これで日本は、世界各国に増税を公約したことになる。だがはたして、消費税の増税以外に1000兆円という国の借金を減らす方法はないのだろうか。ジャーナリストの武田知弘氏は、一定以上の資産を保有している人に毎年数%の税金を課すという税制、すなわち「資産税」の導入を提案する。
「日本の高齢者(60歳以上)の資産総額は900兆円を超えているとされています。これだけの資産が高齢者のフトコロに納まっているのは日本の税制によるところが大きい。税金には金持ちから多く集め、貧乏人に分け与えるという所得再配分の役目があります。ところが、日本の税制はその真逆。金持ち優遇税制、貧乏人冷遇税制なんです」(武田氏)
定率減税の廃止や相続税減税などが、それに当たるという。それに対し、資産税は文字通り、資産に課すのでお金持ちほど多く払うことになる。
「1400兆円の個人金融資産に不動産資産を加えると8000兆円になるとされています。仮にこの資産に1%の資産税を課すことができれば、それだけで年に80兆円の税収となります。これは現在の国の税収の2倍以上の額です。つまり、1%の資産税を課すだけで日本の財政問題はあっさりと解消されるのです」(武田氏)
こうした「資産税」をさらに明確な形にしたのが「貯蓄税」だ。「資産税」の原資には捕捉や評価の難しい不動産資産も含まれる。ならば、手っ取り早く預貯金そのものに税金をかけてしまおうというアイデアだ。「貯蓄税」に詳しい白川浩道クレディ・スイス証券チーフエコノミストが説明する。
「高齢者の過剰な貯蓄は消費に使われない『死に金』。この『死に金』を生かすために、預貯金の口座ごとに課税するのが最も効率的。例えば、預貯金300万円までは税率0.5%、300万~1000万円までは1%、1000万~2000万円までは2%といった累進性を設け、富裕層により重い税金を課す。私の試算では課税対象となる約850兆円の個人貯蓄に平均税率1%を課すだけで年8.5兆円、消費税4%分の税収が得られます」
しかも、こうした「資産税」や「貯蓄税」には世代間税負担の不公平を修正するだけでなく、課税を嫌う高齢者がガンガン貯金を使うようになるという効果ももたらす。
「結果的にリッチな高齢者から収入の少ない若者へ所得移転が進むだけでなく、経済成長も促すことになります」(白川氏)
経済が成長すれば、法人税も増え、さらに国の財政は好転するだろう。いたずらに景気を減速させかねない消費税増税に比べ、「資産税」「貯蓄税」は一石二鳥の効果を発揮する。だが、資産&貯蓄を持っているお金持ちが納得するかどうか、そこだけが問題である。
税理士 大阪市
神戸市北区 歯科