旅人の小説 -2ページ目

旅人の小説

本当に趣味の小説を書いています。

真面目に書いているつもりですが^^;

やはり、文章能力の無さに少しなけるところです(´;ω;)ブワッ

暖かい感じで見守ってくれることを旅人は望みます^^

 これは現実なのかわからなくなるほどの現実感があった。


 でも、この第三者みたいな感覚があるということは夢なのだろう。


 俺は倒れてしまったのか・・・


 だらしないにもほどがあるな・・・本当に・・・


 ここはさっきいた保健室。


 外は真っ暗・・・時間は9時?


 これは夢のはずなのにこの状況を知っていた。


 もしかしたら過去の記憶・・・なのか??


 ベッドを見るとそこには俺がいた。その隣には白谷さんもいる。


 俺は傷だらけだ。


 こんな状況が過去にあったなんてな・・・


 何でぼろぼろになっているんだろう。


 すると、夢の中の俺が起き上がって、時間を見てびっくりしていた。


浅木「9時・・・おそ!!」


 その声を聞いて白谷さんが起き上がった。


白谷「ぇ・・・あ!」


 それから白谷さんは俺を見て何か言っているようだが、わからない。


 なんていっているんだろう。


 すると、夢の中の俺が白谷さんに告白していた。


 そのときだった。


 俺の頭の中で音がしたような気がした。


浅木「(な・・・何だって言うんだ!!!)」


 入学式、友人との絡み、白谷さんとの出会い、そして・・・


 白谷さん・・・いや、亜美さんへの告白だった。


 すべてが、俺の中でぐるぐると風景、状況が蘇ってきた。


浅木「(思い出した・・・全部・・・思い出した・・・」


 これを思い出せなかったら俺はどうなっていたのだろうかと思うが、今はそんなことどうだっていい。

 そして、俺は目を覚ました。


 俺は起きるとベットの上に寝ていた。


 隣には麻美さん。


 でも、今までとは少し違った。


 また、泣いている。


 心配してくれていたのだろう。


 安心させるために俺が記憶が戻ったことを教えることにした。


浅木「もう大丈夫です。頭痛も治りました。」


白谷「よかった。」


 まだ、少し泣いていた。


浅木「もう大丈夫だよ。麻美さん・・・」


 と、言って涙を拭いてやった。


 それに驚いたのか、俺の顔をずっと見ていた。


 少し混乱しているのだろう。


浅木「記憶が元に戻ったんだ。」


 と、言って抱き寄せた。


白谷「本当に?本当に記憶が戻ったの?」


 俺は何も言わずに頷いた。


白谷「う~ぅ、浅木君~」


 また、泣き出してしまった。


 そのまま抱きしめたまま一緒の時間をすごした。


 そのまま家に帰ることにした。


 途中で麻美さんとも別れ家に帰った。


 玄関の前に誰かいるのに気がついた。


 そこにいたのは如月だった。


浅木「どうしたんだ、如月?」


 如月は立ち上がると抱きついてきた。


 わけのわからないまま、抱きつかれていた。


浅木「どうかしたのか?」


如月「記憶なくなってもいいじゃない!私はずっと・・・」


 この前から少しずつではあるけど気づいていた。


 如月が俺のことを・・・


 でも、俺は記憶を取り戻した。


 そのことを伝えなければならない。


浅木「聞いてくれるか?」


如月「嫌、何も聞きたくない。」


 抱きついている腕の力が強まったのがわかった。


 でも、俺はその腕を解いた。


浅木「俺は記憶を取り戻した。だからそれは無理だ・・・ごめん」


如月「ぇ・・・・記憶取り戻したんだ・・・」


 今の状況では言いづらかった。


 でも、いつまでも言わないままではいけないと思ったから・・・。


如月「そうなんだ・・・・。私何言ってるんだろうね。ハハハ…」


 無理に笑っているのはすぐにわかった。


 如月はそのまま後ろを向いて離れていった。


 最後に『おめでとう』とこっちに振り向いて言った。


 今まで見たこともない悲しみが混じった笑顔で・・・。


 そのまま走って帰っていった。


 追いかけることもできず、その場に立っていた。


 『ごめん』と一言だけ言って・・・。


浅木「夏休みか・・・・」


 約2ヶ月という長い月日。


 この2ヶ月何があるのだろうか・・・。


 そんなことは誰も知らない。


 如月との仲はもう前みたいになるのは無理なんだろうか。


 記憶が戻ったのにこんな気持ちになるなんて思わなかった。


 もっとうれしい気持ちになる、と思っていた。


 でも違った。


 如月のあまりにも寂しそうな顔を見てしまった。


 俺は結構な月日あいつの気持ちに気づいてやれなかった。


 如月は近すぎたのだろう。


 だから気づかなかった。


 気づいてやれなかった。


 如月の気持ちに・・・・。


 遅すぎたのだ。


 俺にはもう麻美さんがいる。


 如月はいつもそうだった。


 何をするにしても、のろまでドジで・・・。


 でも、そういうところが可愛いと思ったときもあった。


 ただそれだけ・・・・・。


 他の気持ちは抱いてこなかった。


 やっぱり近すぎたのだ・・・・。


 前のように笑って暮らして行くことは、もう出来ないのだろうか。


 如月、橘、俺・・・・・。


 いつも一緒だった。


 如月とは中学に入ってからの付き合いだった。


 学校で席を決めるときも、遊ぶときも・・・・。


 そこに、白谷さんが出てきた。


 白谷さんとの出会い。


 俺の生活を変えた人。


 いつも一緒だった橘達とも、ほとんど遊ばなくなった。


 先輩との付き合いはまだ短い。


 でも、その1ヶ月で如月は変わってしまったのだ。


 もう俺は何をしていいのかわからなくなった。


 家に入り自分の部屋に行った。


 そのまま布団に入り眠りについた。

 白谷さんは、心配なので俺の家に今日来るらしい。


 それまでに少しでも思い出せることを祈った。


 一緒に写真に写っているところが結構あった。


 学校やカラオケ・・・ボーリングなんかも行ってたみたいだ。


 だが、写真を見ても何も思い出せない。


 こんなことになったのは自分のせいだ、と自分を責めていた。


 でも、それは俺が否定した。


 記憶があったときの俺は、白谷先輩のことが好きだったと思うから・・・。


 俺が白谷さんをかばって事故にあった、って聞いたから・・・


 もし、そのときに俺がかばってなくて彼女が事故にあっていて俺みたいになっていたら嫌だと思うから・・・


 だから、後悔はしていないと、白谷さんに言ってあげた。


 白谷さんはそれでも少し不安な顔をしていた。


 だから、その悲しみはもう味あわせたくなかった。


 そして、俺は他にも何かないか探した。


 そのときに、不安を抱いた。


 本当に思い出せるのか?


 安心させれるのか?


 不安・・・・


 恐怖・・・・


 思い出せなかったらどうする?


 彼女は自分のせいだと、思い込んでしまうのでは?


 たった3ヶ月と言ってしまえばそれで終わりだろう。


 でも、彼女にとっては、たったじゃないかもしれない。


 そんなことを考えているうちに、一つのペンダントが出てきた。


 ロケット式みたいだ。中には写真が入っていた。


 俺と白谷先輩が写っている。


 笑顔だった・・・


 こんな風に俺は笑っていたのか・・・


 思い出せないことに悲しくなってきた。


 他には何もないみたいだ。


 医者にはあまり無理に思い出そうとすると逆に思い出せなくなるとも聞いた。


 だが、そんなことを言ってていいのだろうか・・・


 このまま時間が過ぎることは本当に俺にとっていいことなのだろうか・・・


 インターホンの音が鳴った。


 誰かが来たようだ。


 俺は玄関まで行きドアを開けた。


 そこには、如月と橘が立っていた。


浅木「どうしたんだ?」


 如月のほうは何も言えないのかうつむいてしまった。


 それを見た橘が話を切り出した。


橘 「高校の記憶がなくなってるって本当か?」


浅木「ああ。」


 如月が少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。


 そのとき、白谷さんが来た。


白谷「あ、浅木君具合はどう?」


 先輩は俺の心配をしていた。あまり休んでいないのだろう。雰囲気的に少し疲れているように見えた。


白谷「ぁ、こんにち・・・」


如月「あなたのせいで・・・・・・・・。」


白谷「え・・・・・・?」


 俺は驚いた。


 如月の目が怖かったからだ。


如月「あなたのせいで、浅木は記憶が・・・・・。」


 パシッ・・・・・・


 如月が言い切る前に俺は如月を自分の方に振り向かせぶっていた。


 如月は驚いた顔をして叩かれた頬を抑えこっちを見ていた。


 事故のことは俺がかばって事故にあったと聞いていた。


 でも、白谷さんが悪いわけでもないと思った。


 だから、俺は言い切る前にぶった。


 これ以上白谷さんを悲しませたくなかったから。


如月「なんでこんな人をかばうの?」


 不意にそんなことを言われた。


 俺はまた腹が立ってきた。


如月「この人がいなかったら・・・・・この人がいなかったら記憶もなくすこともなかったじゃない・・・」


 俺の中で何かが切れたような感じがした。


 我慢しようと思ったが、白谷さんのことを悪く言われるとなぜか腹が立ってきた。


浅木「それは、そうかもしれない。でも、この人がいなかったらこんな笑顔はしてなかったかもしれない」


 俺はさっき見つけたロケットを取り出した。


如月「え・・・・?」


 止まらなかった。いや、止めれなかった。


 でも、そこに白谷さんが入ってきた。


白谷「いいの・・・喧嘩・・・しないで」


 こんなに悲しそうにしている白谷さんの前ではもう何も言えなかった。


如月「なんで・・・なんでそうやってくっつくの。」


橘 「もうやめろ・・・・如月」


如月「橘君は黙ってて。」


 そう言われた橘は黙り込んでしまった。


 橘は如月の気持ちを知っていた。だからこれ以上何も言うことができなかった。


 俺は白谷さんにもうこれ以上悲しませたくなかった。


 白谷さんを先に家に入れて部屋に行かせた。


 後ろから『まだ話は終わってない』と、如月が言っていたが、無視した。


 白谷さんから『あまりひどいことは言わないであげて』と、言われた。


 俺は、『自信はないが、頑張ってみる』と、答えた。


 そして、部屋に行かせた。


 俺は、玄関に向かった。


 そこには、今すぐにでも泣きそうになっている如月の姿があった。


 俺はかける言葉が見つからなかった。


 少し沈黙が続いた。


 そして、俺から話を繰り出した。


浅木「多分俺が白谷さんを、今でも優しくするのは、記憶があったときの俺が白谷さんのことが好きだったからだと思う。白谷さんのために記憶を取り戻したいとも思う。事故は白谷さんのせいじゃなく、信号無視してきた車が俺たちに突っ込んできたからそれをかばって事故にあったって聞いている。だから、白谷さんのことを悪く言うのはやめてくれ。」


 俺は今思っていることを話した。


 それで、わかってくれとは言わない。


 時間はかかるかも知れないが、白谷さんのことをもっと知って欲しいと思った。


 俺が好きだったから。


 今でも俺のためにしてくれることを、とても愛しく思う。


 だから、一緒にいる。


 そういうことを俺は二人に言った。


 如月は納得言ったのかは知らないが、そのまま後ろを向いて帰ってしまった。


 俺と橘だけが残った。


橘 「俺も如月もお前のことが心配なんだ。」


浅木「わかっている。でも・・・・・」


橘 「わかってるのならよし、俺はもう何も言わない。」


 心の中で橘に礼を言った。


 そのまま橘は如月を追いかけて行った。


 俺は部屋に戻った。


 そこには、不安そうにしている白谷さんがいた。


浅木「大丈夫。俺たちはこんなのとで壊れたりはしない。」


 白谷さんは頷き俺に近づいてきた。


 少し俯いて泣いていた。


 そのまま抱き寄せた。


 今の俺にはそのくらいのことしかできなかったから・・・


 少し泣き止むまでそのままにしていた。


浅木「落ち着きましたか?」


白谷「うん。」


浅木「わかってもらえるのは少し時間がかかると思います。でも、少しの間我慢していてください。きっとわかってくれるときがきますから。」


 そして、俺は出かける準備をして、白谷さんと俺の写っている写真の場所に一つずつ行った。


 1日中写真に写っている場所には行ってみたが何も思い出せない。


 俺は夢のことを思い出した。


浅木「そういえば、今日夢の中に病院みたいな・・・保健室みたいなところがでてきたんですよ。」


白谷「じゃあ、一応行ってみようか。」


 と、言って俺たちは学校に向かった。


 保健室に着くと、何か違和感を感じた。


 俺が傷の手当をしていた椅子に近づいた。


 ズキン!!!


浅木「うぅ・・・・」


白谷「どうしたの、浅木君?」


 いきなり、すごい頭痛らしきものが襲い掛かってきた。


 俺はその場に倒れこんだ。

 俺は車にひかれ病院に運ばれた。


 何日寝ていただろうか。


 目を覚ました俺は隣に誰かいるのに気がついた。


 隣には俺の知らない女の人がいた。


 俺はそのまま顔を女の人に向けた。


 俺が起きたのに気づいたのだろう。


 いきなり泣き出してしまった。


 俺はわけがわからなかった。


白谷「よかった。・・ぅぅ・・本当によかった。」


 よかった?俺はどうしてここにいるんだ?


 この人は誰なんだ?


 俺の知っている人?


 ここはどこだ?


 なんで俺はベットで寝ているんだ?


 わからない・・・・・・


 思い出せない。


白谷「無事でよかった。もう目を覚まさないのかと思った。」


 そのとき、白衣を着た男の人が入ってきた。


 体温などを測ったり、具合が悪いかどうかを聞いてきた。


 ここは病院なのか?


 でも、この女の人が誰だかわからない。


浅木「あなたは・・・誰ですか?」


白谷「え・・・?」


 とてもびっくりしていた。


 俺からそんな言葉を聞くとは思っていなかったらしい。


 また、泣き出してしまった。


 この女の人は知り合いなのだろう。


 でも、思い出せない。


 少し考えていると頭が痛くなった。


 俺は頭を抑えた。


 白衣を着た男の人がそれに気づいたのか、俺の隣にいた女の人を部屋の外に出した。


 俺は麻酔を打たれそのまま眠りについた。


 夢を見ていた。


 病院に似た環境。


 どこだろう・・・


 誰かが怪我してるみたいだな・・・


 ぇ?これは俺じゃ・・・?


 自分自身を客観的に見ると不思議な気持ちになる。


 でも、誰だろう・・・この手当てをしてくれている人・・・


 思い出せない・・・


 そこで目が覚めた。隣には両親と昨日いた女の人と医者の人と話していた。


 俺が起きたのには気づいてないらしい。


 俺の症状を説明しているのだろう。


 女の人の方が少し泣きそうになっていた。


先生「一時的なものだと思われますが、様子を見ないことにはなんとも・・・・・・」


 様子をみる?


 何のことかわからなかった。


白谷「純君の記憶は戻るかどうかわからないんですね・・・・・」


 とうとうその女の人は泣き出してしまった。


 両親がその女の人を慰めている。


 なんでかわからない。俺の知らない人が目の前にいる。


母親「ごめんね。こんなことになって・・・こんなかわいい彼女をほったらかして、うちの息子は何をやってるんだろうね。」


 彼女?


 この女の人が・・・・?


 記憶が戻る?


 そういえば、今はいつだ?


 俺は、近くにあったカレンダーに目をやった。


 7月25日・・・・・


 高校の入学式の記憶は、はっきりと覚えている。


 でも、それからが思い出せない。


 俺は記憶をなくしたことがわかった。


先生「あ、起きたようだね。」


 俺は先生の方に目をやった。


 それから、先生が近づいてきた。


 今から大事な話があると。


 俺は先生がしゃべる前に話した。


浅木「俺、ここ3ヶ月の記憶が・・・・・思い出せない。」


 先生が少し驚いた顔をしたがすぐに本題に入った。


 俺が一週間前に白谷さんを守って事故にあったこと。


 記憶が戻るかどうかわからないこと。


 身体にはあまり損傷がなく、すぐに退院できること。


 それを伝えると、先生は出て行った。


 部屋には母親と白谷さんが残っていた。


 次に母親が近づいてきた。


 白谷さんは一週間ずっとついていてくれたこと。


 学校の人たちが心配して来てくれたこと。


 白谷さんが俺の彼女ということ。


 でも、俺は何も思い出せない。


 先輩のこと。


 クラスメイトのこと。


 そして、何も思い出せないまま俺は退院した。


 退院するまでにいろいろあった。


 白谷さんが、俺のために俺と行った思い出の場所の写真などを持ってきて、俺に見せていた。


 でも、何も思い出せなかった。


 自分が情けなくなる・・・・・


 自分のためにこんなに頑張ってくれる人が目の前にいた。


 申し訳なかった。


 早く思い出したいと思った。


 でも、自分ではどうしようもできない。


 家に着いた俺は、アルバムを開けた。


 そこから、高校に入ってからの写真を全部出した。


 もう夏休みには入っているらしい。


 明日写真に写っているところに行ってみよう、と思った。


 何か思い出すかも知れないと思ったから。


 少しでも努力をしたかった。


 自分の力ではどうにもならないってことはわかっている。


 でも、何かしたかった。


 せずにはいられなかった。


 俺のためにも・・・。


 見舞いに来てくれた、クラスメイトのためにも・・・。


 白谷さんのためにも・・・。

こんなことがあり、白谷先輩は彼女となった。


 未だにあの時の理由は教えてくれない。


 俺をたこ殴りにした男子たちは先生に捕まり、退学となった。


 あのときのことはあれからほとんど触れていない。


 それは、その話をすると麻美さんが悲しそうな顔をするからだ。


 俺が、そんなことを考えていると横から声がしているのに気がついた。


白谷「ね~聞いてる?」


浅木「あ~ごめん、聞いてなかった。」


 も~って顔をしてそっぽを向いた。


 俺は謝り、なんのことかを聞いた。


 麻美さんも許してくれたのか、また話を始めた。


白谷「ね~純君今日の放課後暇?」


浅木「暇だけど?」


 そして、嬉しそうに今日はカラオケ行かないかと誘ってきた。


 俺はカラオケはあまり好きではなかったが、麻美さんに誘われては断るわけがない。


 すぐにOKをだした。


 じゃあ放課後に、と嬉しそうにしながら麻美さんは自分の教室に向かった。


 俺も自分の教室に向かった。


 教室に着くと、橘と如月が近づいて来るのに気がついた。


如月「おっはよ~浅木!!」


 なぜか今日は如月が異常に元気だった。


橘 「よっす!!」


 橘もだった。


浅木「どうしたんだ?今日は二人ともテンション高いな・・・特に如月・・・」


如月「だって、私の取り得の一つだもん。」


 俺は少し弄ってやろうかと思い、でこを突付きながら不敵な笑顔を見せた。


浅木「取り得の一つじゃなくて、たった一つの取り得の間違いだろ?」


 如月は、『何~!』といいながら、殴りかかってくるのだが・・・


 ポカスカ・・・・・


 これは殴っているのだろうか?


 などと、いつも思ってしまう。


橘 「ま~そんなことはどうでもいいから本題に入るぞ。」


 その言葉にも如月は食いついていた。『そんなこととはどういうことよ!!』と・・・


 橘の話を聞くと、商店街でくじ引きをしたら温泉旅行があたったらしい。


 それも、4人までいけるという豪華なものだった。


浅木「で、もう一人は決まったのか?」


 と、聞いてみると決まっていないらしい。


 俺は一応呼びたい人はいることはいるのだが・・・


 すると、橘が白谷先輩でも誘えばと俺に言ってきた。


 だが、それを聞いた如月がちょっと嫌な顔をした。


 それに、気づかない振りを話を進めた。


浅木「そうだな、誘ってみるか」


橘 「ちょうど二部屋あるしな」


浅木「そ、そうなのか」


 俺は少しびっくりした。


 ま~男子と、女子で別れるのはそうなのだが、くじ引きで当てて二部屋も取れるとは思ってもいなかったからだ。


 すると、俺のびっくりいたのに反応したのか、如月が俺に攻撃を仕掛けてきた。


如月「変な考え起こさないでよね。」


浅木「変なこと考えたとしてもお前は脳内妄想の中に入ってないから大丈夫!」


 親指を立て舌を少し出してみた。


如月「きもいし!って!私は論外かい!!」


 女の子というのはなんでこうもすぐに食いついてくるのかがわからない。


浅木「つか、これ話がうますぎないか?」


如月「なんでよ?」


浅木「考えてもみろ。くじ引きで当てたのに二部屋+4人で行けるなんて話がよすぎる。」


橘 「それもそうだが、偽者だったら商店街とかでくじ引きとかしないだろ?」


 ま~それもそうかと思い、納得した。


 昼休みにでも麻美さんに伝えるかと思い席に着いた。


 そういえば、肝心なことを聞くのを忘れていた。


浅木「橘~その旅行っていつだ?」


橘 「あ~明後日から夏休みだろ?で、夏休み入って一週間くらいして行くんだ。」


 俺は少し疑問に思った。『くらい』?くらいってなんだ?


浅木「いつでもいいのか?」


橘 「あ~そうだよ、夏休み中だったらいつでもいいんだ。」


 それはいいな~と思いながら、窓を開けて、涼しみながら授業を受けていた。


 4時間目が終わり、麻美さんのところへ向かった。


 麻美さんの教室に着いた。


 麻美さんを呼ぼうと教室に入った。


 俺が麻美さんと付き合っている、という噂は2日で知れわたっている。


 なので、教室に入ると知り合いのように、麻美さんの友達が話し掛けてきてくれる。


女子「麻美なら屋上に行ったよ。」


浅木「ども」


 と、いつものようにお礼を言って、教室を出た。


 俺は屋上へと向かった。


 ドアを開けるとベンチに麻美さんが座っていた。


 俺はそのまま近づいて行った。


 麻美さんは何かに夢中になっていて俺には気づいていない。


浅木「麻美さん?何をしてるんですか?」


白谷「きゃっ!」


 急に声をかけられたのにびっくりしたのか、持っていたものを落としそうになっていた。


 俺は少し気なったので聞いてみることにした。


浅木「何をしていたんですか?」


 麻美さんは少し赤くなり、持っていたものをかばんの中に隠した。


 なんでもないみたいな顔をしていたが、そんなことをされると、ものすごく気になるのです。


 ま~くるときがくれば教えてくれるだろうと思い、気にしないようにして、ベンチに座った。


 俺の飯は毎日麻美さんが弁当を作ってくれている。


 だから、昼の心配は無いのだ。


 それも、麻美さんの料理はものすごくうまい。


 昼飯を食べ終わると、俺はものすごい眠気に襲われた。


 そういえば、昨日は橘から借りていたゲームを徹夜でやっていたことを思い出した。


 どんどん意識が朦朧としてきた。


 スヤスヤ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


白谷「起きて・・・・さい」


浅木「ん?・・・・・はっ!!!」


 俺は目を覚ました。


 時間を見てみると、昼休み終了まであと10分ってところだった。


 ふ~、と安心したのもつかの間、俺は麻美さんの顔が真上にあるのに気がついた。


 俺はなぜか膝枕をされていた。


 俺は急いで起き上がり、混乱状態の中謝った。


浅木「ごめんなさい」


 でも、麻美さんは、くすくすと笑っていた。


 なぜかを聞くと。


白谷「だって、寝顔がかわいくて。」


 俺はとても恥ずかしくなった。


 不覚にも麻美さんの前で寝てしまうとは・・・


 話を無理やりほかの事に変える事にした。


浅木「今日の放課後校門で待ってます。」


白谷「うん。わかった。」


 そして、放課後になった。


 俺は校門で待っていると、麻美さんが走って来てくれた。


 そんなに急ぐこともないのに、と思いながらそのままカラオケに行くことにした。


 カラオケに行く途中に俺の家がある。


 そこに自転車を置いて行く事にした。


 それは、歩いて5分くらいのところにあるからだ。


 俺の家に着き、自転車を置くと俺たちは歩き出した。


 そういえば、俺と麻美さんは一度も手をつないだことがない。


 ちらっと見てみるとちょうど、麻美さんの手は握れる位置にあった。


 俺は何も言わずに麻美さんの手を取った。


 すると、麻美さんは少しびっくりしたのか、びくっと体がはねた。


 俺はかまわずそのまま握っていた。


 すると、麻美さんが手を握り返してくれた。


 麻美さんの顔を見てみると、耳まで真っ赤にしている。


 俺はとてもその表情が愛らしくとても好きだった。


 カラオケに着く前に信号が赤になってしまった。


 俺は、赤になってくれたことを嬉しく思ったことはこれが初めてだ。


 なぜって?


 それは少しでも長くこの手を離したくないという男心なのですよ。


 その時間が永遠に続けばいい。


 この幸せなときが。


 信号が青になり、俺は渡ろうとした。


 そのとき、信号を無視し突っ込んでくる車が俺たちめがけて走ってきていた。


 キィ~~~~~~


 ブレーキを踏んだのだろう。


 だが、その車は勢いを殺せずそのまま俺たち突っ込んできた。


 俺は、とっさに手を握っていた麻美さんをに突き飛ばした。


白谷「きゃっ」


 そう・・・俺はどうなってもいい・・・


 でも、この人だけはという思いが身体を動かせたのだろう。


 実際は何も考える暇なんてなかったのに、身体が勝手に動いた。


 もちろん俺は逃げ切れなかった。


 麻美さんを助けるだけで精一杯だったから。


 ドンッ・・・・・・・・


 俺は車にひかれた。


 全身すごい痛みに襲われた。


 俺は宙を舞って地面に叩きつけられた。


 車に引かれるなんて初めてだ。


 実際痛みなんてない。


 ドサッ・・・・


浅木「ぐあっ!!」


白谷「ぇ・・・?」


 今何が起きたのか麻美さんは理解するのに時間がかかっているようだ。


 俺は目をあけた。


 空がぐらぐらと、揺れていた。


 そこに麻美さんが近づいてきた。


白谷「純君、嫌だ・・・・・嫌だよ~!!」


 麻美さんは泣きながら俺に訴えていた。


 俺は何も出来ない。


 目を開けているのがやっとだった。


 でも、最後の力を振り絞って手を麻美さんの頬にあてた。


浅木「大丈夫・・・だか・・ら・・・・心配・・・・しない・・・で・・・・」


 これが俺の言える最後の言葉だった。


 バタッ・・・・


 俺の手は地面に落ちた。


 意識が途切れ、何もない暗闇へと落ちていった。


白谷「嫌~~~~~~~!!!!」


 最後に先輩の叫び声だけが聞こえた。


教室に入ったとき、元気な声が聞こえた。


 男一人と女一人が近寄ってくる。


橘 「よっす」


如月「おはよう。浅木!」


 一人は「橘 薫」。


 もう一人は「如月 晴美」


 如月のほうはおてんば娘だ。


 橘は俺の幼馴染昔からの親友だ。


如月「何かいいことでもあった?」


橘 「なにかあったのか?」


浅木「いや、なんでもない」


 如月は興味本気で聞いてきている。


 橘は・・・悪乗りだろう。


 ま~こんなことは、滅多にないからな。


如月「女の子のスカートの中でも覗いた??」


 何かあると如月は俺が変なことをしたことにする。


浅木「んなことするか~!!」


 一応否定はしておかないと後が怖い。


 この前そのことで、俺が変人ってことが噂になったことがあった。


 あれは一応如月のデマということを流させたから、助かった。


 もうあんなことは起こってほしくない。


 そして、ホームルームが始まった。


 1時間目が終わり休み時間になり、そして4時間目まで無事に過ごすことができた。今日は寝ずに授業を受けれたのは先輩のことが少し気になっているからかもしれない。


 昼休みになり教室で弁当を食べ始めた。


 すると、如月が不思議そうな顔をして近づいてきた。


如月「ね~ね~」


浅木「なんだ?」


如月「友達から聞いたんだけど、2年の男子の先輩が休み時間になると、廊下にいるんだって。」


 俺は嫌な予感がした。


 もしかしたら、今日の朝の男子かもしれないと思ったからだ。


 すると、クラスの女子が俺に近づいてきた。


女子「ね~浅木君。」


浅木「なんだ?」


 女子はさっき2年の男に俺のことを聞かれたと話してくれた。


 一応やばそうだったので、知らないと言ってくれたらしい。


 しかし、本当に俺を探しているとは、少しやばいかも知れない。


 女子にお礼をいうと、飯をすぐに食べ終え廊下を確認したがもうそこには誰もいない。多分また放課後来る可能性があるかもしれない。


 昼休みが終わり、5,6時間目も終わった。


 ホームルームを終えさっきの嫌な予感が当たってないことを祈りながら廊下を覗いた。


 どうやら悪い予感は的中してしまったらしい。今日朝見かけた先輩が廊下にいた。


 相手はまだ俺に気づいていない。


 クラスの女子は危ないとか、言って俺が教室を出るのを止めたが、俺は他のやつが危なくなるかも知れないと思い、その女子を説得し廊下に出た。


 すぐに見つかり、近づいてきた。


男子達「ちょっと着いて来い。」


 俺は何も言わずに着いていった。


 数人の男女が先生を呼びに言ったのかすぐに駆け出していった。


 体育館裏まで連れてこられ、これは少しやばいかもしれない。


 そこには男二人ほどいた。


男子「今日のこと覚えてるだろうな。」


 3対1か・・・・


 勝ち目はないとみた。


浅木「どうしたんですか?こんなところに呼び出して・・・早く帰りたいんですけど。」


男子「別に帰ってもいいが、あとは好きにさせてもらうぞ?」


浅木「はぁ・・・どんだけ人間腐ってるんだか・・・」


男子「何か言ったか?」


浅木「一ついいですか?」


男子「何だ?」


浅木「俺の女に手を出すなって言ったら??」


男子「笑わせるな。お前みたいな奴が彼氏なわけがない。」


 先輩は笑いながら俺を見ている。この人は俺が絶対手を出させないようにさせるように白谷先輩を餌に脅しにかかってきているのだろう。


 俺は実際関係はないんだけど…自分の知らないところであの先輩が何かされるとなると話は別だ。


浅木「俺が手を出さなかったら白谷先輩には近づかないってとらえてもいいんですかね?」


男子「いいだろう」


 男は二人に合図を送った。


 男たちは俺の腹部、顔、足、すべての部分を殴りつける


 痛みはさほど感じない。


 頭を殴られてからだろうか。少しぐらつく感があり、殴られているという感覚も殆どない。


 男は満足した顔をしていた。


 そのとき後ろから声がした。


??「おい、おまえら何してる!!」


 男たちはそっちを見ている。


 俺もそっちを見てみると、橘が立っていた。


 橘はこっちに駆け寄ってこようとした。


浅木「く、来るな」


 橘は多分びっくりした顔をしているんだろう。


 そんなことを考えながら俺は最後の力を振り絞って立ち上がった。


男子「な、あれだけやられて、まだ立てるのか。」


浅木「お前らのへぼキックなんざ効かないんだよ」


男子「何だと!この糞餓鬼が!!」 


 俺はそれを言うのが精一杯だった。


 そこに先生が駆けつけてきた。


先生「おい、お前達何をしてる!!」


男「やべ、逃げろ!」


 と、男の掛け声で逃げ出した。


 先生はそれを追いかけていった。


 俺は、そのまま倒れこんだ。


橘 「おい!!」


 ばさっ


 橘がキャッチしてくれたのだろう。倒れこんだ痛みはなかった。


 俺はそこからの記憶がない。


 気絶したのだろう。


 気づいたら保健室にいた。


 ふと気づくと、隣には白谷先輩がいた。


 時間は21時・・・って、遅っ!


 先輩は少し疲れているのか寝ていた。


 涙のあとがあった。


 俺のために泣いてくれたのか・・・


 こんなとこを見てしまうとすごく愛しく思えてしまうのはなぜだろう。


白谷「ん・・・」


 白谷先輩が眠ってしまったのに気づいたのか慌てて起きた。


 俺が気づいたことに気づいていない。


浅木「先輩、おはようございます。」


白谷「ぇ・・・・」


 俺に気づいたらしい。


浅木「あ、おはようには遅すぎましたね」


 少しでも安心させるために、笑いながらいった。


 それを見た先輩が、泣き出してしまった。


浅木「せ、先輩?」


 先輩は泣きながらごめんなさいと言っている。


 俺は、俺のために泣いてくれるのが嬉しく思えた。


 橘達とは違う何かを感じた。


 俺は少し体を起こした。


 体のいたるところが痛かったが、動けないほどってほどのことではなかった。


浅木「そんなに泣かないで下さい。」


 少しして、落ち着いたのか、泣き止んだ。


 そして、俺のほうを向き質問をしてきた。


白谷「どうしてそこまで、してくれるの?捕まる前に逃げればそんな怪我しなくて済んだんじゃない・・・」


 俺はその質問にすぐに答えた。


 それは、考えなくてもでてきたからだ。


浅木「それは、あの先輩方があなたに危害を加えるかもしれなかったからです。」


 白谷先輩は、ずっと俺の方を見ていてくれている。


 俺は続けることにした。


浅木「ただそれだけなんですけどね。ははっ」


 俺は、緊張していた。


浅木「まったく考えなしに行動してしまうんで、あまり気にしないでください。」


白谷「だって・・・そうだとしても・・・あなたが私を守る理由なんて・・・」


 そうだよな。


 確かに俺にこの人を守る理由なんてない。


 でも、多分俺はこの人に・・・


浅木「多分・・・好きになっちゃったから・・・ですかね」


 あっさりと言ってしまった。


 それから、少し沈黙が続いた。


 俺にはその沈黙が長く感じられた。


 俺は何を言っているのだろう・・・こんなこと言うつもりなかったのに。


 この沈黙の続く時間。そういえば、告白なんてしたことなかった。


 その沈黙が何を意味するかがわからなかったから。


 多分考えているのだろう。


 俺はベットから降りた。


浅木「すいません。こんなこと言って。気にしないで下さい。」


 と言って、俺は保健室からでた。


 何を言ってしまったんだろうな。


 確かに先輩は可愛いし、守りたいという気持ちにさせる。


 でも、会ってまだ時間も全然経っていないし、相手のことも全然知らない。


 こんな相手を困らせるだけのことを言ってしまって、もう合わせる顔もない。


浅木「少し頭でも冷やすか。」


 俺は水を頭からかぶりベンチに座った。


 少しずつ熱さが引いていくのがわかった。


浅木「馬鹿だな俺・・・」


 そして、立ち上がり家に帰ろうと校門を過ぎたとき後ろから声がした。


白谷「待って。」


 俺は後ろを振り返った。


 そこには月の光に照らされ、これまで見たことのないほどの美人がたっていた。


 白谷先輩だと気づくのに少し時間がかかってしまうくらい、俺はその姿に見惚れてしまっていた。


 そこには息をきらしながらこっちに向かってきている先輩がいた。


浅木「・・・・」


 俺は何も言えなかった。


 そして、先輩が口を開いた。


白谷「今さっき答えられなくてごめんなさい。」


 俺は黙ってしまって、何も言えない。


 何か言いたいはずなのに。


白谷「ちょっといきなりだったから驚いちゃって。」


浅木「・・・・」


白谷「こんな私でもいいんですか?」


浅木「ぇ・・・」


 俺はてっきり断られるんじゃないかと思っていた。


 俺は嬉しい反面疑問もあった。


 さっき考えてたことが頭をよぎったからだ。


浅木「もしかしてokってことですか?」


 白谷先輩は何も言わずに一度だけうなずいた。


浅木「理由を聞いてもいいですか?」


白谷「それは内緒です。」


 満面の笑みでそう答えられた。それから俺はもう何も言えなくなってしまった。


 そして、俺たちは彼氏、彼女となった。

 朝、目覚ましが鳴る前に起きた。


浅木「う~ん、久しぶりに早く起きたな。」


 少し早いが学校に向かうことにした。


浅木「早起きは三文の得って言うしな・・・三文か・・・しょぼいな」


 そんなことを考えながら、学校に向かった。


 校門の前に先生が立っていた。


先生「おい、浅木ちょっと待て。」


 と、俺は呼び止められた。


浅木「なんですか?」


 少し嫌な予感がした。


 先生から呼び止められるということは、何かの手伝いをさせられるということのほうが可能性が高いからだ。


先生「今日も頼み事があるんだがいいか?」


 嫌な予感が的中した。


 早起きは三文の損ですか?


 と、思った。


 先生から頼まれると拒否権ないのです。


先生「あと、2年の白谷にも声かけててくれ。」


浅木「はい、わかりました。で、5分後に職員室でいいんですよね?」


先生「ああ、今日はあんまりきつい仕事じゃないからな。よろしく頼む」


 挨拶をすませ俺は自転車置き場に向かった。


 そして、教室に戻る前に先輩に言いに行くことにした。


 そうだな。3文の得以上のものが得られたのかもしれない。


 廊下を歩いていると、屋上へ行くための階段の上から白谷先輩と男の声がした。


 悪気はなかったが、興味が少しあったので、聞くことにした。


男子「白谷さん、俺と付き合ってくれないか?」


 男子が白谷先輩に告白をしていた。


 少し驚いた。


 やっぱり、聞いちゃ悪いと思いその場を立ち去ろうとしたとき、先輩が答えを出した。


白谷「ごめんなさい」


 即答だった。


 告白されて、3秒もたってないだろう。


 もう少し考えてやってもいいじゃないかと思うくらい早かった。


 少しびっくりしたが、あの噂は本当だったらしい。


 また、足が立ち止まってしまった。


男子「なんでなんだ?なんで誰とも付き合おうとしないんだ?俺とは他のやつと違って楽しく話してたりしてたじゃないか」


白谷「・・・・」


男子「俺じゃダメなのか?」


 こういう男も時々いる。


 自信過剰・・いわゆる、ナルシストということだ。


 それに、少しずつ先輩に近づいていくのがわかった。


男子「理由を教えてくれ、じゃないと納得できない。」


白谷「それはあなたには関係ないことです。」


 あまりにもそっけない態度だった。


 男子はその言葉と態度にむかついたのか少し睨みつけていた。


 好きな女だったはずなのにな・・・振られただけでこうも変わるか・・・


 こういう場合、やり方は二つに分かれる。


 そのまま引き下がるか、納得いかず暴力をふるい無理やり聞き出そうとするかのどっちかだ。


 ま~この場合、暴力で無理やり聞き出そうとするほうだろう。


 男は白谷先輩の肩を掴み、壁に押し付けた。


 予想は的中。


白谷「い、痛い。ちょっと離してよ。」


男子「じゃあ理由を教えてくれよ。他に好きなやつでもいるのかよ。」


白谷「だから、あなたには関係ないでしょ。」


 先輩が無理やり引き離した。


 今日は運悪くあまり生徒もいなかった。


 声を上げてもすぐには人は来ないだろう。


 そのとき、男子は手を振り上げていた。


浅木「ちょっと待った~~!!」


男子「へあ!?」


 俺の叫びで男子が少しひるんだみたいだ。


男子「な、なんだよ、お前は。」


 声が裏返ってるよ・・・相当びびったみたいだな・・・


浅木「何をしているんですか?」


男子「お、お前には関係ないだろ!消えろ!」


白谷「あ、浅木君?」


浅木「あなたの言うこと聞かなかったら暴力ですか・・・」


 その言葉を聞いただけで男子は怯んだ。


男子「・・・っ」


浅木「どうして・・・仮にも好きな女に対してやることじゃない。」


 この男のことが少しムカついてきた。


 いくらムカついたとはいえ、暴力を振るうということに。


 予想はしていたが、本当に実行に移すとは思っていなかった。


浅木「女性を殴るんですか。」


 男は少し後ろに下がった。


男子「だったらどうだってんだよ!」


浅木「はぁ・・・人の女に手を出す気なら・・・ただじゃおかねぇぞ」


白谷「!!」


 ちょっと言い過ぎたかな?


 まぁ白谷先輩もびっくりしているが、この男の先輩は気づいてないようだ。好都合。


浅木「まだ何かあるのか?」


男子「お、覚えていろよ」


 男はそういい残して勢いよく走り去って行った。


浅木「ふ~、先輩大丈夫ですか?」


 下手なことを言ってしまったな・・・どう弁解するか。


 でも、いるんだな・・・女に手をあげるやつって。


白谷「うん、大丈夫。ありがとう。」


 先輩は少し安心した顔をした。


 先輩には怪我がないみたいだ。


浅木「先にこっち来てよかったです。」


白谷「・・・・・・」


浅木「あ~さっき言ったことは気にしないでください。あの男を引かせるための嘘ですから。」


 少しでも安心できるようにしたいが、今は無理だろうな。


 あんなことがあって少し気分が不安定だろう。


 なぜ俺がここにいるか全部先輩に話した。


 先輩はその話を聞き頷いた。


 先輩一人にしておくのは気がかりだったが少しずつ生徒も増えてきたから大丈夫だと思った。


白谷「ね、浅木君いつからそこにいたの?」


 と、不思議そうな顔をした。


浅木「最初からいました。」


 そして、俺は謝った。


 いくら助けたとはいえ、あんなところを見られるのは恥ずかしいはずだ。


 先輩は顔を赤くして言った。


白谷「でも、助けてくれてありがとね。」


 少し照れくさく、早めに用事を済ませようと二人で職員室に向かった。


先生「遅い!何をしていた!浅木!」


浅木「ちょっとごたごたがあって」


先生「ん?何かあったのか?」


 俺は先輩の方を見た。


白谷「い、いえ。何もないです!」


 話さなくていいのか・・・


 まぁあんなことはあんまり話したくないのはわかる。


 頼まれごとというのは、昨日図書室で出したままの本があるから直しておいてほしいというだけのことだった。


 すぐに二人で図書室に向かった。


 が・・・図書室に着いたが・・・そんな本見当たらない・・・


 もしかして、誰か気づいた先生が直したのかもしれない。


浅木「何もないですね・・・」


白谷「そうね。なんだったんだろうね」


 先輩は笑顔になり笑っていた。


 いつまでもそれを見ていたかったが・・・ないのなら教室に戻らないといけない。


浅木「実際あったとしても、全部片付けることは無理な時間でしたね。」


白谷「そうね。でも、その用事のおかげで助かったから私は嬉しい・・・かな」


 少し照れくさくなり俺はそのまま帰ろうと後ろを振り返ると。


 白谷先輩が声をかけてきた。


白谷「え、もう行っちゃうの?」


 少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。


 あの男子のこともあるだろうが、俺もホームルームがある。


 ずっとついていてやりたかったが、そういうわけにもいかない。


浅木「すいません。もうすぐホームルームが始まりますので。」


 時間を見たらあと110分あった。


浅木「あの男子の先輩は今は手を出してきませんよ。もう人が増えてきていますから。でも、気をつけて下さい。昼休みとか、一人になったりしたらだめですよ。」


白谷「うん。わかった。」


 放課後までは大丈夫だろうと思い、先輩に別れをつげ教室に戻った。

 ジリリリリリリリッ


 いつものように俺を起こそうと目覚まし時計が必死に音をたてていた。


浅木「ん・・・もう朝か・・・」


 早く準備をしないと学校に遅刻してしまう。


 俺の名前は「浅木 純」近くの高校に通っているごく普通の高校1年生。


 その高校では、勉強も楽しいが、もうひとつ楽しみがそこにはあった。


 俺は自転車に乗り、高校に向かった。


 学校の校門に俺の待ち人が立っていた。


白谷「純君、おはよ~」


 毎朝俺を出迎えてくれるのがここの高校の2年「白谷 麻美」だ。


 この人とはいろいろあって付き合うようになった。


 それは俺が高校に入って1ヶ月くらいして、先生から荷物運びを頼まれたときのことだった。


 俺は先生に頼まれた荷物を運ぶために資料室に向かった。


 そこにあった荷物は約20個それを一人で運べというのはちょっときつかった。


 が、先生の頼みは逆らえないのであります。


 少し急いでその荷物を運んでいた。


 ちょうど半分を運び終わったころだった。俺が荷物を運ぼうとした時、後ろから声がした。


 振り返ってみると、そこには一人の女性が立っていた。


??「すいません、遅れちゃって」


 少し息を切らしながら謝っていた。


 俺は何のことかわからなかった。


浅木「手伝いですか?」


 その女性に聞いてみると、


??「はい。手伝いに来ました」


 先生は俺一人にやらせていたので、なぜ他の人が来るのかがわからなかった。


??「これ何処に運べばいいんですか?」


 自分が持っていた荷物を運ぼうとした。


 この人は何をしたらいいのか、わからないらしくあたふたしている。


 どうやら先生には詳しい話は聞いていないらしい。


浅木「じゃあ、そっちの荷物お願いします。・・・え~と?」


白谷「私は2年の白谷です。」


浅木「じゃあよろしくお願いします。白谷先輩」


白谷「こちらこそ、よろしくお願いします。」


 軽く挨拶を交わして仕事に戻った。


 先輩は軽いやつをお願いすることにした。


 俺の重いほうを手伝おうと言ってきたが、二人で重いのを運んでいると時間がかかりすぎてしまう。


 心配してもらえるのは嬉しい。だが、これは女の人にこの重さはきついと思った。


 俺は体力があるほうなので大丈夫だった。


 先輩が手伝ってくれたので、30分で全部運び終わった。


浅木「あいたたたっ」


 最後の荷物を運んでいるときに段差に足を引っ掛けて転んでしまった。そのときに擦りむいたらしい。少し血が出ていた。


 俺も体力があるとはいえ、あの荷物の重たさには少し疲れた。


白谷「大丈夫ですか?保健室に行きましょう。」


浅木「大丈夫ですよ。こんなの唾つけとけば直りますって」


 先輩は少し困った顔をした。


 そんな顔をされたら俺のほうが困ってしまう。


 俺は言うことを聞いて行くことにした。


 保健室に入るが誰もいなかった。


浅木「誰もいませんね。」


白谷「いいからそこに座ってください。」


 治療されている間先輩の顔が視線に入った。


 不覚にも見惚れてしまった。


 こんなに可愛い人と仕事をしていたとは・・・


 そういえば白谷って聞いたことあるな?


 と、思いながら下の名前を聞いてみることにした。


浅木「先輩の下の名前ってなんていうんですか?」


白谷「え?ぁ~麻美よ」


 俺は、はっと思い出した。


 「白谷 麻美」っていえば2年で、一番可愛くて、誰もが憧れる人と友達から聞いていた。


 でも、ガードが固すぎて告白したやつは全員振られているのだ。


 ひとつ疑問に思ったことがことがあったので聞いてみた。


浅木「先輩は皆川先生のこと知ってるんですか?」


 皆川先生というのは今年入ってきた新しい先生だ。とても接点があるようには思えなかった。


白谷「なんで?」


浅木「皆川先生に頼まれたから来たんでしょ?」


白谷「違うわよ?私は風紀委員だから手伝いに来たんです。」


 なるほど、と思った。


 この人は風紀委員だったのか・・・


 だから、風紀の委員を決める時にあんなに男子が立候補していたことに納得がいく。


白谷「ということは、あなたも風紀なのね?」


浅木「いえ、違います。」


白谷「え?じゃあ、なんでこんな仕事してるの?」


 俺は先輩に風紀の先生が担任で、それで頼まれたということを伝えた。


 先輩はそんなんだ、と頷いた。


 それから、少し話して別れた。


 家に帰り着き食事と風呂に入りベットの中へ入った。


 今日は少しいいことがあった。


 もしかして・・・これから・・・何かあるかも・・・

 

 そして、俺は少し妄想しながら眠りについた。

俺は今、楽しい生活を送っている。


父と母は海外へ仕事に行っていて、今は一人暮らしみたいなことをしている。

この楽しい生活をいつまでも続けていけると思っていた。


そう


普通に暮らして


普通に家に帰り


普通に過ごす。

自分自身の運命なんてわからない。

まして他人の運命なんてわかるわけない。

もし、変えられる運命があるのなら…

あなたは変えたいと思いますか?

真実への探求者。


それは偽りを暴き、それを真実へと変える者。


探求者はゆく。真実を求め。


あなたたちは偽りは時として真実となるという。


それは、人を傷つけないため。


周りを大事に思っているからこそ。


そう呟く。


真実の探求者は答えた。


それは、本当に他人を守るためなのかと。


人々は言う。そうだと。


真実の探求者は否定した。


それは、他人を守るためのものではない。自分を守るための偽りであると。


人々は答えない。


そう、それが真実だと知っているから。


真実の探求者は言葉を続けた。


偽りなどこの世にいくらでもはびこっている。だがしかし、それはすべて自らを守るもの。決して他人を守るものなどではない。なぜだかわかるか?


人々の中にいた少年が答えた。


自分自身が一番かわいいから・・・と。


真実の探求者は答えた。


確かにそれも一つの答えであるだろうと。


しかし、人々は恐怖しているのだ。孤独になることを。


真実を告げることにより、嫌われ憎まれるということに。


だが、違うのだ。


それだけではない。


信頼。


友情。


関係するものはいくらでもある。


しかし、それは偽りからは生まれない。


偽りから生まれるのは、疑惑、疑念。


相手をすべて疑うこと。


相手のことを知らないのにもかかわらず、疑う。


長い時間一緒だから。


そんなものはただの言葉遊び。


本当の信頼はそんなことでは生まれない。


人々は尋ねた。


ならどうすればいいのかと。


真実の探求者は答えた。


言葉に出しての偽りはもう取り戻せない。


責任というものがついてくるのだから。


これから変わればいい。少しずつ。


例えどんな状況に陥ったとしても、偽りは不幸しか招かない。


それは、もう知っているはず。


人間というものは綺麗な宝石ではない。


誰だって汚れている。


でも、その汚れは時として、周りをも魅了できる自分の誇りとなる。


そうなれるように進めばいい。


自分の道は自分で切り開くように。


そう


自分の道を切り開けない者に、他人の行く道を切り開くことなんてできないのだから。


真実の探求者はゆく。


偽りをなくすために。


これからも


この広い世界を見守るために。