再発治療についてのセカンドオピニオンに行ってきました。
結果としては、全身転移というよりもリンパ行性のいわゆる「オリゴメタ」の可能性が高いため再手術や重粒子線などの局所療法に挑戦する価値があるというもので、非常に期待の持てる内容でした。

今はまだ再発疑いの段階で経過観察中ですが、術後補助化学療法から2か月足らずで再発したとすると非常に増殖能力が高い腫瘍であるため、月1回のペースでMRIを撮影し、大きくなって再発が確定したところで再発治療に早急にかかる必要があるようです。

以下聞いてきた内容を簡単にまとめました。

1. 私のケースで気を付けなくてはいけない点
・Grade3と顔つきが悪い低分化癌
・化学療法終了後2か月での再発なので増殖能力が非常に高い

2. 私の初発治療の評価
・十分な術前補助化学療法、28個と従来の倍近くの十分なリンパ節郭清、手術の結果を踏まえての追加での術後補助化学療法など、たちの悪いGrade3を意識した手厚い治療ができており、かなりよい主治医に当たったのではないか
・抗がん剤の効きもGood PRとよく、残存リンパ節転移が1個と少なかったことからまずまず
・術後補助化学療法からすぐに再発したことからGC療法に対して耐性が付いたと考えることもできるが、術後3か月以内の単発での再発なので耐性以外の理由で効果がなかった可能性が高い。
 リンパ管の周りの血管を手術で取ったので血流が悪く抗がん剤をdeliveryすることができず、シスプラチンがリンパ節転移の箇所まで回らなかった可能性がある。
 手術で血管を切ると薬剤分布が悪くなることが知られている。
・原発巣に残存癌細胞が多かった理由として、GC療法耐性があるという可能性もあるが一概に正しいとは言えない。
  原発は全体が癌細胞で中に薬剤が入ることができず、少しずつ切り刻みながら小さくするので、リンパ節の中にパラパラとあるリンパ節転移とは効き方が違う。

3. 私の再発の特徴
・MRIでは8mmと小さいのでリンパ節の節内転移である可能性が高い。
 節内転移であればパラパラとしていて固まっていないので放射線感受性が高い。
 節外に出てしまうとはみ出た部分が癌細胞の塊になるので、中が低酸素状態になり放射線が効きにくくなる。
・尿路上皮癌の予後因子がリンパ節転移であることから、血行性転移よりもリンパ行性転移をしやすい癌であることが示唆される。
 私の癌もリンパ節にしか現れていないためリンパ行性転移である可能性が高い。
・今現在では8mmと小さいため、このリンパ節からの転移リスクは考えなくてよい。
 今後大きくなると転移リスクが出てくる。

4. 私のがんは全身にまわっているのか?
・このような場所の臓器のリンパ行性転移では、まず近くの傍大動脈リンパ節に現れ、上に登り、首のリンパ節に行き、心臓を経由して肺に転移する。
・リンパ管の中では転移巣からの距離が遠くなればなるほどがん細胞が少なくなる。
・多発での再発ではなく、現在原発のすぐそばのリンパ節に単発でしか現れていないことからまだ遠くには行けていない可能性があり、局所のオリゴメタ性のがんの可能性が高い

・再発治療では全身転移も想定しないといけないが、そうでない場合は機会損失になってしまうのでオリゴメタを想定した局所治療を行う必要がある

5. 再発後の治療法
・再手術
 おすすめできる。
 主治医は癒着のため不可能だと言っているが、膵臓などの手術をする外科医では癒着や放射線治療後のぐちゃぐちゃな状態でもバリバリ剥がして手術する。
 リンパ節のみなので外科医にお願いすることも考えてもよいのではないか
・重粒子線
 リンパ節転移は先進医療の対象となっている。
 尿路上皮癌は普通の放射線の感受性はそれほど高くないとされているので重粒子線がよい。たとえば大腸がんは放射線治療が効きにくいとされているが、大腸がんのリンパ節転移では重粒子線治療がよくやられている。
 消化管との距離が5mm、肝臓と10mmの距離があれば適用できる。
 強いビームが消化管にあたると穴があいてしまうので可能かどうか専門の医師に聞いてみないとわからない。
 MRIで大きくなった時点ですぐに放医研に行って重粒子線を検討するのはありである。
 放射線などを当てると全身に死んだがん細胞の抗原が散るので免役が覚え、免疫チェックポイント阻害剤の効きがよくなることが知られている
 保険が効かないのは効果がなかったり安全ではないからではなく結果をまとめた論文を書かないからであって、20年ほどやっていていそろそろ論文が出てくる頃合いである。
・キイトルーダ治療後に重粒子線
 まずキイトルーダ治療をし、効くことを画像上のサイズで確認してから重粒子線治療にトライするのも勧められる。
 ただしキイトルーダは最初にリンパ球が集まって腫れることもあり効き方の評価が難しいこともある。

6. 今後の治療方針
・月に一度のMRI撮影をし再発なのか術後の炎症なのかを判断する。
 もし再発ならば増殖速度が速いのですぐに大きくなる。
 DWIBSは離れた箇所のリンパ節の評価を目標とするので、サイズ評価だけであれば通常のMRI撮影で十分である。
・再発が確定したら局所療法を速やかに検討する
・微小転移くらいならばGC療法もまだ使える可能性が高い

ざっくり列挙してみました。
再発疑いでもうダメかと思いましたが、まだまだ戦う余地はありそうです。
希望の光が見えてきました。
10月末にMRIを撮影しその大きさを見てから考えようと思います。
タイミングとしては少し早かったみたいですが、セカンドオピニオンに行って本当によかったです。