おかげ様で術後の回復は順調です。
家の中をうろうろ歩き、軽く書類仕事をし、昼寝をし、撮りためたテレビ番組を消化しながらのんびり過ごしています。

落ち着いてきたので、そろそろ私のがんの経緯を少しずつまとめてゆきたいと思います。
私のがんの発見のきっかけは人間ドックのオプションでつけた腫瘍マーカー、抗p53抗体の検出でした。

抗p53抗体は最近広く健康診断で調べられるようになりました。いくつかの癌種で保険適用もされ、早期発見が可能なマーカーとして期待を集めています。
ただしp53はまたマーカーとしての有用性はまだまだよくわからないことの方が多いそうです。
他の腫瘍マーカーとは異なりどのがんかわからないという点や、偽陽性(がんではないのに数値が出てしまう状態)が多いという点で、検出が即がんを意味する訳ではなく、もやもやすることの多い抗体でもあります。
私もずっと偽陽性ではと言われ続けていましたが、最終的にステージⅣの腎盂癌でした。

健康診断や人間ドックで引っかかってしまい不安で一杯の方も沢山いらっしゃると思います。何人か検索でたどり着いたという方からメッセージをいただき、都度私のケースを個別にお返ししておりますが、経緯をまとめるついでに共有できればと思います。
これはたった一人の例ですので、「こんな人もいた」くらいの認識で留めていただき、主治医や産業医の先生に相談なさることをおすすめいたします。ちなみにp53から腎盂癌が発見された例は私の主治医いわく初めて見たとのことです。(通常は血尿から発見されますが、私は血尿が出ないタイプの腎盂癌でした)

私は抗p53抗体を2011年から各種腫瘍マーカーと一緒に人間ドックのオプションに追加しました。
数値は次の通りです。(基準値:1.3U/ml)

抗p53抗体(U/ml)
2011年    0.7
2012年    0.7
2013年    5.3
2014年    12.2
2015年    20
2016年    83.6
なお、他の腫瘍マーカーも測っておりますが、検出限界以下です。

2013年から基準値(1.3U/ml)を超えて要精密検査となり受診したのですが、偽陽性の可能性もあるとのことでいくつか検査をしただけで、大きな検査は行われませんでした。
2015年にいよいよ高くなったことと、継続して出ていることから何かあるはずだということでがん拠点病院指定を受けている大学病院の消化器内科へと回されました。私の年齢・性別などからまず消化器がんが疑われました。上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査、血液検査、腹部・骨盤CT撮影と徹底的に検査し、大腸ポリープが見つかったため切除したものの病理の結果は良性でした。CTでも粗大病変なしとのことで経過観察になりました。
2016年も高く出てしまったため、絶対にこれはがんだと確信しました。
しかし大学病院の消化器内科では昨年の精密検査から大きく変わるとは思えないため、何も検査をしないと言われてしまいました。
食い下がってPET-CT撮影を自費診療で受けた結果、左腎~大動脈間に径10mmの腫瘤が三つ発見され、炎症または腫瘍が示唆されるとして精査および治療を要すると判定されました。検出された場所から、がんの疑いが泌尿器がんに絞られました。
その後、他の大学病院(こちらもがん拠点病院)の泌尿器科に転院を経て、尿細胞診、腫瘍マーカー検査、逆行性腎盂造影検査、CTガイド下リンパ節生検を受けました。
その結果、持病の腎臓結石の陰に隠れた腎盂がんの発見に至り、2017年9月末に告知を受けました。
診断は腎盂癌、傍大動脈リンパ節多発転移あり(最大径20mm)のステージⅣです。
区分としてはぎりぎり切除可能例で、抗がん剤治療(GC療法)で切除を目指すことになりました。