さっきから眠れぬ夜を

          漕ぎ出せば待機電力は陸の灯

 

 

令和8年の寒い或る日、妻が亡くなった。

長い病気の末、真夜中だった。覚悟していたこととはいえ、やはり「これからは独り暮らしだな」と思うばかりだった。淋しいと思うよりこれからどう生きていこうか?としか思えなかった。

病気になったと言われてから12年だ。亡くなる3年前ほどから施設に入り、それでも看護師、介護士さん達に面倒を見てもらい、穏やかな年月を過ごすことが出来たようでなによりだったと思うしかない。

施設に入れ、私自身は10分と掛からぬ所に引越して1週間に二度、三度と会いに行っていた。もしかしたら最後まで二人で暮らしたかったのかもしれない。ときどき「いつになったら此処から出ることが出来るの?」とつぶいていたことを思い出す。

施設に入れたことは、自己満足だったのかなあ・・・今となっては後悔ばかりだ。