前置き
時は昨晩に戻る。
2日目の研修を終え、つまらぬ話から妻と口論になり0:30ごろまで寝ることができなかった。
どうやら妻は子供のイヤイヤ期とかいうやつで
ここ最近イライラしているようだ。
研修が始まってから俺は日記がわりにブログを書き終えてから家に帰宅している。
妻からすれば誰も読者のいないブログなんていいからさっさと帰ってこいと思うのであろう。
だが、俺の前職の部下の中には毎日仕事で何があったかを書き留めることは大切だと言っていた者がいた。
上司や会社側にいつ何を言われ、どう感じたかまで全て書き留めて、相手が忘れたとしても忘れないようにしているのだそうだ。
そうすれば問題が起きた時に全て言い返せると。
なるほど、今思えば俺も何かを日記に書かれていたということか
会社での口論は優しい会社に勤めている今の俺となってはあり得ないが、俺はこれを日課にすると決めたんだ!
話は妻との口論に戻る
我が家には使える車が一台しかない。
しかし俺はできることなら通勤に使いたい。
なぜなら電車通勤にすることによって片道30分は徒歩の時間が発生するからだ。
しかし俺が求職中に妻から言われていたのは、電車で通える場所にしてとのことだった。
妻は買い物や、子供の気分転換、友人との遊びにも車を使いたいらしい。
じゃあバイク買うわといっても、危ないからダメと言われ、買うことができず。
何のために二輪の免許を手にしているのか…
メルカリで中古バイクを探し、状態の良いものを見つけても、妻のダメの一言で毎回SOLDOUTを涙で見送ることに…
『早く起きて出社するこっちの身にもなれ』
と言うと
『わかったわ!じゃあ私も同じ時間に起きてやるよ!』
これが昨日の口論であった。
翌朝
慣れない早起きも3日連続ともなると目覚ましのウザイ音に耳が慣れ始めてくる。
『あと5分だけ寝かせて』
そろそろ自分の悪い癖が出始めてきた。
しかし今日は目覚ましが2個なっている。
妻の携帯の目覚ましだ。
どうやらまじで妻は意地で起きるつもりだったようだ。
しかしこのボリュームであろうとも目を覚さないのが我が妻なのだ。
いびきのボリュームのほうが大きく、目覚ましがかき消されている。
なぜ子供はこの怪獣音にも目を覚まさないのかいまだに不思議だ。
子供が目を覚ますとギャン泣きするので、
俺は妻の目覚ましを停止させ、そっと電車で通勤した。
前置きが長かったが、今日で研修3日目
今日は路上ステップ2だ。
研修3日目
研修3日目になって今更ながらに気づいたことがあった。
それは胸のバッジを見ればいいということ。
俺はバッジがまだ配布されていなかったので気づかなかったが、バッジにはしっかりと『研修中』との表記がある。
今までは誰がどんな立場の人なのか全く見分けがつかなかった。
めちゃくちゃ重役顔のおっちゃんや、コワモテのおっちゃん
『今日で研修何日目ですか』と聞いたら『どこの営業所だ貴様!俺を誰だと思ってる!』とでも言われそうな顔の人ばっかだから、どの人がどの立場かわからなかったが、これでようやく見分けはついた。
貫禄あるめちゃくちゃ重役顔のおっちゃんや、コワモテのおっちゃん、胸元見たら同じ研修生じゃねぇかよ〜笑
話しかけてみたら物腰柔らかなおっちゃんだった。
無駄に重役ぽい顔やめてくれよとツッコミたくもなった。
午前中はほぼ法的な話が多く、睡魔と空腹がヤバかった。
学んだ出来事をブログに覚えとしてまとめたいが、
ほぼ白目だった為まとめれない笑
唯一考えていたことは『今日お弁当注文するのを忘れた』と後悔していたことくらいだ。泣
穴場発見
昼になり、今日は弁当注文を忘れたので路頭に彷徨うことに。しかしここで思わぬ収穫があった。
研修所の近くの奥まった箇所にうどん屋さんがあった。
未知なる世界に足を踏み入れる為、少し入るのに勇気が必要だった。中を覗くと老夫婦が天ぷらをせっせと揚げているのが見えた。
入って天ぷらきしめんを注文。これがまたとんでもなく美味かったのだ!!
揚げたての天ぷら、大盛りで喉越しのいいきしめん。
思わず『うますぎるやないかっ!!どういうことやねん!!シェフ呼んでこいやぁ!!』とあまりのおいしさにキレそうになった。
1人での昼食だったため、この感動を共に分かち合えるものがいないため、1人で映画館で感動した時のようなもどかしさを感じた。
『言いたい、この出来事を言わせてくれ』
レイザーラモンRG的な言いたい病が出た。
なので研修部屋で弁当食ってる奴らに帰ったら自慢してやろうと心に誓った。
さっそく部屋に帰ると隣人から
『お昼行きましたか』と聞かれ、ここぞとばかりに自慢げに語ったら、熟知していたことに驚いた。
なんならおすすめのお店をおまけに教えていただいた。
うん、人生生きてればこんな事もあるだろう
俺のエネルギー補給
俺のエネルギー補給は昼休みにある。
エナジーやレッドブルで翼を授かっているわけではない。
それは娘の笑顔の写真、嫁の笑顔の写真を見ることだ。
家に帰ればなんともないただの一般家庭で、俺はビールを片手にソファーで携帯を触っているだけだ。
だが、なぜだろうか、仕事をしている中で家族の笑顔の写真を見ることで、『この笑顔を俺は仕事で守っていかないといけないんだ』と思える。
これが自分流のエネルギー補充
決してその辺のパパ連中よりもその力は強くはないだろう、けど自分にしか守れないものはあるんだと写真を見ているとなぜか思えてくる…
意外とオヤジらしくなってきたんかな
路上ステップ2
今回は昨日と違い、この辺りでも人通りや車通りの多い道を走行した。
普段走り慣れている道も、いつもの数倍以上に気を遣った感じがする。そしてなにより、周りにどんな建物があるのか、どんな通りの名前なのか、これらを気にして生きていなかったと、この研修を受ける中で痛感した。
普段入ることがなかった狭い通りに入ると、こんな道は知らなかったと思えるような世界があった。
これだけ長く住んでいても一歩道に入ると世界観がまるで変わる。
知る人ぞ知るような道も案内され、地元と思えぬ地区があることを知った。
相棒テンパる笑
路上研修は教官1人と、研修生2人の3人組で行われる。昨日今日と、同じ研修生ペアだった。
もう1人の方は男性で他県から研修を受けにきている為、あまりこのあたりの道に走り慣れていないそうな。
俺の20歳近く上の方で優しくかなりおっとりされている方。
その男性(以下相棒と呼ぶ)が住まれている地域とこの辺りでは道そのものが違いすぎる。
この辺は車線が多くごちゃごちゃしているし、昨日は冷静だった相棒も今日はごちゃついた道にテンパっていた。
教官『そこじゃない!今の所を右!あ、そこじゃない!!』
相棒『…!!?!!?』💦
このステージ2はここらへんで育った俺ですら結構テンパるほどだ。ゆったりした街並みから出てきている方には少々荷が重い。
グルグルと同じ景色を周り、冷静だった相棒のテンパる姿、教官の『そこじゃない!そこ!あー、今の道だってば』
という飛び交うワードに少し笑みが溢れた。
力を試す時が来た
その後、少し時間が余ったのでブレーキの練習をしようとなった。
相棒は自動車学校を卒業し、俺はまだこれからということで、少しテクニックが必要な優しいブレーキのかけかたを教えてくれることに。
だが誰も知らないであろう、俺はこのブレーキのかけ方を数年前からこっそり練習していたのだ。
教官『優しいブレーキを教えるから一回そこで一時停止してみて』
発信→ブレーキ→スンッ…
一撃でやってのけた。
教官『…うん、悪くないね』
その後一時停止だらけの道も難なくこなしたと、ちょっとだけ『やったった感』w
そう。俺は昔から予習しておくことが好きなのだ。
カラオケ、ボーリング、ビリヤード、ダーツなど、日頃団体で遊びに行くようなものは全て完璧にマスターしないと気が済まない性格なのだ。
圧倒的な差をつけるのが好きでして。
恐怖
全員が研修室に帰り、レポートを書き終え、そろそろ終わりの時間に近づいてきた。
『今日は少し早く終わるんすね』などと話していたら最後の追い込みがあった。
教官リーダー『はい、では皆さん立って』
なんだかピリついた空気が流れた。
そういえば先ほどこの教官リーダーが注意をしていた研修生がシカトしていたようなシーンがあって、そこからなんだかピリピリとした空気が流れていたな。
教官リーダー『では○○さん、当社の接遇を一語一句間違えなく言いなさい!』
この接遇というのは、当グループにてタクシーをする上で、最も必要とされる言葉と言ってもいい言葉なのだ。
つまり最も洗練された挨拶のようなもので言葉には話す手順もある。
俺たち下忍は初日から頭に叩き込んでおくよう言われたが、慣れてくるとこの接遇をアレンジし始める。たとえば『よろしくお願いします』を『よろしくお願いいたします』というのもアレンジとみなされるのだ。
指名されたものは全員の前で一語一句間違えてはいけない。なぜならば、中忍、上忍は下忍の手本だからだ。我々は復唱する為、言葉を間違えると手本とならない為、不思議な圧がかかる。
『お願いだ神様、どうか指名しませんように』
その時全員の心の声が聞こえた。
1人終え、ホッと息つく間もなくランダムに指名され、間違えるたびに一人一人声が裏返っていき、
『私は覚えてます』的な顔でもしていないと身がもたない。
そもそも間違いの復唱も許されないため、だんだんと正解なのか間違っているのかすらわからなくなり、下忍衆も復唱する声が小さくなっていく。
予習大好きな俺もこの空気に自信がなくなり、次の言葉を思い出そうとするが出てこない
だが、これは大切なことだとも思った。
もっとも必要な言葉であり、シートベルトの着用のお願いの言葉など、この言葉は何かあった時に自分の身を守るための言葉でもあるからだ。
一言一言に洗練された重みを感じた。
アレンジできないのが慣れてきた人にとってはきついが、まさに初心忘れるべからずというやつか。
いや、タクシー運転手ぽくカッコよく言い換えるならば自分の身を守るためのシートベルトとでも言おうか。
やはり予習マニア
帰りの車内でテキストを確認し、何度も何度も接遇を繰り返して頭に叩き込みながら帰宅した。
なぜなら俺が上忍になったとき、指名される可能性があるからだ。
明日は休み。
今の所たったの3日間の研修だったが、1週間ほど経ったように感じた。
赤ちゃんは新しいことを覚えるから一年を長く感じるというが、まさにそのような感覚だ。
今年一年が幕を閉じる頃、俺は路上に独り立ちをして忘年会シーズンのタクシーが捕まえられない群衆を相手に戦っているのだろう。
その時この一年をどう振り返るのか…
さぞかし長く感じる一年なんだろう。
明日の休日をしっかりと体を休めることに使い、次回に備えようとおもう。
次回に続く