私の夫はコーヒーが好きです。

生家が日常的にドリップコーヒーを淹れて飲むところだったので、自然と「食後にはコーヒー」を選択するような大人になりました。

ですが、出会った妻である私はお茶派でした。スターバックスが日本に進出してきたあたりでカフェに行ったりもしたのですが、結局そういった本格派とインスタントの違いがわからないままでした。

私の場合も、実家がお茶派なので自然とそうなったわけですが、主人と付き合い始めたころは少し大変でした。

レストランに行って、食後に主人は「エスプレッソ」、私は「ダージリン」を頼みます。

私の紅茶がポットに入って出てきたりすると、茶葉が抽出しているちに主人はコーヒーを飲みほしてしまっているのです。

私が懸命に紅茶を覚まして飲むのを、主人はいらいらとした不機嫌顔で待っているのでした。

「そんなに時間をかけて飲んで、嫌がらせをしているの?」そんな風に言われたことまであります。

結婚してからは、私も主人に付き合ってコーヒーメーカーのドリップコーヒーを飲むようになりました。

初めの1年ほどは、「コーヒーの味」がするだけで美味しいのかまずいのかさっぱりわからなかったのですが、やがてその香りを「ああ、素敵だな」と感じるようになり、豆によって酸味や風味が違っていることに、徐々に気づいていったのです。

主人は主人で、私が一人で淹れていた紅茶やハーブティー、日本茶の類を少しずつ試すようになりました。

長い年月がかかりましたが、今では私たちは一日のうち、コーヒーもお茶も「二人でわけて」飲むようになりました。

時間がない時は、私がティーバッグで主人は少量ドリップ…と、違った薫りのマグカップが並ぶこともしばしばです。

けれど大切なのは、お互いを尊重できるようになったこと。

一見、単に飲み物の嗜好問題ではありますが、ここまで行きつくまでに夫婦がたどった経緯がこもっている、私たちの大切なブレイクタイムです。