平和な移動日
和琴半島~開陽台・多和平~尾岱沼CA
賑やかというか、夕べは日付が変わるような時間帯までテントの外でくっちゃベッて居るライダーの話し声が気になって、一体何時間寝たのか良く覚えていない。
しかし、朝の目覚めが以上にしんどかったので、寝不足なのは明らかだ。全く、ああいう連中というのはモラル以前にキャンプ生活とはどう言う物なのか、分かっているつもりなのだろうが、はっきり言って全然分かっていない。旅館や民宿のように、壁で個室が隔離されている訳ではないのだ。
ひそひそ声でも、夜ともなれば非常に耳に障ることも多々あるものなのだ。ところが、そう言う事を分かっていない連中は(男も女も一緒だ)、夜の夜中まで本域の昼間と同じ大きさの声でデカデカと喋っている。
気にならない人間ならば、気にならないのだろうが、そうでない人間も世の中には居ると言う事が、いまだに分かっていないというかいい年こいた大人としては、はっきり言ってものの考え方が幼すぎる。そう言う奴は、注意されない限り自分たちのやっている事は間違っていない、誰にも迷惑を掛けていないと勘違いしているのだ。特にここ数年マナーが悪いのは、得てしてライダーだ。家族連れでも、賑やかな連中は居るには居るが、大抵は夜更けまで大声で喋ったり笑ったりするようなアホは居ない。時刻が二桁になる頃には子供は昼間遊びすぎて寝てしまうので結構早い時間には静かになるものだ。だが、ライダー連中は時間を気にしないというか、分からないのだろうか。嘆かわしい限りである。
同じライダーとしては、はっきり言って同じ人種にして欲しくない。昔っから、何度も何度も口にしているが、キャンプ場は居酒屋ではない。そんなに夜更けまでお話したかったら、町まで出て閉店間際まで喋っているといい。そうすれば、誰にも文句は言われないし思う存分デカイ声でバカ話が出来るだろう。
しかし、夕べはかなり大声で喋っている奴がいたのに誰も注意しなかったと言うのは、一体何なんだろうか?自分だけが気にしすぎているのか?いや、そんな事は絶対に無い。自分だって、複数で宴会をしたり喋ったりする事も有るが、時刻が二桁になる頃には周りを気にするもの、そんなのは褒められる様な事ではない。
あ・た・り・ま・え・の事だ。
これだから、ライダーが押し寄せてくる所はあまり好きでは無いのだ。まともな人間も居るのだろうが、そうでない人間も必ず居るからだ。思い上がりと勘違い。こういう意識をもった人間が居る限り、キャンプ場に静かな夜はやって来ない。
さて、やかましく狭苦しかった和琴半島キャンプ場をさっさと撤収。先日から連泊しているNOBUさんは朝早くからお出かけになったようで、出発の挨拶に行こうとしたら、単車が無くなっていた。
「何か水臭いなぁ、出掛ける時に一言言ってくれても良かったのに」そう思いながら、走り始めた。
和琴半島では、青空が出て居たのに弟子屈に入ってから急に雲行きが怪しくなり、霧雨が降り出したので、迷わずフル雨装備に変身。再び走り出し、まず多和平に寄ってみた。時間帯が時間帯だったので、キャンプ場は閑散としている。
広いキャンプ場には小さなテントが数張りあるだけで人気が無い。時折定期観光バスがやって来て展望台近辺は賑やかになるがそれ以外は、今日の天気と相まってうら寂しい所である。まぁ、晴れていればここのウリである360度の展望が広がって爽快なんだろうが、何せ高台にあるキャンプ場、ここ数日いやここ1箇月の低気温の事だ。さぞかし寒いに違いない。しかもテントサイトが全面に渡って傾斜していて平らな所が殆ど無い。自分は傾斜している所での幕営は嫌いなので、ここでキャンプする事は無いだろう。今日は下見に来たようなもんだ。
次に、かの有名な開陽台に向かった。ここは、ひっきりなしにバスやバイクが来るので、賑やかである。展望台にのぼり、周囲の眺めは確かにいい。
しかし、例のキャンプ場。ここもNGだ。今の自分の装備では、テントサイトまであの大荷物を担いで運べるほど根性は無い。それに、有名なキャンプ場の割りにはテントサイトは意外と狭い。シーズンピークの混雑を創造すると、ここは間違いなく難民キャンプ場状態になるだろう。それは勘弁して貰いたい。
そんな思いまでしてこう言う様なキャンプ場に足を運ぶ位なら、先日寄ったチミケップのキャンプ場の方がよっぽどいい。兎に角、自分が求めるキャンプ場の条件は静かである事。荷物を運ぶのに苦労しない、単車が乗り入れ出来るなら尚良い。と言う事で、かくもバス観光客の様に見るところを見たら即撤収という事で、今度は少し引き返してこれまた有名なからまつの湯に向かった。
養老牛温泉からダートを走る事数キロ、露天風呂の場所は直ぐに分かった。駐車場に数台のバイクと、車が停まっていたからだ。中に入ると、数人の先客が居た。でも、イモ洗い状態にはなっていない。湯加減も丁度いい。それに此処の所の低気温でこう言うところには必ず居る虻も居ない。居心地は意外といい。自分が入っている間にも、続々と単車や車がやって来る。山中の露天だが、相当に人気があるようだ。体が温まった所で、からまつの湯を出発。途中のレストランで昼を取り、更に東へ。しかし、風が猛烈に寒い、瞬く間に体は冷え切ってしまった。
標津町を抜け別海町。道道と国道を走り繋いで3時過ぎには尾岱沼のキャンプ場に到着。しかし、ここも多分に漏れず寒い。テントを立てて買出しに向かい、それが澄んだら街中の公衆浴場にて移動途中で冷えてしまった体を温め直す。そしてキャンプ場に戻り、本日の移動はこれで終了。特に何事も無く平和に終わってくれた。日が沈んで気温は更に下がり、いま日記をテントの外のベンチで打ち込んでいるが、手が悴んで来た。この寒さは内地で言えばまさに晩秋の高原の寒さだ。本当に尋常ではない。
今年は北海道には夏らしい夏は間違いなく来ないだろう。この調子では。明日は、移動距離も短いのでゆっくりとキャンプ場を出発し、野付半島の先まで行ってトドワラでも眺めてから根室半島に向かうつもりだ。でも、あそこも相当に寒いだろう。なにせ先日ラジオで聞いた話では、地元の人はストーブをつけているらしいから。ああ、寒い!