正直なことを申しますと、
昨日、羽生選手の得点が出たあと、
何がいちばんショックだったかって言うと、
羽生選手のPCSがエイモズ選手より低かったという現実です!
エイモズ選手のパフォーマンスはダイナミックで躍動感があって、
いつも見応えあるなあと思って見てはいました。
が、昨日の演技はジャンプもけっこう乱れてましたし、
羽生選手よりはやはり美しくも、完璧でもなかった。
それなのに羽生選手の方が下なのー?
あり得ないでしょー!
って思ったんですよね。
で、いろんな方のご意見を読みまわってみて、
「そうか、そういうルールになったのね。
羽生選手はステップアウトが2つあったから、
ああいう点数になるべくしてなったのか。
誰も羽生選手の“音楽を表現する技術力”が、
エイモズ選手より劣っているなんて思ってるわけないよね~」
と自分を納得させるに至りました。
回転不足を3つも取って、それを複数の重大なエラーに含めることで、
羽生選手のPCSを抑える材料にしたのだろうというご意見もあったので、
カナダでの試合ならあり得ることだよなー、
ジュンファンもメドベも回転不足は取られやすい選手だから、
「クリケットはコーチ陣もみんなオワコン」
の印象にしたい狙いもあったのかなあ?とかもちょっと考えたりしましたけど、
羽生選手は自分のジャンプに「疑問はない」と言っているし、
ジュンファンやメドベだって、他の選手だって、
試合によって回転不足は取られたり、取られなかったりで、
そこまで考える自分はちょっと行き過ぎかなって、
今は自己解決しております。
まあ、いずれにしてもこんな不可解な採点がいつまで続くんだろうと、
非常にやるせない気持ちでいることは確かなんですけどね。
さいたまワールドが終わった頃だったと思うのですが、
ジャッジ資格を持つ日本の男性で、
「ジャッジの悩ましい採点の実態」をブログで吐露されている方がおられましたよね?
内容があまりにもエグくて、どこかから横やりが入ったのか、
あっという間に姿を消してしまわれましたけど、
その方のぼやき内容は、確か、
今のPCSは、
高難度ジャンプの精度に引っ張られて上がっていく
5項目の点数が横並びになるのは昔からのことでしかたない
前の試合の点数を参考にするので演技の出来にあまり左右されない
というようなものでした。
やっぱりそうなのね、
それってジャッジがちゃんとジャッジしてないってことじゃん!
って多くの方が思われたようですが、
本当に何のための5コンポーネンツなのか?って思いますね。
技術点と演技構成点を分けた意味もないじゃんねーとも思いますし・・・。
前にも書きましたが、
私は中高時代に体操部だった(しかもジャズダンスのインストラクターを目指そうかと思っていた時期もある)ので、
未だに“自分は踊れる人”っていう、相当ヤバイ勘違い素人なんですけど、
そういう勘違い素人のたわ言と思って読んでいただきたいのですが、
実は私、羽生選手の演技を見ながらリビングでよく踊っております(笑)
「お母ちゃん、また踊ってはるわ」
(盆踊りを踊っている熊を見るような目で私を見る紫さん)
ええ、実際のところ、全く踊れないんですよ!
羽生選手のプログラムって、
特にホプレガなんですけど、
まー難しい!
こっちはリビングで踊っているので、
ほぼ上半身の振りまねしかできないんですが、
羽生選手の振付は腕の使い方、
身体の上下運動、音とのタイミングの合わせ方、
どれも複雑複雑。
なんでそんなに難しいのかを考えたんですけど、
“つなぎの多彩さ”を自負している羽生選手のプログラムだけあって、
上半身だけ真似ようとしても、
足が右へ左へ、前へ後ろへ、上へ下へ、右回り左回り、
クルクルスイスイもの凄い速さで動いて行くので、
全然ついていけません!
やっぱ陸上と氷上は全く違うわ~といつも痛感するんですよね。
で、先日ふと、ネイサンの昨シーズンのショートをちょっと踊ってみたんですけど、
こちらはなんと!踊れる(ような気がする)のです。
(何度も言いますが完全なる素人のたわ言ですよ!)
ネイサンは身体の向きが一定なことが多く、
腕だけ動かしてしている振付が多い(ような気がする)んです。
以前『語り亭』で鈴木明子さんが、
「ネイサンはジュニアの頃はつなぎが濃かった」と仰っていたので、
現在は四回転をたくさん跳ぶために、
振付師さんにシンプルな動きを付けてもらっているのでしょうかね?
両足滑走が多いと評判の宇野選手の『月光』も試しに踊ってみたのですが、
こちらは振り付けと言える部分がよくわからなくてですね、
どこを真似ようかなって思っているうちに最後のスピンになってて、
あれ?ステップシークエンスは?コレオは?って感じでした。
(美穂子先生ごめんなさい!ちょっと大袈裟に言っちゃいました。でも『ロコ』あたりはいいプログラムだなあと思って見てましたよ!)
ショーマの表現力は、
走って走ってスピード出して、
何も印象的な動きをしないことで、
真空(しんくう)のような曲の世界観を表しているのかな?と思います。
ジャンプも低いので全てが流れの中に溶け込んでますよね。
高橋先輩は、昨年の全日本フリーで高難度でも完璧でもない中で、
ショーマ並みのPCSを獲得しましたが、
ご自身が「俺はユヅやショーマとは格が違う」と仰ってるだけあって、
誰にも真似できそうにない上半身の動きをするんですよね。
手首やひじの角度、
首と肩と腰のラインの作り方、
背中の見せ方、
音に合わせて腕を出したり、
身体をひねったり、
ジャッジを悩殺しそうな視線を送ったり、
本当に独特です。
唯一無二の天才とはこういう人のことを言うんだろうなと思います。
(上半身に限っての話です。彼の足さばきとかスケーティングスキルとかは残念ながら私にはわかりません)
高橋先輩は今シーズンのショートで「スケートっぽくない表現を見せたい」
というようなコメントをしていたと思いますが、
え?氷の上でスケートらしからぬことをやるとな?
と思いましたが、それこそが大ちゃんの他とは圧倒的に違う表現力なのでしょうね。
(氷の上だからこそ出来る動きではなく、陸ダンスを氷上に持ち込む斬新さ!それってスケートの本質からは離れると思うのだが)
国際ジャッジの岡部由起子さんは『語り亭』の中で、
演技を評価する立場の人間として“表現力”をひとことで言うとしたら、
「表現力とは、音楽・音を動作にどう置き換えるか、どういう動きに反映させるか」
に尽きますと仰ってました。
その言葉を今思い返してみて、
つなぎたっぷり、かつ複数の美しい四回転を音に合わせる人、
高難度ジャンプをたくさん跳ぶ人、
何もしないことで曲の世界観を表す人、
陸ダンスっぽいことを氷上でやってしまう人、
それぞれがPCSに反映されているんだろうなあと思っています。
エイモズ選手は決してジャンプが美しいとか、
一歩一歩が伸びて全体がシームレスってわけではないと思いますが、
あれだけのアクロバチックな動きを目まぐるしく盛り込むことによって、
PCSで高く評価されるのを狙っているのでしょうね?
などと、リビングで踊ってみただけの素人に何がわかるのかと思いますが、
ほんの少しPCSの謎を理解したような気になっております。
採点そのものは、結局は試合によって、ジャッジによって、選手によって、
納得できたりできなかったりですし、
5項目の点数が横並びなのはなんだかなあとも思いますし、
ステップアウト2つすると羽生選手でさえ90点以上のPCSが出ない新ルールはどうなの?とか、
スケーティングスキルもトランジッションも全部下がっちゃうのは正しいの?
とかモヤモヤした気持ちが晴れることはないですけど、
この採点状況がこれから先北京に向かって、
どのような演技を一番高く評価していくのか、
誰かを上げるために他の選手の足りているジャンプを刺したりしないか、
しかと(これもリビングで)見ていきたいと思います。