彼女は時々ストライキを起す。

全てを放棄・拒否して自分の世界に没頭する。

そして時々、自分自身をも否定する。

存在する全てのものが自分に干渉することを許さず、ただひたすらに時間をすごしていく。

もしかしたら、時間は関係ないのかもしれない。

彼女は自分の世界の中で、いったいなにをしているのだろう。

ボクのキモチも届かないようなとおい場所で、ただ爪を噛んでいるなんてことはないだろう。

いや。

案外そんなものなのかもしれない。

彼女の世界の中でおきることは、全て彼女にとって意味のあることなのだから。


壁際で壁と向き合っているボクに話しかける声。


「いったい何を考えているの?」


あぁ。

彼女のストライキが終ったんだ。

ボクは振り返り、彼女の顔を見る。

ストライキ前ともストライキ中とも何も変わらない顔。


「やぁ。」


ボクはマヌケな声で話しかけた。

相当ぼんやりしていたんだ。


こんな日常でも、彼女にとって意味があるのだろうか。

ボクの素朴な疑問だ。

夜遅くの、メールかなんて、気にしてもいないけれど。

どうせ見るのは明日の朝なんだ。

夜行性でもメールは昼しか見ていない。

時間どうり正確には届かないし、その時差がもどかしいし。


人の文字を打つ早さも気にしている。

早ければいいなんてことは絶対にない。

すくなくとも、私の今いる、そしてこれからもい続ける世界には。


キミを見るボクのいる世界に存在しないものはキミなのかもしれないね。


そこまで言い切るつもりはないけど。

何もないけれど。


でもボク知っているんだよ。


キミの世界にもボクはいなくて、今はかろうじてそこから見えているだろうけれど、すこしたてば消えてるんだってこと。


空色の窓辺

花瓶がひとつ

何にも無い花瓶だったので

ボクが勝手に花を生けた

世界の果てまで探しても

絶対に見つからない美しい花を

星の降る夜に開くんだ


空色の窓辺

写真がひとつ

この写真の人物は

さて誰だっただろうか?

ずっと遠い昔

なのだもの


空色の窓辺は無限大

どこまでも どこまでも

ひろがっていくんだ

その日も変わらず、ボクは無といっしょにニュースを見ていた。
どこかの知らないだれかの自殺のニュース。
「どうして自殺するんだろうね。」
ふと思い、無に聞いてみた。無は笑顔で、
「自殺は、空が迎えに来たから。お日様は虹で、星は雨でしょ?だから。知ってるでしょ?ボクもシルシもきっと見たことある。」
と言った。
「君のように生きて生きたいのに、どうもうまくいかないんだ。どうしてだと思う?」
…本当に、無のようにとうめいに生きていけたらいいのに…。
「みてみて、お日様が遊びに来たよ。黄色いね。オレンジでピンクだ。きれいだよね?」
無は無邪気に笑って窓の外を見た。
事情が事情だから、最近はずっと昼間に外に出ることが出来ず、移動もずっと夜にしていた。
「シルシ、外にでたいな。お庭で遊んだらダメ?」
「…。」
力の代償なのか、無はいつまでたっても5歳程度の子供のままだった。
と言ってもそれは中身のことだけで、体は十六、七ぐらいのいい加減でかい少年だ。
けれど、無にどんな力があろうと、外見が二十歳前だろうと、結局子供であることは変わらない。
出来るなら、外に出してやりたい。
太陽の光を浴びて外を走り回るほうが、体にも心にも、良い。
「シルシ…?ダメ?」
悲しそうにこちらを見る無に、少しだけでも…と、心を動かされる。
「…少しだけだよ?」
「ホント?!」
目を見開いて、次の瞬間笑った。
無の笑顔が、本物のたいようなのかもしれないと、錯覚した。
我ガ名ハ雨ノ子~体のない子供~




子供ガ傘モササズ、ドコカデ雨宿リヲスルデモナク、
タダヒタスラニ、雨ニナッタ母ニヌレナガラ、
蝸牛ニナッタ父ガ殻カラ出テ来ルノヲ待ッテイル。
通リスガッタ男ガ不思議ニ思イ話カケル。
「ドウカシタノ?キミ、ナマエハ?」
ソノ子ハコウ答エタ。
「我ガ名ハ雨ノ子。」




キャスト
男・・・サラリーマン風の男。20代なかばぐらい。
けっこう世話好き。言ってもないのに助けたりするので損をしていることもある。
子供・・・幼稚園の年長くらい。性別不明。
なんとなくさびしげな、なぞの雰囲気のこども。



-----雨の音。微かに曲が聞こえる。(電車かもしれない)ここは駅のホーム。
駅名の書かれた看板と、ベンチ、街灯1つしかない殺風景なところ。
しばらくして開演ブザーがなる。(曲と雨音は劇の上演前から流しておく。とめない。)
夕間暮れの空。ベンチに子供が座っている。傘はさして居らず、手のひらに何かのせている。
右斜め上を見つめ動かない。微かに聞こえる曲に合わせて唇が微かに動いている。
どうやら歌っているようだ。しばらくするとサラリーマン風の男がちいさな折り畳み傘を持って現れる。
その傘の柄は・・・とてもじゃないが、サラリーマンが持っている傘の柄には見えない。-----





男「すっかり遅くなったな。・・・ん?(子供にきずく)わ、びしょぬれ。だいじょぶかい?」

子供「(うなずく)」

男「そ、そうかい?そうは見えない・・・。あ、傘いるかい?良ければあげるよ。
100¥で買った傘だし。はい。(さしかけてあげる)」

子供「(首を振る)」

男「あ、いらないか・・・。そうだよね。100¥だもんね・・・。(いじける)」

-間-

男「さむくないかい?」

子供「(うなずく)」

男「そう・・・。何してるの?」

子供「(答えない)」

男「って、電車を待ってるに決まってるよな・・・。」

子供「(首を振る)」

男「ちがうの?」

子供「(うなずく)」

男「じゃあ・・・」

子供「お父さんを・・・」

男「え?」

子供「お父さんを待っているんです。」

男「そっか。」

子供「(うなずく)」

男「お父さんはお仕事?」

子供「(首を振る)」

男「じゃあ、おでかけ?」

子供「(首を振る)」

男「そう。あ、お名前なんて言うの?」

子供「・・・雨の子。我ガ名ハ雨ノ子。」

男「ふ、ふぅん・・・。で、どの辺にすんでるの?もう暗いし、家まで送ろうか?」

子供「(首を振る)」

男「そっか。でもお母さん家にいるんだろ?きっと心配してると思うよ。」

子供「(首を振る)」

男「え、なんで?・・・もしかして、お母さんいないの?」

子供「この世界にはいません。」

男「じゃあ?」

子供「今日は空から降りてきてます。」

男「え?」

子供「(男の顔をみて)私の母はこの雨です。」

男「?」

子供「父はこの蝸牛です。」

男「・・・へ、へー。」

子供「嘘なんかじゃないですよ。私が胎児だったとき、私の心臓は止まりました。
    私は死産で生まれるはずだったのです。それを知った両親は、
    私の魂をこの世にとどめるために自ら神に魂を売ったのです。
    そして私の魂はこの世にとどまったのです。ですがそうもうまくいかず、
    私の体はこの世にとどまらず、生まれつき体のない子供になってしまったのです。
    どうすることもできなかった神は、母を雨に、父を蝸牛に変えて私のそばに置いたのです。
    そして神は私に名前を与えた。”雨ノ子”と・・・。」

男「・・・。」

子供「この話は父から聞いたのです。この話をした後から、父は殻から出てきません。
    今日のような日なら、朝起きて顔を出し、一緒にいつもの歌を歌い、
    だれもいない広場で遊んでいました。なのに今は出てこない。
    だからこうして出てくるのを待っているんです。母と一緒に。」

男「・・・見せてくれないか?」

子供「(首をかしげる)」

男「お父さん。」

子供「(うなずきわたす)」

男「(受け取り)あぁ・・・。干乾びてる。」

子供「?」

男「お父さんは・・・この中から出て行った。いなくなっちゃったんだ。」

子供「・・・。」

男「埋めようか、お父さん。」

子供「(うなずく)」

二人で殻を埋める。

男「これからどうするの?」

子供「・・・。」

男「一緒に行かないか?」

子供「なぜ?」

男「僕も・・・生まれつき体のない子供なんだ。」

子供「・・・どこに行くの?」

男「どこだろう・・・」

-間-

男「何か聞こえる・・・」

子供「母さんだ…。」

男「・・・ここに今、僕がいないこと・・・しらなくて・・・」

子供「・・・。」

(電車の来る音)

男「電車が来るよ。」

子供「そうだね。」

2人、舞台中央で手をつなぎ、電車を待つ

電車が到着した音とともに暗転。

     ---幕---
背骨虫(仮)

キャスト
ひなた…背骨虫と人間のあいのこ。人間も背骨虫も愛せず、とても醜い。ごごのこども。ごごのことは背骨虫に聞いたことしか知らない。
ごご…背骨虫たちへのイケニエとして「虫の崖」に置き去りにされた男の子。15歳になったその日に背骨虫に犯されて死ぬ。
母…ごごの母。政府の人間に脅されて、自分たちの命のためにごごを「虫の崖」に置き去りにする。その時に逃げ損ねて背骨虫にくわれる。
父…ごごの父。母とともに「虫の崖」に行くが、くわれずに帰ってこれた。
政府の人間達…たくさんいる。したっぱ。
一番偉いとされてる人…なんて書いたらいいか迷ったけどけっきょくこんなかんじになりました。ひなたに殺される。
少女…詳細未定。


今はいつだろうか…。遠い昔のような、懐かしい風が吹き抜けている…。でも風景は見たこともない。未来なのかも知れない。
ここは「虫の崖」。人間達はこの崖のしたの背骨虫たちに、できすぎた平和をおびやかされている。
夜でも昼でも腹がすけば人間の暮らす地に赴き、人をくらいかえって行く。
それが毎日。これ以上人が死ぬのは耐えられないと偽善者の政府の人間は、自分たちの命のためにイケニエをささげた。


母「ごご…。許してね。みんなのためなのよ。」
父「おい、はやくしないと背骨虫にくわれるぞ。」
母「わかってるわ。でも、もうちょっと。」

虫の羽音

父「あぁ、背骨虫だ!!に、逃げるぞ!」
母「もう少し、もう少しごごといさせて!」
父「早く来るんだ!」
母「(父にひっぱられて)あ、ごごー!」

虫の羽音大。まだら模様の光になる。虫たちの影だ。赤ん坊のごご泣く。

母「はなして!ごご!ごご!」
父「おい!」
母「(ごごに近寄り)このこを食べるなら代わりに私を!」

母、崖から落ちる。

父「おまえ!」
母「ごごを・・・。」

ぐしゃっという嫌な音がする。母が食われたようだ。ごごの泣き声が激しくなる。

父「…。(急いで逃げる。)」

鳴き声とまる。

ひなた「何で生まれたんだろう。ぼくは、何で生まれたんだろう…。ぼくは生きているのだろうか…。生心地がしないんだ。
    ぼくは醜い。人に愛されない。ぼくも愛せない。人はおろか生みの親の背骨虫でさえ、愛せない。
    愛するどころかぼくは…、ニクンデル。すべてがにくい。人も、虫も、自分さえも…、許せない。」

暗転

ごご「(上に向けて)ねえ、虫さん。ぼくおなかすいちゃったんだけど、何かない?」

鳴き声が聞こえる。

ごご「わかった。まってる。」

ひなたがでてくる。

ひなた「こいつはぼくの父親だ。置き去りにされて、ほんとはくわれてしまってもおかしくなかったのに、
    背骨虫たちはぼくを作るために、こいつを15までそだてた。
    背骨虫は人間に造られた兵器だった。なかなか死なず、敵をたくさん殺せる生きた兵器だ。
    しかし背骨虫は強すぎた。人間が操作できるような甘っちょろいものじゃなかった。
    背骨虫には心があったんだ。自分たちを造った人間を怨み、憎んだ。腹癒せに人間を食らった。
    そして終いには・・・。」

ごご「おかえりー。あれ?何ももってきてくれなかったの?あ、なにするの?…んぁ…。ど、して?
   いたい!やめて、虫さん。…いやぁーーー!」

辺りくらくなりひなたにスポットライト。

ひなた「憎い人間の子供をある程度まで育てて犯したんだ。もともと人間をベースに造られたていたから、何の問題もなく受精に成功した。
    そのあと、用のなくなった親父をくらった。」
☆第一場面「ボクの死んだ日」

ベットに横たわった少年がいる。その周りには少年の母、父、医者がいる。
医者、少年の様子を見る。少年は死んでしまったようだ。

医者「午後6時27分、ご臨終です…。」

母「優(ゆう)!!!(なきくずれる)」

父「(母の肩を抱き涙をこらえる。)…。」

暗転

病院の屋上。さっきベットに横たわって死んでいた少年が倒れている。
気がついたようで、体を起こし始める。周りを見渡した。

優「…あれ?なんでボク、屋上なんかに…?(とかなんとかいいながら立ち上がる)」

ピカ「(そんな優を面白そうに見ながら)なにしてるの?」

優「キミ、…だれ?」

ピカ「私はピカ。キミは?」

優「ボクは…あれ?ボク、名前が思い出せない!」

ピカ「あぁあ、新人か。」

優「え、なに?新人?」

ピカ「あんた、死んだんだよ。たった今。」

優「え?でもボク、ちゃんと歩けるし、しゃべれるし、考えたりも…。」

ピカ「あんた何にも知らないんだね。ま、だれでも最初はこうだから仕方ないけどさ。」

優「…。」

ピカ「死んでもね、いきている時とたいして変わんないの。まぁ、生きている人には見えないし、いきてた時の名前も忘れちゃうけどね。」

優「でもキミは名前を…。」

ピカ「それはね、好きな本の主人公の名前を勝手に自分の名前にしたの。みんな勝手に自分に名前をつけるんだもん。死んだらこれがあたりまえ。」

優「…。」

ピカ「まだ信じられないんだ。ま、だんだんわかってくるし。慣れるまでは大変だと思うけど、だいじょぶよ。死んだんだから。」

優「死んだのって…、ぜんぜんだいじょぶじゃないと思うよ。」

ピカ「ふふ、死ぬことってみんな大事のように見るけど、実はいきていることと同じくらい普通のことなのよ。」

優「?」

ピカ「ま、そのうちわかるって。それはそうと、あなた名前はやく考えたほうがいいわよ。名なしのまんまじゃいろいろあれだから。」

優「あぁ…。どうしようかな。名前かぁ…。」

ピカ「そんなに悩むことかなぁ?ペットとかに名前付けるときもそんなに悩んでたの?」

優「知らない。」

ピカ「あっそ。もぉ、とっとと決めちゃいなさいよ。」

優「そんなこといわれてもなぁ…。」

ピカ「こういったもんはカンよカン。その時ふっと思いついた言葉でいいんだからさ。」

優「そんなもんかなぁ…。」

ピカ「そうよ。そんなもんよ。」

優「そっか…。じゃぁ…ユウ、とか?」

ピカ「なんでとかなのよ。…ま、いいんじゃないの?平凡な名前だけどさ。」

ユウ「うん…。」



ユウ「そういえばさ、あれって何?」

ピカ「あれ?…どれ?」

ユウ「ほら、名なしのまんまじゃあれだからって言ってたじゃない。」

ピカ「うん。」

ユウ「そのあれのこと。」

ピカ「あぁーあ!知らないよ。」

ユウ「えぇ?!知らないのにいったの?」

ピカ「あぁ、知らないよそんなこと。ていうか、きくの遅すぎ。もう20行くらい前の話じゃない。」

ユウ「21行だよ。」

ピカ「細かいこと気にすんな。」

ユウ「…ずいぶんてきとうだね。」

ピカ「あんたが細かすぎるだけだよ。いきてても死んでても、自分のことでさえ他人事のように思えてしまうことって、あるのよ?」

ユウ「いや、そんなこと疑問形で言われても…。」

ピカ「いいのよ、何でも。もっと先いけばきっとわかることだからさ。」

ユウ「…。」

ピカ「で?これからどうするつもりなの?っつっても、まだ死んだばかりだしね。」

ユウ「…どうしたらいいの?ボクは…。」

ピカ「そんなこと私が知るわけないじゃない。あんたの問題なんだからさ。」

ユウ「…。」

ピカ「しょっちゅう黙り込まないでよ。妙な間ができて居心地悪いじゃない。」

ユウ「ごめん。」

ピカ「まぁ、あんたがしたいようにすればいいじゃない?なんかあったんじゃないの、いきてる時にしたかったこと。」

ユウ「…わかんないや。」

ピカ「はぁ…、あんた見たいのははじめてみたわ。とりあえず私のいつもいるところにおいでよ。友達もいるし。ね?」

ユウ「…うん。」

暗転

☆第2場面「居場所」

ここがピカのいっていた「いつもいるばしょ」らしい。お世辞にもきれいとはいえない。
何人かの人が談笑したり何か食べたりはたまた眠っていたり、いろいろなことが現在進行形にある室内の時間。

ピカ「よお!」

オルト「やあ、ピカ。今日はどこ行ってたんだい?」

リィヤ「どうせ図書館かなんかだろ?」

マメ「どーせどーせ。」

ピカ「ちーがうよ、今日は散歩に行ってたんだよ。で、拾ってきた。(と、ユウを前に出す。)」

オルト「拾ってきたって、猫じゃないんだから。」

リィヤ「犬じゃないんだから。」

マメ「グリフォンじゃないんだから。」

ルゥ「人間じゃないんだから…。」



ピカ「いや…、どうみても人…(間。)」

オルト「(ピカの言葉を押しつぶすように)猫!!!!」

マメ「(オルトと同時に)グリフォン!!!!!」

ルゥ「(2人と同時に)パソコンのウィルス!!!!?」

ピカ・オルト・マメ「(ルゥに)おめぇは黙っとけ!」

ルゥ「なぜにボクだけ???」

ピカ「(ユウに)ま、といったところなんだよ。」

ユウ「いや、ぜんぜんわけわかんなかったんだけど…。」

オルト「まぁ、いいじゃないか。」

マメ「そそそ。」

ルゥ「(何か言おうとするが)」

ピカ・オルト・マメ「黙っとけってこの○×△■☆…!!!!!(3人ともまったく違うすっとんきょうなことを言う)」

ルゥ「…。(落ち込んで下手袖近くに座りこんで地面を指でなぞる。どうやらいじけているようだ。)」

ユウ「…。」

ピカ「あぁ、(ユウを指して)しらけてる、しらけてる。」

マメ「どこが?」

オルト「ここらへん?(と、適当なところを指す。)」

ユウ「(反応の仕方に困っているようだ。)…。」

マメ「困っちゃってる…。どうすんのさ。」

ピカ「とりあえずユウは私の名前は知ってるからあとのやつらを他己紹介!」

ユウ「はぁ…。」

ピカ「これがマメ。ただのガキ。」

マメ「そりゃないよう。(ユウに)よろしくな。」

ユウ「はい。」

ピカ「で、これがオルト。」

オルト「はいはい。よろしくね、ユウ君。」

ユウ「はい。」

ピカ「で、そこのクズがルゥ。」

ルゥ「イジイジ、イジイジ…。(まだいじけてるようだ。ピカがそんなルゥをとび蹴りで吹っ飛ばす)のぉぉぉぉぉん!!!(吹っ飛ばされていなくなる)」

オルト「袖まで飛んでったな。」

マメ「記録更新だな。」

ピカ「おーい、ルゥ。戻ってこーい。なにぐずぐずしてんだよー。」

マメ「自分で吹っ飛ばしたくせにそれはないんじゃない?」

ピカ「またたびあげるから~。」

オルト「あれ?金華ハムじゃないとダメじゃなかった?」

ルゥ「ま~た~た~びぃ~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

マメ「またたびでよかったみたいだね。」

ルゥ「あれ?またたびどこ?」

ピカ「ない。」

ルゥ「そんなぁ・・・。」

オルト「ほれほれ、そんなことよりユウ君にごあいさつしたらどうだい?」

ルゥ「よ、よろしくぅ。」

ユウ「う、ん。」
おうちの、自分の部屋の中。
一人でられづにいる少年がいた。

扉の前。
風を追いかける少年がいた。

扉の向こう。
孤独なかみさまがいた。

たくさんの人とボクとかみさま。

中継する風追ウモノ。

風と風との隙間できらりと光った。
次の瞬間に見えた色が、あなたの心の色です。

☆-キャスト-☆


 ・ボク…引きこもり。自分の部屋と、自分自身に引きこもっている。冷凍マグロめ…w。


 ・風追ウモノ…風をひたすら追いかけている。実は成長することをやめてしまったピーターパンのような少年。


 ・かみさま…かみさま。少年のような姿だけれど、なんとなく、性別をこえた、あるいは性別のもっと手前にいるような雰囲気が感じられる。


 ・無感情な人…ボクがもう一人の自分だと、勘違いする。

 ・好き嫌いの激しい人…ボクと会ってすぐ口を開いて「お前キライ。」w。

 ・慈悲深い人…「あなたはかわいそうな人だ。」ひたすらボクをかわいそうがり、助けられない自分までもかわいそうだと語る。微妙w。

 ・憂鬱な人…けだるそう。まさに俺だw。

 ・悲しい人…憂鬱な人に似てるけど、説明のつかない悲しみにおぼれているため涙も出ない。苦しんでる。

 ・さびしい人…周りの人の愛に気づいてない。

 ・病気の人…不治の病にかかってる。でも、幸せそう…。

 ・男装好きな人…なぜ女に生まれたのかと、怒ると言うか不思議に思っている。

 ・料理の下手な人…とにかく料理が下手。

 ・高飛車な人…高慢ちき。ムカツク。

 ・ろくでなしの人…なぜろくでなしと言われているのかわかってない。

 ・人でない人…人でない人と呼ばれ続けてきた。「じっさいそうなのかもしれない。」彼はかたる。

 ・誰でもない人…このよで誰でもない人なんてたくさんいるし、一人もいないのに…。

 ・自分を見失った人…記憶喪失ではないけれど、本来の自分を見失ってしまったらしい。他人の人格をまね、それにすがり付いて生きている。

 ・色をなくした人…「すべての色が、私から消えていったのです。もう私は私ではない。」このひとは画家。描けないと嘆いてる。

 ・言葉をなくした人…しゃべらない。しゃべれるはずなのに、しゃべるのをやめてしまったのだ。なにもせづ、そこにいるだけ。

 ・天才な人…天才と言われているけど、自覚がない。自分のことはバカだと思ってる。

 ・バカと呼ばれる人…いつもバカだと言われている。でも、悲しくないそうだ。バカのほうが楽チンだから。

☆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー☆

少年(ボク)が座り込んでいる。何かの扉の前で、立ちすくんでいくらかたって、座り込んだのだ。
どうにかならないかと打ちひしがれているけど、どうにもならないのを知っている。
全部知っているようで何も知らないんだ。

風追ウモノ「風だ風だ風だーっ♪まてーっ、まてまてーっ!!!」

虫取り網に似たきらきら光るものがたなびくものをもって走り回っている。
袖に引っ込んだりもするし、しばらく帰ってこないなぁ、と思ったら泥だらけだったり…。
きっとどっかで転んだのだろう。

風追ウモノ「いててててぇ。ちぇっ。また逃がしちゃったよ。」

しばらくじっと立っている。風を待っているようだ。
キラリ。
何かが光った。
風追ウモノがさけびながら猛然と走り出す。

風追ウモノ「かぜだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

走り去る。
ちょっと前からそれを眺めていた少年がため息をつく。
まるで「やっとうるさいものがいなくなった」とでもいうように。
そんな少年の安堵もむなしく…

風追ウモノ「まぁてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

また出てきた風追ウモノ。
舞台真ん中で飛び上がり、虫取り網に似たものを振り下ろす。
そのまま体もつられてべちゃりと地面に落下した。

風追ウモノ「…。」

…死んだのか?
少年がその場で声をかける。

   ボク「…だいじょぶですか?」

言葉とは裏腹に、無感情な声だ。
「社交辞令」とか、「何も言わないでうらまれたらたまったもんじゃない」と言った感じの声だ。
それに返事をしない風追ウモノ。
まさかほんとに…

風追ウモノ「(倒れたまま)その言い方じゃ、ちっとも心配してないんだろ?」

   ボク「…は?」

風追ウモノ「(起き上がって)それじゃぁかみさまには会えないよ。」

   ボク「…何のこと?」

風追ウモノ「しらばっくれなくてもいいじゃない…。」

   ボク「…。」

風追ウモノ「全部とまではいけなかないけど、今しょってる思いはわかるもの。
     考えてることと思ってることは、大体一致してるからね。(照れたように)わかるんだ。」

   ボク「…。」

風追ウモノ「おいおい、…(てんてんてん)ですむせりふなんてほんの一握りもないんだよ。
     むやみやたらにつかうなよぉ。」

   ボク「…どうしたらかみさまに会える。(きいているようなニュアンスではない)」

風追ウモノ「今の君じゃあえないってば。まぁ、そのよどんだ空色のこころをどうにかできれば会えるかもしれないけど。」

   ボク「…ナニそれ。」

風追ウモノ「わからない?」

   ボク「(うなづく)」

風追ウモノ「仕方がない。今とったばかりだけど、使ってあげるよ。まだまだあるしね。」

   ボク「…何を?」

風追ウモノ「"風の砂"さ。」

   ボク「…風の砂?」

風追ウモノ「(かばんから灰色の砂の詰まった小瓶をだして見せて)これだよ。」

   ボク「…それをどうするの?」

風追ウモノ「(小瓶はしまって網の中からつかみ出す。)こうするんだ。」

フワッと風が吹き、手のひらから風の砂が舞い上がる。
あたりは風追ウモノのこころの色とボクの色とに包まれる。
風追ウモノのこころの色は晴天色らしい。
風追ウモノのまわりに抜けるような青空が広がる。
しかしボクのほうには曇天模様の蒼空が広がっている。
その境界線は風の砂の色に染まっている。

風追ウモノ「みてごらんよ。その色。ボクのも人のこといえないような色けど。」

   ボク「…だから?」

風追ウモノ「だからって…。あのねぇ、普通の人はそんな色ぢゃないの。ピンクとか、若草とか、そういうもっとやさしい色なの。」

   ボク「…あんたは何でその色なの?」

風追ウモノ「ボク?ボクは、大きくなることをやめてしまったから…。」

   ボク「…年をとらないの?」

風追ウモノ「やめちゃったからね。大きくも小さくもなれない。」

   ボク「…後悔しているの?」

風追ウモノ「…いいや。たまーにどうしてやめちゃったんだろうって思うこともあるけど…。」

   ボク「…また年を取れるようにはなれないの?」

風追ウモノ「できないよ。一度決めたことは、それが終わるまで続くんだよ。」

   ボク「…。」

風追ウモノ「キミもボクに近くなってる。でもだめだよ。ボクのようになっちゃ。」

   ボク「…なんで?」

風追ウモノ「たくさんの出来事を…、特に悲しいことやつらいこと。全部受け止めて終わりのない道を歩いていけるかい?」

   ボク「…今の状態よりはましだろ。」

風追ウモノ「(悲しそうな顔をして)…そっか。…ぢゃぁ、かみさまに会うしかないね。」

   ボク「え?」

風追ウモノ「連れて行ってあげるよ。」

ボクの手を引いて風追ウモノは扉の向こうへ入っていった。

暗転

明かりがつくと、ボクが一人真ん中で突っ立っている。
風追ウモノはいないようだ。
灰色の冷たい感じのする部屋だが、窓がたくさんあり、それぞれから違う色がふきだしている。
ココには天井がないのかと思うくらい果てしなく壁は続き、窓もたくさんある。
ボクの近くには、風追ウモノのこころの色にそっくりな光を放つ窓がある。
ボクはそれに気づき、その窓をのぞきこんでいる。
いつの間にか、音もなく入ってきていたかみさまが話しかける。

 かみさま「気に入ったかい?」

   ボク「え?」

 かみさま「ん?それは風追ウモノの窓だね。いつみてもきれいな晴天色だ。」

   ボク「…誰?」

 かみさま「あぁ、それをきかれるたびにどう答えようか迷うんだ。誰と問われても、名前がないので答えようがない。」

   ボク「…なにそれ。」
ある街に有るある土地に住み着いた少年のお話。
最初は森だったその土地はどんどんとその姿を変えていく。
伐採され、家が建ち、持ち主が何度かかわりそのうち老朽化したため取り壊される。
マンションになり、ビルになり、道になりそして・・・。
そうした時を過ごしていく姿の変わらぬ少年。
何も食べず、人とも話さず(と、言うよりもだれにも見えていない。)ひたすらに自分の中から外をのぞく。
「かみさまにおきざりにされたこの人達は、これからいったい何をするのだろうか…。」