店舗や事務所の賃貸借契約に基づいて、家賃を口座振替や口座振込で支払う場合には、その都度、請求書や領収書の授受を行わないのが一般的です。
インボイス制が施行されると、消費税の仕入税額控除を受けるためには、原則として、登録番号等の記載要件を満たしたインボイスの保存が必要となります。
この点、インボイスは、一定期間の取引をまとめて交付することもできますので、貸主から一定期間の家賃についてのインボイスをまとめて受け取り、これを保存するという対応も可能です。
また、インボイスの記載事項は、一の書類だけで全てが記載されている必要はなく、複数の書類で記載事項を満たせば、それらの書類全体でインボイスの記載事項を満たすことになります。
賃貸借契約書に取引年月日以外のインボイスとして必要な事項が記載されており、実際に取引を行った事実を客観的に示す書類として通帳や銀行が発行した払込金受取書とともに保存しておけば、仕入税額控除の要件を満たすことになります。
不動産の賃貸借のように取引の都度、請求書等が交付されない取引については、中途で貸主が適格請求書発行事業者でなくなることも想定されますので、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で貸主の状況を確認のうえで仕入税額控除を行う必要があります。
なお、令和5年9月30日以前から契約している場合、契約書に登録番号等のインボイスとして必要な事項の記載が不足しているときは、別途、登録番号等の記載が不足していた事項の通知を受け、契約書とともに保存していれば問題ありません。
これらの方法は、税理士報酬など、継続した役務の提供の対価を支払う場合にも使えます。