グレーゾーンから考える 土地評価大全/名義預金のブログ

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グレーゾーンから考える土地適正評価&名義預金の税務判断
本で書ききれなかったこと、補足説明をブログにしました。

相続税については、平成27年に基礎控除引き下げにより課税対象者が増加した。その改正は実務に大きな影響を与え、その余韻はいまもなお色濃く残っている。

 

従来の基礎控除は、

5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)

であったが、改正後は

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

へと4割引き下げられた。

 

当時の税制は、法人税が企業の国際競争力を高めるために減税の方向にあった一方で、消費税は平成26年4月に5%から8%へ引き上げられ、所得税も平成27年1月から高所得者層への増税が行われている。消費税の広範な負担増加とあわせて、富裕層への課税強化による格差是正が強く意識されていた時期にあった。

 

こうした流れの中で、課税割合が4%台にとどまっていた、つまり相続税が課せられる人は100人に4人であった相続税に目が向けられることとなった。

そこで、

①バブル期以後の税収が減少傾向にあること

②他の税目と比べて税収が少ないこと

③格差是正のために富裕層への課税強化されてきていること

④課税割合が4%程度と低いこと

などから、相続税の課税割合を6%程度にしたいというのが改正の趣旨であった(税制調査会平成24年度第5回資料)。

 

しかし、実際の課税割合は、改正後の平成27年には8%に上昇し、さらに令和6年には10.4%にまで達している。

 

また税収面をみてみると、平成27年改正では、基礎控除の見直しにより2,570億円の増収が見込まれていた。同年の小規模宅地等の特例や相続時精算課税制度の見直しによる減収項目を考慮しても、相続税・贈与税全体で2,420億円の増収が見込まれていた(平成25年度税制改正大綱)。

 

これも実績は大きく上回る。改正前の平成26年分の相続税収(申告税額ベース)は1兆3908億円であったのに対し、改正後の平成27年分は1兆8116円となり4208億円増収となった。見込みのほぼ倍に近い水準である。

さらに令和6年分では、申告税額は3兆2446億円に達し、平成26年と比較すると1兆8538円も増収となっている。

 

このように、平成27年改正は見込みを大きく上回る課税対象者の拡大と税収増をもたらした。であれば、小規模宅地の特例を拡大したり、税率を引き下げるなど、一定の減税方向への軌道修正が検討されてもよいのではないだろうか。