ONNETO BLUE
和琴半島CA滞留(オンネトー・チミケップ周遊)
此処の所数日に渡って天気が良い。久しぶりと言うか、もしかしたら初めてかもしれない。
朝の7時に目が覚め、まず昨日の登山でドット増えた洗濯物を片付ける。乾燥機は使わずテント近くに張っておいたロープに洗濯物を吊り下げる。このまま留守にしても今日の日中は間違いなく雨の心配は無い、こんな風にして洗濯物を天日で乾かすのも蝦夷に上陸してからは初めてのこと。
今日は先日連泊したにも拘らず悪天候続きで散々な目に合わされた、阿寒・オンネトーに出かけ雌阿寒・雄阿寒を写真に納め「自分はこんな山に登りました」という証拠を取りに行く。もちろん、オンネトーは晴れた日が一番綺麗なのでその「オンネトーブルー」を今一度自分の目で見に行く事が、今日の予定である。
それと、時間に余裕があれば夕べのキャンプ場で居合わせたライダーから「チミケップ湖に行くといい」という情報を入手したので、そこにも行くつもりだ。
身の回りの片付けを済ませ、キャンプ場を出発。まず、津別峠から津別町に抜けそこから国道にのって阿寒湖へ、距離はあるが車の流れがいいので無理して追い越ししたりせず、淡々と流れに乗って走った。見慣れた道になり、阿寒に近づいた事が分かる。しかし、阿寒湖畔に近づくにつれ正面の空に嫌な雲が見え始めた。しかも凄い勢いで流れている。あそこから先は天気は良くないのか?
だが、かろうじて雲の流れは温泉街の少し手前で流れるに留まっており、雨が降るような事は無かった。でも!寒い!物凄く寒い。温泉街の中を木枯らしが吹いているようだ。やはり、ここも相変わらず夏が訪れていない。見上げると、温泉街の上空は晴れているのにあの恨めしき雄阿寒岳は例の雲にスッカリ隠れていて、またしてもその山容を見ることは出来なかった。
と言う事で雄阿寒岳には愛想が尽きたので、取って返してオンネトーに向かった。走りなれた感のある国道と道道を走り繋いで、オンネトーに到着。ここも猛烈に寒い。雨が降っていないだけましだが、念の為持って来た雨合羽をライディングジャケットの下に重ね着して、湖畔に降り立った。
「いいねぇ・・・・」
吹きすさぶ強風の影響で、湖面には細かい漣が立ち逆さ雌阿寒こそ見ることは出来なかったが、湖面は全面に渡って見事に真っ青に色が変わっていた。もちろん、こんな色になっているオンネトーは始めて見た。
その向こう側に聳え立つ雌阿寒岳・阿寒富士もくっきりと山頂まで見える。今日この山に登った登山者はラッキーだ。この悪天候続きの道東でこれだけの晴天に恵まれてあの山に登れば、巨大な火口と阿寒富士、オンネトーから阿寒湖まで全て見渡せるだろう。ただ、雌阿寒岳から噴出している噴煙が風にたなびいて、殆ど見えない事から、頂上の風は相当に強そうだ。羅臼岳山頂を思い出した。
オンネトー茶屋で昼にしようと思ったが、臨時協業と言う事で昼はお預け。面倒臭かったがもう一度阿寒湖畔に戻って昼飯を食べた。時計を見て時間に余裕がある、キャンプ場で居合わせたライダーから「チミケップ湖は良い所だから一度立寄ってみるといい」との情報を貰ったのでそこに向かう。
行きに来た国道を引き返し途中から分かれるチミケップへの道道に入った。暫くは快適な舗装道路が続いていたが、その先は固く締まったダート、しかしカムイワッカや樽前山のダートに比べれば路面は殆どカチカチに固まっているのでそれほど神経質に走る必要は無かった。ただ、リヤスプロケをもたせる為に極力アクセルワークはそこの部分に負担を掛けない様に心掛けた。
北海道3大秘湖の一つ、チミケップ湖は林の中にひっそりと佇んでいた。まぁ、秘湖と言うだけあって本当に周りには何も無い、色も特別な物ではない。ただの水溜りだ。湖のほとりにあると言うキャンプ場に向かう前にその手前にあるホテルで珍しくお茶をする事にした。
ところが、ホテル内にある喫茶店で落ち着いてお茶をしたまでは良かったが、その後がいけなかった。まず、ホテルの外に繋がれている2匹のシェパード犬が居て尻尾を振りながら吠えていたので、ちょっと近づいて構ってやろうとしたら、そのうちの1匹が思いっきり自分の太ももに噛み付きやがった。「イテッ!!」マジ噛みである。犬にマジで噛まれたのは初めてだっただけにかなりショックであった。ただ、噛み付いたといってもまともにではなかったのでGパンに歯の形に穴が空き、足には歯型が残った。不用意に知らない犬に近づいた自分にも落ち度はあるが、いきなり近寄っただけで噛み付くような飼い方をしているのは飼い主にも問題があるのではないか。
もし、噛み付き癖があるようだったらそういうような看板を立てて注意を廻りに促すとか、囲いを立てて他の人間が近寄れないようにするとか方法はあるだろうに、大の犬好きな自分だけに犬に裏切られたような気がしてかなり、気分は悪かった。その直後も良くなかった。道路に出た途端に道を横切っているヘビを思いっきり轢いてしまったのである。走りながら振り返るとそいつはのた打ち回りながら慌てて、道路脇の藪に逃げていった。こう言うときは要注意である。いやな事が2連発したら間違いなくこの後も続く事が多々あるからだ。
町営キャンプ場のある場所に来た。しかし、全くテントが無い。サイト内の水道は使えるし便所の電気もつく。閉鎖している様子は無い。しかし、このシーズンの北海道で1張りもテントが無いキャンプ場を見たのはこれが初めて。林間のキャンプ場で町からも相当離れているので、夜はかなり気味が悪いかもしれない。綺麗というよりは、むしろ薄気味悪い感じのするチミケップ湖を早々に撤退し、津別町に繋がる道道を経て、再び国道に出た。
美幌町にて買出しを済ませ、美幌峠へ。やはり夕方に近くなってきたせいだろうか、屈斜路外輪山あたりの雲行きが怪しい。ちょっと洗濯物が気になって来た。先日通過した時は濃霧で、何処が峠で何処が駐車場なのかも分からない程に酷かったが、今日は暑い雲に覆われながらも視界は良好。展望台に登り、湖を見下ろす。さすが旅行雑誌で頻繁に紹介される所である、その眺めはまさに絶景だった。和琴近辺は日が差している、取り敢えず一安心。しかしここも風が強い。長いこと居られない。さっさと写真を撮って下に降りることにした。
キャンプ場に戻ると、相変わらずテントが多い。ここは毎日平日にも拘らず賑やかである。夜遅くまででかい声で喋っているグループが居るし、バイクはバイクで狭いサイトに隔離されているので、テントが密集していて非常に鬱陶しい。そんな点もあって居心地は決して完璧ではないが、近所に見て廻れる所が数箇所にわたって点在しているので、滞在して周辺を巡るにはいいのかもしれない。
でも、これでここのキャンプ場に居続ける必要は今日を持って無くなった。やっと、これで狭苦しいキャンプ場から離れる事が出来るわけだ、もう一昨日あたりからこの場所に飽きて来ていたこともあるし。
明日は普段どおりに早起きして早々に撤収し、再び東へ向かう。残す道東の行きたい所はもう南半分を残すのみ。目指すは、野付半島だ。