今月のテーマ 年末調整について
早いもので今年も残すところ一か月となり、年末調整の季節となってしまいました。
今月はわかっているようでわかっていない年末調整の仕組みをお伝えしたいと思います。
1.年末調整とは
年末調整とは、給与所得者が毎月給与から天引きされている源泉所得税の1年分の合計額と、本来その人が納めるべき給与所得に係る税額との差額部分を調整することをいいます。
日本では、個人事業主の方は3月15日までに確定申告することにより、1年分の税額を確定させ納付することとなっていますが、会社などに勤めていて毎月給与を支給される個人については、毎月の給与からその給与額に応じて、会社が給与から天引きし、代わりに税金を納める形式をとっています。
なぜこのような形式をとっているかといいますと、個人事業主に比べサラリーマンの数の方が圧倒的に多く、サラリーマン全員が確定申告すると税務署がパンクしてしまいますし、中には確定申告しない人も出てくるかもしれません。
このような事態が起こらないように、個人に給与を支給する側はあらかじめ給与から所得税を天引きし、毎月(もしくは半年に1回)個人に代わって税金を納めることとなっているのです。
このように、会社が給与を支給する際、所得税を徴収するわけですが、その徴収税額は給与を支給した段階で個人の1年間の所得税がいくらになるのかはわからないので、あくまで概算で徴収します。概算で徴収することしかできないため、1年間を通した正しい税額との差額を調整するのが年末調整です。
2.正しい税額
上記でお伝えしたように、年末調整は1年間の正しい税額と概算で徴収した税額との差額の調整ですが、ここでいう正しい税額とはどのようにして計算されるのでしょうか。
(1) 1年間の給与(額面)-給与所得控除額
(2) 各自の所得控除の合計額(扶養控除・配偶者控除等の他に生命保険料控除や地震保険料控除等)
(3) {(1)-(2)}×税率=正しい税額
このような算式で計算することができます。
このようにして1年間の正しい税額は計算されます。この金額と、毎月給与から徴収されている所得税額の合計額の差額を調整し、払いすぎていた場合は還付され、逆に少なかった場合は次回給与から徴収される所得税に上乗せされて徴収されることとなります。
毎月天引きされる所得税には、各個人が個別に支払っている生命保険や地震保険などは考慮していないため、年間税額と月額で天引きした税期の累計と比べて差額が出ます。(通常は還付金が発生します。)
また、年の途中で扶養家族が増えたり、減ったりした場合には、扶養控除はその年の12月末時点での有無により計算しますので、この場合も差が出ます。(年の途中で、就職などによって扶養親族から外れた場合には通常は不足額が発生します。)
3.還付金をもらうための確認事項
年末調整をすると、多くの場合は還付となりますが、これは毎月徴収する際に、生命保険料や、国民年金保険料などが、加味されていないため、1年間分の所得税を再計算した正しい税額と比較すると多めに徴収されているため還付となります。
税金を多く払いすぎないためにも、下記の項目はしっかりと見直す必要があります。
(1)保険料控除の確認
給与所得者で生命保険に加入されている方は、生命保険の種類にもよりますが、支払った金額のうち最大で12万円所得から控除することができるため、最高税率の方の場合最大で4.8万円税金が多く還付されます。
また、生命保険の他に地震保険料も控除対象となり、こちらは最大で5万円までの所得控除がうけられ、税額だと最大2万円の税額が還付されることとなります。
自分が加入している生命保険がどの種類で、所得控除がどれくらい受けられるかは、保険会社から10月ごろに「生命保険料控除証明書」が送られてきていると思われますので、それを参照していただけると1年間に支払うことになる金額などが記載されています。
この証明書は年末調整の際に必要となってきますので、手元にない場合は保険会社に再請求をする必要があります。+
生命保険料控除は旧契約によるものですと、旧生命保険料控除と旧個人年金保険料控除があり、新契約によるものですと、新生命保険料控除、介護保険料控除、新個人年金保険料控除の3つがありますので、どれに該当するのかを証明書の記載を良く確認する必要があります。
(2)扶養控除や配偶者控除の確認
サラリーマンの方でお子さんがいらっしゃる場合は、年末時点で16歳以上からが対象となりますので、お子さんがアルバイトなどで年収103万円を超えていない場合は年末調整の際に控除できます。
また、女性が配偶者控除を受ける機会はもしかしたら少ないかもしれませんが、夫が休職中などで、年収103万円以下の場合だと配偶者控除が、103~141万円までなら配偶者特別控除が受けられます。
独身者の場合でも、親の生活の援助をしている場合などで、親の収入が年金のみの場合だと、年金収入が158万円(65歳以上の場合)以下だと扶養控除が受けられる可能性があります。
(3)社会保険料控除
お子様が学生でも20歳になると国民年金保険料を支払う義務が生じます。アルバイトをしてご自分で支払う人もいるかもしれませんが、学業がおろそかにならない様に、親が支払ってあげることも多いと思います。
こういうケースですと、支払ってあげたお子さんの分の国民年金保険料も社会保険料控除の対象となりますので、忘れないようにしましょう。
4.年末調整で考慮できないもの
以下に掲げるものは年末調整では考慮してもらえないので、税金の還付を受けたい場合は確定申告が必要です。
(1)寄付金控除
寄付金控除というのは、国や地方公共団体などに寄付した場合、その寄付金の一部が所得控除の対象となります。
(2)医療費控除
医療費のうち一定額を超える部分の金額は所得控除の対象となります。ただし、インフルエンザの予防接種や健康診断費用などは対象となりません。
(3)雑損控除
災害などで家が壊れた場合、その修理費用のうち一定額は所得から控除できます。
(4)住宅ローン控除(初年度)
銀行からの借入で家を建てた場合、その借入残高のうち一定額は所得税額から控除できます。
なお、初年度は確定申告が必要ですが、次年度以降一定の手続きをすることにより、年末調整の際に控除を受けることが出来ます。
【編集後記】-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
12月は、師走(しわす)または極月(ごくげつ、ごくづき)と呼び、その由来は僧侶(師は、僧侶の意)が仏事で走り回る忙しさという説と、言語学的な推測として「年果てる」や「し果つ」等から「しわす」に変化したなどという説もあるそうです。
極月はあまり耳慣れない言葉ですが、一年の最後の月で、年の総決算ともいえる月です。極まる月ではなく、極める月になるよう、大急ぎで一年の締めくくりをしたいと思います。
急に冷え込む日も多くなりましたので、どうぞ風邪など引かぬようお過ごしください。
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