術後補助化学療法のための入院まであと五日。
入院準備のため仕事も大詰めです。

さて、面白い記事を見つけました。
オンコロさんがまとめたLancet oncology掲載の免疫チェックポイント阻害剤の性別による治療効果の違いについての記事です。

オプジーボなど免疫チェックポイント阻害薬による治療効果は性別により異なる可能性がメタアナリシス試験より示唆される ――医学誌『The Lancet Oncology』より

従来の西洋医学は男性、特にコーカソイド男性を基盤に作られたものであるため、それを基準にすると非コーカソイド男性には必ずしもフィットしない医療となってしまうことが知られています。
特に性別の違いがあると、同じ人間とはいえ全く違った結果となってしまったり、用法用量が適切ではなくなってしまったりする可能性があります。
そこで「性差医療」という性別の違いに着目して女性にフィットすることを目指している医療を最近よく目にします。

ここでオプジーボ、ヤーボイ、キイトルーダなどの免疫チェックポイント阻害剤はがん治療に革命をもたらし大きな治療効果を上げている薬ですが、当然効き方にも男女の違いがあるはずです。
特に免役系の反応は男女で違いがあることが知られているそうなので、ここを無視する訳にはいきません。

そこに着目して免役チェックポイント阻害剤を用いた7133本の研究データから、20のランダム化試験の11351人のデータを用いたメタアナリシスにより男女での治療効果の違いを統計的に見てみたのがこの論文だそうです。
ちなみにメタアナリシスというのは既に出ている複数の研究データを集めて大規模に分析する手法で、エビデンスレベルが非常に高いとされています。

詳しい話は記事や元論文を見ていただければと思いますが、これによると免疫チェックポイント阻害剤を用いた女性に比べ男性は15%も死亡リスクが低くなるそうです。
男性の方が治療効果が高い可能性があるみたいですね。

もちろんこのような統計の数字で語られる頻度確率はマスな現象です。
私一人の一回しかない人生において大事なのは「生きる」か「死ぬ」かの二つだけであり、「何%生き残る」のような何百個もの命があって初めて見えてくるような頻度確率はそれほど意味がありません。

しかしながら男女の効果の違いという新しい知見を糸口に、がんという現象のしっぽを捕まえて次の治療法の手が増えていくことはよいことだと思いますので、どんどん研究が進んでくれればいいなと思います。