最初から最後まで退屈だった雄阿寒岳
北海道(阿寒)滞留
1日待って、ようやく登山できる天気にはなった。でも、曇り。気温もかなり低い。6時半にキャンプ場を出て、2キロほど離れた登山口に到着。6時50分登山開始。
針葉樹と落葉樹の混在した森林を歩く。時折木々の間から朝日が差し込んできた、これは期待できるかも、1日待った甲斐があったか?
前半の登山道は高低差は殆ど無く、距離が長い。いつになったら登り始めるのか分からないくらい。阿寒湖の直ぐ傍にある小さな湖「太郎湖・次郎湖」の真ん中を通り過ぎ、ようやく勾配がきつくなってきた。4合目までは、それほどでもない登りだったが、5合目から6合目に掛けては、つづら折れではなく、一直線に斜面を登るという非常にきつい登りが続く。視界が開けたのは、7合目半ばから。しかし、這い松帯に入ってから自分の目に飛び込んで来たのは、真っ白な霧の世界。風も出ている。雲の中に入ったのか。でも、さっきの太陽がきっと時間が経てば姿を見せてくれるに違いないと、淡い期待を持ちながら登り続ける。
尾根筋の緩いコースに出た途端、ハプニングが発生した。右ふくらはぎに突然激痛が走ったのだ。こむら返りだった。余りの痛さにその場に座り込み、必死に足首を伸ばす。でも筋が完全に縮まっていて思うように伸びてくれない。攣っている所を手で触ると、物凄く膨らんでいる。登山途中にこんなに酷いこむら返りをおこしたのは初めてだった。ようやく、痛みが引き始め攣っている所を見るとピクピクと痙攣しているのが分かった。おかしい・・・ハイペースで登ってきた訳でもないのに、ましてや今年初めての登山でもないのに、やはりウォーミングアップをしておいた方が良かったのか・・・・・。
未だ痛みの残る右足を気にしながら登山を再開、相変わらず視界は非常に悪い。写真を撮る気にもなれない。ゴロゴロとした火山岩を避けるようにしてやがて山頂に到着。時刻は10時20分。以外と時間が掛かった。ガイドブックには3時間半で登れると書いてあったのだが・・・・(ただし、この時間には休憩時間は含まれていない)。山頂は、やはり真っ白であった。でもほんのりと温かさを感じる。上空の雲がそれほど厚くないらしい。これは期待が持てる。そう思いながら、まず持ってきた昼飯を片付け、昨日の雨中走行で未だ生乾きになっている靴とオーバーソックスを脱いで足を乾かした。登山靴を脱ぐと湯気がもわっと出る。こりゃ~足には良くないわな。
下りたら速攻で温泉に浸からねば。
待つこと1時間半。早めの山頂到着にも拘らず、視界は全く変わらずに真っ白のまま。こんなに待っていて全く霧が晴れないなんて余にもおかしい。昨日の天気予報では、午後から日が差す所があると言ってたではないか!
あの、モッチョム岳だって辛抱強く待ってたら一瞬だったが、麓の尾之間の町から海まで見えたのに・・・・こんなに待っても全く変化なしとは、余にも冷たくはないか?登山を始めるようになってだいぶ経つが、頂上で待ってて一回も視界が開けなかったのは今回が初めてなはずだ。どんなに雲が立ち込めている山だって、登った時にはそれなりのご褒美があったのに。これでは登り損ではないか!幾ら自然が相手だからって、納得できなかった、これだけは。下山の時間を知らせる、携帯電話のアラームが鳴り、タイムオーバー。その間、ここの山頂には自分以外誰一人登って来なかったのも、今までにない事だ。こんな天気でも、数人は登山客が登ってきてもおかしくはない筈なのだが・・・・・。
(ちなみに山頂が晴れていればこんな感じ)
雄阿寒岳登頂の証拠写真をセルフタイマーで撮り、下山開始。半分切れ掛かっていた。
「クソ面白くもねぇ、2度とこんな山登るものか!」
そう呟きながら、山頂から5合目までを一気に、そして5合目から登山口までを一気に駆け下りた。それにしても、今の気持ちを更に逆なでするような3合目から1合目までの距離の長さは何とかならないものか。標高がかわらない限り、「合目」の数字は変わらない、森林を横ばいにダラダラあるいていたら何時までたっても下には降りられないのだ。その点、雄阿寒岳より標高の高い雌阿寒岳は上りも下りも退屈ではなく、とても楽しかった。つまらない退屈で時間が掛かるだけの山、支笏湖の恵庭岳とならぶワースト1の山に雄阿寒岳は見事にランクインされた。
キャンプ場に戻り、先ず温泉に入った。場所は機能と同じの「マリモの湯」。風呂から上がってサッパリした所で、帳場のオバサンに呼ばれた。手渡された物を見ると、100円玉。
「お兄ちゃん、昨日も入りに来てくれたでしょ。これサービス」
思わぬ、嬉しい心遣い。今日の日中は面白くない思いをしていただけにこの出来事で自分は全てのむかつきが収まってしまった。アリガトオバチャン!再びキャンプ場に戻り、洗濯。そして、この日記を書き終わったら湖畔の商店街に行きお土産を買いに行く。目当ては前々から登場している「おねだりキツネ」だ。
ここ阿寒湖の湖畔にその生まれ故郷のお店があるのだ。数年前に稚内の土産物屋さんで
「このキツネ生産中止になるんだって」
という話を聞いてかなり驚いたのだが、じっさいにはガセだった。
お店はちゃんとあるし例のキツネ君たちは店から溢れんばかりに展示されている。毎年1匹づつ仲間を増やして来たが、去年は行きたくても行けなかったので、その分も含めて2匹セットを買うつもりだ。それと、阿寒湖のシンボルでもある「梟」。これは、最近自分の母が凝りだしているのを思い出したので、それなら本場の木彫りの梟を買ってあげようとも思っている。
明日は、移動日。
天気はまたまた曇り時々雨という体たらくだが、構わず知床は羅臼まで一気に走る予定だ。そう、カムイワッカの林道マイカー規制まであと2日しかないのだ。
自分のバイクで相方でカムイワッカの滝の下まで乗り付けて、沢登りをして温泉に入る。
これが今回の長旅の最大のテーマだったのである。だから、出発の時期もこんなに早くしたのだ。まぁ、本来の予定ならばとっくに知床入りしていたのだが、天候の悪化や予定外のイヴェント参加などで大幅にスケジュールが押してしまったのである。
まぁ、その分色々とお世話になったりしたので、それらが全てマイナス要因だったという事はない。只明日は更に東に向かってひたすら走れば良いだけだ。ストイックに知床を目指す。どこにも立寄らずに。