今日は事務所にメガバンクの支店長さんが来てくれました。
私ががんになって以降、大変心配して下さっているようです。
こうして気にかけていただけることは大変ありがたいです。

世間話の流れで最近盛んにプロモーションされている「ながらワーカー」について話題が及びました。
その方の銀行では社員ががんになると本部の仕事が軽い部署に転属となり、治療と仕事を両立できるようになっているそうです。
さすがメガバンさんは違います。
しかしそれは中小零細企業ではできない芸当だと私は答えました。
我々中小零細ではそれ専用の部署に転属する以前にそもそも部署すらあるかどうかも疑わしい状態ですし、人員や資金の余力が乏しいのが現状であると言いました。

そして気を付けなくてはいけないのは、大企業で働く人は全労働者の三分の一に過ぎず、三人に二人は中小企業の従業員であるということです。
「治療しながら働ける」と満面の笑みで対がん協会のCMでは言っていますが、半分以上の人は想定から漏れていると言わざるをえません。

支店長さんとは、癌種、ステージ、グレード、治療内容など一人ひとりの違いにきめ細かく対応する必要があるのに、今は全然できていないという結論になりました。
それについては国の第三期がん対策推進基本計画にも指摘があり、施策としては「両立支援コーディネーター」を養成し、「治療と仕事両立プラン(仮称)」を作って対応してくれることになっているようです。
三年以内に「治療と仕事両立プラン(仮称)」を実装するそうですが、果たしてうまくいくのでしょうか。
この政策が中小企業を取りこぼした状態で、大企業のみを念頭に置いて組まれてしまわないことを切に願わずにはいられません。

国の第三期がん対策推進基本計画では「がん患者等の就労を含めた社会的な問題(サバイバーシップ支援)」としてp57~p64に渡り、7枚ものページを割く形でながらワーカーの問題とそれに対する対策が記載されています。
ご興味のある方はぜひご一読を。

第三期がん対策推進基本計画(PDF)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000196975.pdf