私の事務所では希望スタッフ分をまとめてインフルエンザワクチンの接種の予約をしています。
昨年はちょうど抗がん剤治療で入院していたためワクチン接種をしそびれていたのですが、がん治療中のインフルエンザ感染は非常に怖いため、今年は11月にワクチン接種の予約をしました。
しかしちょっと気になる情報を見つけました。
オプジーボやキイトルーダなどの免役チェックポイント阻害剤の治療中にインフルエンザワクチンを接種すると半数に免疫関連有害事象が起き、うちその半数がグレード3,4という重篤な有害事象が起きるとの論文があるそうです。

こちらで紹介されている論文を見てみました。
"Influenza vaccination of cancer patients during PD-1 blockade induces serological protection but may raise the risk for immune-related adverse events"
https://jitc.biomedcentral.com/track/pdf/10.1186/s40425-018-0353-7

インフルエンザに感染すると大変なので肺がん患者にはインフルエンザワクチン接種が勧められるそうなのですが、免疫チェックポイント阻害剤という免疫系に作用する治療中にどのようなことが起きているかを調べた論文です。

肺がんで免役チェックポイント阻害剤で治療をしている23人(オプジーボ22人、キイトルーダ1人)のインフルエンザワクチン接種後に起きたことについて調べたところ、12人(52.2%)に免役関連有害事象(irAE)が起き、うち6人(26.2%)はグレード3,4と重大な有害事象が起きたということでした。
免役関連有害事象(irAE)の内訳としては、皮膚発疹、関節炎、大腸炎、脳炎、甲状腺機能低下症、肺炎、神経障害などが起きたようです。

23人と人数が少なく、またランダム化していない報告なのでエビデンスレベルは高くないとのことなのですが、治療中のワクチン接種という大切なテーマを扱っていますので十分注目に値すると思います。

私はこのままいくと12月からキイトルーダ治療に入る予定ですので、インフルエンザワクチンを接種しても問題ないか主治医に相談してみます。
もちろんがんの治療中にインフルエンザに罹患するとそれがそのまま命とりとなることも多いようですので、インフルエンザワクチン接種の有用性は大いにあると思います。
免役チェックポイント阻害剤は臨床現場に出てからまだ日が浅いので、これからどんどん扱い方のコツや気を付けなくてはいけないことなどが明らかになるのでしょう。
一日も早く安心して免役チェックポイント阻害剤と付き合えるよう、データが蓄積していってくれればと思いました。