今日も紹介で新規の相続税申告のお客様の対応をしました。

最近私の事務所でも相続の仕事が大幅に増えています
多死社会が始まったということと、相続税の基礎控除額の改定(従来は5,000万円+1,000万円×法定相続人の数→3,000万円+600万円×法定相続人の数へ縮小)等のため相続税の申告書を提出しなければならない人が爆発的に増えていることが影響しております。

相続税が心配だ心配だと言っているものの実際どう計算すればいいかわからないという方も増えています。
実際ボランティアで続けている税理士会や地域の無料相談会でも沢山の方が相続の相談に見えます。

相続という複雑な仕事に関わる専門家には弁護士、司法書士、税理士、行政書士などがいます。
私たち税理士は相続の中でも相続税の申告という切り口から相続に携わります。

みなさまの相続対策の関心事の一つに、遺言書を作ったらいいのかというものがあります。
遺言書は自分の財産の分け方について自分の意思を表明するための仕組みです。
遺言の種類は、自らで作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」の2種類が一般的です。
相続が発生した時、一般的な流れとしては被相続人(亡くなった方)の意思(遺言)があればそれに従い、なければ相続人が協議して遺産の分割の仕方を決めるのが一般的です。残念ながら協議がまとまらなければ最終的には裁判所のお世話になるケースもあります。

遺言書を書く書かないは本人の自由です。
しかし相続税申告の現場で見ていると、次のようなケースは遺言書があったらなあと思います。

①子供のいないご夫婦
配偶者だけでなく、親(親がいない場合は兄弟姉妹)に相続の権利が発生し、相続人の間で話し合いをしなければならなくなります。
配偶者に100%あげたいと思ってもなかなか難しくなります。
たとえば財産の中に自宅がある場合、それを誰が相続するかも話し合いが必要になります。自宅の何割かの所有権が親あるいは兄弟姉妹ということになることもありますし、代償分割といってお金を配偶者が払って自宅を手に入れることになることもあります。

②相続争いが起きそうな方
推定相続人間で生前からあまり仲が良くないケースや、多様な家族の形をとっている方などあらかじめトラブルが予見できる方は書いておいた方が賢明です。
推定相続人たちの仲がよくても、いざお金の話になるともめることがよくあります。

③相続人以外に財産をあげたいと思っている方(遺贈)
たとえば国や地方公共団体や社会福祉法人、学校法人、NPO法人などや、相続人ではない個人に財産をあげる時には遺言書が必要になります。

④相続人がいない方
相続人がいない場合に遺言書がないと、相続財産は基本的に国庫に収納されますが、手続きが非常に煩雑になります。

しかしながら遺言書があったとしても困るケースもあります。
たとえばお子さんが何人かいるのに特定の一人だけに全部渡すという極端な遺言などはその典型例です。


がんの治療も医師や看護師や薬剤師、ソーシャルワーカーなどの専門家をうまく使いこなすことが大事になってきますが、相続という法的な分野においても同じことがいえます。
専門家に相談することが解決の糸口となることも多いです。
心配だと悩んでいるだけでは堂々巡りでいつまでたっても解決しません。
無料相談会が各地で開かれておりますので、最初の一歩として行ってみるのも手かもしれません。
無料相談会の日程等についてはたいてい自治体の広報誌に掲載されておりますので調べてみて下さい。