉じ込められた 16の犬たちの 生き残りです
何度も 指導に 話しをしに出向いた場で
窓もない せまい物置のような納屋に
10頭の犬が 押し込められていました
それも 長い間・・・・
近隣からの苦情もあり 劣悪さは すぐにわかりました
保健所の繰り返しの 指導にも 耳を貸さず
当時の犬探偵さんが 頻繁に巡回に行くと
壊れた扉の上の穴から 安い
ドックフードを ばらまくように 投げ込んでいる様子
近親交配 共食い 飢え 乾き
閉じ込めている所有者は それを知らん顔して
なにが悪いのか!と 暴言を放つ繰り返しでした
現場の職員さんたちの強い想い・・・・
タカノサン あの子たちは どうにかせなならん
職員さんたちが 案じた結果
花火大会の夜に 大きな花火の音にパニックになり
壊れた納屋の隙間から 一気に脱走した子たち
必死に 職員さんたちが 捕獲保護をしてきた犬です
当時 保健所の檻の中に 詰め込まれた犬は
悪臭を放ち 水もフードも食べることが出来ませんでした
なぜなら 容器に入ったものが 水や食事であることを
知らずに 生き延びてきたからです
奇形疾患を持っている子 全部の子たちが
表情のない やせ細り 歯を剥きだして向かってくる
床に ばらまいた フードを貪り
水は飲まない 風を 光を 満たされることを
経験したことさえなかった子たち
そのまま センターへ移送するしかない
そんな状況の中で 結成 間もない 私たちが
初めて 県への意見書を 必死に出した 犬たちです
全部とは言いません
可能性を 見極めて 一頭でも ここで様子を見ましょう
私たちにできること やらせてください
選ばなくてならない 苦しさを
それを 背負う覚悟を 代表になりたての私に
与えてくれた 犬たちです
あの日 センター移送のトラックに 積み込まれた
集団 あの子たちの 目を 忘れることはありません
奇形のオッドアイ 目の無い子 震える子
トラックの到着前に センター移送時は絶食
という規定違反をして 犬舎の檻の中に
缶詰を押し込み 撒いて 早く食べて
ちゃんと食べてと 伝えた朝のこと
残すなら メス 小さなサイズであれば
どうにかできるのではないか・・・・
私が 選んだ ふたり
レモンと ミルク 姉妹と思われる ふたりが
後の マリーちゃんと クロちゃんです
八代保健所犬舎 訓練風景 | 高野由磨子(有美子)のブログ
10年以上 何が 変わったでしょうか?
野犬 野良犬ではなく 所有者の権限で
自由を命を 奪われ 地獄に暮す犬たち
慣れないという 妄想で 処分される犬たち
方法を模索せず 行動を理解しない訓練
私は 保健所の檻の中の犬たちの
可能性を 未来を 信じています
犬は 変わる 向き合い 導く人で
犬は 変わる 環境で 与えられる愛で
こんなに 幸せに 家族になれるのだと
小さな 小さな 頑張り屋さんの
クロが 教えてくれました
クロ 虹の橋で また会おう
そうしたら 教えてね
マリーちゃんと再会したら
自慢大会になるよね 楽しみね
私にも聞かせてね
どれだけ お父さんが 大好きだったか
どれだけ なおちゃんが あなたのために
見えないところで 泣いて いたかを・・・・
犬と呼ばれる しっぽの家族は
ちゃんと 見てるから
この子たちに ステキな内緒の話を聞くのが楽しみです
ボランティアはよく 地獄と言う
フレーズを使い 表現します
けれど 地獄から生還する奇跡に触れる人
現実の苦しさが あることを 想像する人は
最前線で 経験する人は 多くありません
私がそうだとは 言わないけれど
多くの試練は 負うた傷跡は
こうした 地獄から救い出され
大逆転の幸せを掴む日々を 見るだけで
報われるのです
犬のもつ チカラは 愛という
目に見えない 食べられないものだけれど
とてつもなく 大きく 無限なのだと・・・・