国税庁・国税不服審判所は、平成20年度における不服申立ておよび訴訟の概要を発表しました。


 納税者が国税の処分に不服がある場合に、その取消しや変更を求めて行う「異議申立」。平成20年度に発生した異議申立ては5359件で、昨年より669件増加。税目別にみると、消費税等が1833件で著しく増加しています。消費税導入以降最高の件数で、これについて国税庁は、「所得税が過少申告で是正されると消費税も変わるため、所得税に連動して増加しやすい傾向にあるが、特定の理由があって増えたという考え方はなじまない」としています。
 同20年度中に処理された異議申立ては5313件で、このうち納税者の主張が何らかのかたちで受け入れられたものは468件。取消し割合は全体の8.8%で、過去10年で最も低い割合になっています。

 原則として、異議申立てを経て異議決定がされても不服がある場合などに、納税者は国税不服審判所に対し「審査請求」をすることができます。同20年度に発生した審査請求は2835件で、昨年より80件(2.9%)増加しました。処理された審査請求は2814件で、昨年より410件(17%)の増加。納税者の主張が何らかのかたちで受け入れられたのは415件でした。割合にして14.7%で、昨年度比2%増です。

 原則、審査請求に対する国税不服審判所の裁決に不服がある場合、または3カ月経過後裁決がない場合に至るのが訴訟です。同20年度における訴訟の発生件数は355件。所得税関連の事件が前年より9件(2.9%)増加したほかは、昨年と同水準で推移しています。
 同20年度の訴訟の終結件数は356件。このうち国側が一部敗訴または全部敗訴したのは38件(一部敗訴12件、全部敗訴26件)で、前年度より17件減少しました。