今日は三か月に一度の経過観察のための主治医診察です。
先日撮影したCT画像から再再発していないかどうかを確かめます。

前回の一月はじめの通院から病院は様変わりしていました。
入口の外側には野戦病院のようなテントがいくつもあり、おそらくコロナが疑われる患者を診ているのでしょう。
いつも混んでいるはずの病院はガラガラでした。
新型コロナウイルス肺炎対応に医療リソースを割くためにほとんどの診療科では初診の患者を断っており、また通院中の患者も受診控えをしていることがてきめんに混雑度合いに現れていました。
大病院は基本的にレッドゾーンであると想定した方がよいとのことで、私も今日はN95のマスクをしていきました。
防御力の高いN95規格のマスクは2017年に抗がん剤治療を始めた時に風邪やインフルエンザの予防のために何パックもまとめて購入したものです。
息苦しさが嫌で一度しか使わず死蔵していたものがここに来て役に立つとは予想もしていませんでした。

CTの結果、放射線化学療法を施した傍大動脈リンパ節の再発箇所は極めて小さく縮小したまま変化なしということで、画像上では再再発の兆候はありませんでした。
肺や肝臓にも転移巣は画像上は見られませんでした。
ただ、腎盂癌のような尿路上皮癌はマーカーがないのでどうしても「画像上は」という留保が付きます。
マーカー代わりに使えるかもわからない抗p53抗体は、今日の数値はまだ出ていないのですが、三か月前のデータを見ると基準値からけた外れに高く、経時的に見ても減少せず横ばいなので、おそらく癌細胞はまだ体の中にいてどこかで復興するチャンスをうかがっているのでしょう。
私の寿命が尽きる前に癌細胞が復興を済ませて再び増殖を始めたら私の負けとなります。
余談ではありますが、CTで撮った胸部画像にコロナの影が写っていたらどうしようと心配していたのですが、主治医いわくそんなものはないとのことで安心しました。

次の診察は3か月後ではなく、4か月後になりました。
限りある医療リソースを温存するためかもしれません。
単純CT撮影と膀胱鏡をする予約を入れました。
次の診察の8月、一体どうなっているのか予想がつきません。
無事迎えられればいいなと思います。

久しぶりに会った主治医は、手術がなくなってしまいまた患者も少ないので、顔色がよく元気そうでした。
病院としては通常診療にかける医療リソースを相当絞っているようでした。

実は今日、4月9日は手術から二年の日です。
二年前の今日は、抗がん剤治療によりやっと切除可能に持ち込めたがんを原発巣・転移巣ともに切除する手術のため、左腎臓・尿管を全摘し、膀胱を部分切除しました。
ちょうど今の時間は意識もうろうとしていた頃でした。
もしも新型コロナウイルスの流行が二年早かったら、私は手術を受けられなかったことでしょう。
ステージ4の切除不能のがんが長い抗がん剤治療によって手術可能になったところで中止となったらと考えると空恐ろしいものがあり、この4月や5月に手術を控えていた方のお心はいかばかりかと思うと言葉もありません。
コロナの影響で医療リソースが絞られることにより間接的ながん患者の治癒率の低下や死亡率の上昇がきっと報告されるのではと思います。

コロナの害は平等に見えて、弱者やマイノリティにより多くの害をもたらします。
今日もし再再発していたら、以前のようにセカンドオピニオンに何カ所も行って納得のいく治療法を探るなどということはできないと覚悟していました。
進行がん患者の納得や患者の権利やQOLや延命や治療なんて「不要不急」と切り捨てられる日が現実に来てしまったのではないかと今日の病院の様子を見て実感しました。
しかし、仕方ないと納得せずに主張することも大切なのではとも思いました。
声なき声は緊急時には届かないので、大きな声を上げることが必要です。


緊急事態宣言を受けて私の仕事も様変わりしています。
まずは感染防御の徹底ですが、必ず複数の感染者や濃厚接触者が出て就労不能になることを前提に体制を整えました。
つい先日付き合いの長い親しい友人がコロナウイルスによる肺炎で入院してしまいました。
東京はもうだめそうです。
私も遅かれ早かれ罹患するのだと思います。
できるだけ遅く、できれば治療の体制が整ってから感染するというのを目標にしています。
COVID治療の現場の最前線では毎日のように人体実験レベルの投薬が行われているそうで、勘のいいお医者さんたちが重症化を防いだり重症化から引き戻したりするための必勝法に気付くのも時間の問題だそうです。
データが揃い、機材や物資の供給が追い付いて体制が整ったあたりで満を持して感染できればいいなと思っています。
それまでは感染防御を心掛け、感染拡大のスピードをできるだけ落としていきたいです。
もしワクチン開発まで感染しなければ、安全に免役が付けられるので完全に勝ちです。

それにつけても政府の対策の遅れや不備や的外れさにはあきれています。
私は開業税理士として中小企業の経営者に何十年も寄り添ってきました。
だからこそその苦境はよくわかり、そして何が必要な支援なのかもそれなりにわかります。
何一つとして国は救う気がないのだろうと思いました。
私は計算する立場なので、この国の税金の仕組みやその重さは十分わかっています。
その支払いに見合うだけの、緊急事態に受けるダメージを軽減するためのグランドデザインに基づいた迅速な政策パッケージが作られることを二月の半ばからずっと待っていました。
一体どうなっているのでしょうか。