一ヶ月ほど前のニュースですが、ブログに書いていなかったことを思い出したので載せておきます。
以前よりたびたび書いてきた尿路上皮癌専用の分子標的薬であるエンホルツマブ・ベドチン(enfortumab vedotin)が昨年12月半ばにアメリカのFDAにて承認されました。
商品名はパドセブ(PADCEV)となったそうです。
日本では現在治験第三相を行っており、承認申請のための準備をしているとのこと。
キイトルーダやオプジーボ、テセントリクなどPD-1/PD-L1をターゲットとした免疫チェックポイント阻害薬の治療歴があり、かつシスプラチンなどのプラチナ製剤の治療歴がある尿路上皮癌患者にアメリカでは適用されるそうです。

詳しくはアステラス製薬のプレスリリースをご覧ください。
https://www.astellas.com/jp/system/files/news/2019-12/20191219_JP_1.pdf (PDF)
日本語でかなりわかりやすく詳しい説明が書いてあります。

何度もこのパドセブ(エンホルツマブ・ベドチン)について書いてきましたが、画期的なのは尿路上皮癌細胞のほぼ全てに発現している分子を目印に届けられ、くくり付けた細胞殺傷物質を放出して尿路上皮癌細胞だけを殺す抗体-薬物複合体(ADC)であること、そして高い奏効率(44%)や肝転移にも有効であることなどです。

さらにパドセブ(エンホルツマブ・ベドチン)はキイトルーダとの併用療法の治験第三相も現在計画中だそうです。
https://www.astellas.com/jp/ja/news/21626
今年の前半には国際共同治験第三相が開始され、日本の医療機関も参加するとのこと。

パドセブ単剤の承認申請やパドセブ+キイトルーダ併用療法の治験など、今年は尿路上皮癌患者にとってパドセブがキーワードになりそうです。
また、パドセブだけでなくFGFRをターゲットとした分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の併用療法など新たな治療の承認や治験が今年はどんどん出てくるでしょう。
ステージ4まで進んでしまうとなかなか治療方法が少ない尿路上皮癌ではありますが、少しでも長く生き延びれば新薬が次々と出てくるフェーズまで来ています。
希望を捨てず頑張って生き延びたいものです。