これは現実なのかわからなくなるほどの現実感があった。
でも、この第三者みたいな感覚があるということは夢なのだろう。
俺は倒れてしまったのか・・・
だらしないにもほどがあるな・・・本当に・・・
ここはさっきいた保健室。
外は真っ暗・・・時間は9時?
これは夢のはずなのにこの状況を知っていた。
もしかしたら過去の記憶・・・なのか??
ベッドを見るとそこには俺がいた。その隣には白谷さんもいる。
俺は傷だらけだ。
こんな状況が過去にあったなんてな・・・
何でぼろぼろになっているんだろう。
すると、夢の中の俺が起き上がって、時間を見てびっくりしていた。
浅木「9時・・・おそ!!」
その声を聞いて白谷さんが起き上がった。
白谷「ぇ・・・あ!」
それから白谷さんは俺を見て何か言っているようだが、わからない。
なんていっているんだろう。
すると、夢の中の俺が白谷さんに告白していた。
そのときだった。
俺の頭の中で音がしたような気がした。
浅木「(な・・・何だって言うんだ!!!)」
入学式、友人との絡み、白谷さんとの出会い、そして・・・
白谷さん・・・いや、亜美さんへの告白だった。
すべてが、俺の中でぐるぐると風景、状況が蘇ってきた。
浅木「(思い出した・・・全部・・・思い出した・・・」
これを思い出せなかったら俺はどうなっていたのだろうかと思うが、今はそんなことどうだっていい。
そして、俺は目を覚ました。
俺は起きるとベットの上に寝ていた。
隣には麻美さん。
でも、今までとは少し違った。
また、泣いている。
心配してくれていたのだろう。
安心させるために俺が記憶が戻ったことを教えることにした。
浅木「もう大丈夫です。頭痛も治りました。」
白谷「よかった。」
まだ、少し泣いていた。
浅木「もう大丈夫だよ。麻美さん・・・」
と、言って涙を拭いてやった。
それに驚いたのか、俺の顔をずっと見ていた。
少し混乱しているのだろう。
浅木「記憶が元に戻ったんだ。」
と、言って抱き寄せた。
白谷「本当に?本当に記憶が戻ったの?」
俺は何も言わずに頷いた。
白谷「う~ぅ、浅木君~」
また、泣き出してしまった。
そのまま抱きしめたまま一緒の時間をすごした。
そのまま家に帰ることにした。
途中で麻美さんとも別れ家に帰った。
玄関の前に誰かいるのに気がついた。
そこにいたのは如月だった。
浅木「どうしたんだ、如月?」
如月は立ち上がると抱きついてきた。
わけのわからないまま、抱きつかれていた。
浅木「どうかしたのか?」
如月「記憶なくなってもいいじゃない!私はずっと・・・」
この前から少しずつではあるけど気づいていた。
如月が俺のことを・・・
でも、俺は記憶を取り戻した。
そのことを伝えなければならない。
浅木「聞いてくれるか?」
如月「嫌、何も聞きたくない。」
抱きついている腕の力が強まったのがわかった。
でも、俺はその腕を解いた。
浅木「俺は記憶を取り戻した。だからそれは無理だ・・・ごめん」
如月「ぇ・・・・記憶取り戻したんだ・・・」
今の状況では言いづらかった。
でも、いつまでも言わないままではいけないと思ったから・・・。
如月「そうなんだ・・・・。私何言ってるんだろうね。ハハハ…」
無理に笑っているのはすぐにわかった。
如月はそのまま後ろを向いて離れていった。
最後に『おめでとう』とこっちに振り向いて言った。
今まで見たこともない悲しみが混じった笑顔で・・・。
そのまま走って帰っていった。
追いかけることもできず、その場に立っていた。
『ごめん』と一言だけ言って・・・。
浅木「夏休みか・・・・」
約2ヶ月という長い月日。
この2ヶ月何があるのだろうか・・・。
そんなことは誰も知らない。
如月との仲はもう前みたいになるのは無理なんだろうか。
記憶が戻ったのにこんな気持ちになるなんて思わなかった。
もっとうれしい気持ちになる、と思っていた。
でも違った。
如月のあまりにも寂しそうな顔を見てしまった。
俺は結構な月日あいつの気持ちに気づいてやれなかった。
如月は近すぎたのだろう。
だから気づかなかった。
気づいてやれなかった。
如月の気持ちに・・・・。
遅すぎたのだ。
俺にはもう麻美さんがいる。
如月はいつもそうだった。
何をするにしても、のろまでドジで・・・。
でも、そういうところが可愛いと思ったときもあった。
ただそれだけ・・・・・。
他の気持ちは抱いてこなかった。
やっぱり近すぎたのだ・・・・。
前のように笑って暮らして行くことは、もう出来ないのだろうか。
如月、橘、俺・・・・・。
いつも一緒だった。
如月とは中学に入ってからの付き合いだった。
学校で席を決めるときも、遊ぶときも・・・・。
そこに、白谷さんが出てきた。
白谷さんとの出会い。
俺の生活を変えた人。
いつも一緒だった橘達とも、ほとんど遊ばなくなった。
先輩との付き合いはまだ短い。
でも、その1ヶ月で如月は変わってしまったのだ。
もう俺は何をしていいのかわからなくなった。
家に入り自分の部屋に行った。
そのまま布団に入り眠りについた。