○八月十四日

今年の北海道は外ればかり

雨 午前七時半

 異常気象冷夏の煽りをまともに食らった北海道は、道北の限られた地域を除いて、そのほぼ全道が深刻な日照不足と低温・集中豪雨の被害に道っている。一昨年に続いて道南は橋が落ちたり崖が崩れたり、道東では低温による連日の濃霧の発生で漁船が操業できなかったり、空のダイヤが乱れたりした。道央は小麦の穂が青いまま発芽してしまいその殆どが豚の餌になってしまったり・・・等とラジオから流れてくるニュースは暗いものばかり。おまけに往路のフェリーが日本海航路だったらもう一日余裕があったのに・・・・一人でムカッ腹立てても仕方ないので、雨足が弱まったところを見計らって撤収しキャンプ場を出る。
 そこからの天気はまたも酷いものだった。雨・霧・雨・霧・・・ひたすら走る。こんな中で相方の調子がいいのがかえって不気味なくらいだった。
 タンクバッグに付けてあるコンパスがなければ、いま自分達がどちらに向かっているのか判別が付かなくなるほど視界は悪く、出てくる言葉は「あ~あ」とか「つまんね」だけだった。

 狩勝峠で天気に若干の変化が出た。雲が高くなり路面が乾いている。富良野近辺では薄曇りとはなったが、太陽は現れず。途中の道の駅で一服して感じたが、相変わらず富良野人気は凄い。山の中では殆ど見かけなかった観先客が、ここが苦手な自分は煙草を一本、ソフトクリームー個平らげると早々に退散した。
 ツーリングの予定が速く消化される時は、たいてい天候不順によりドンドン道草をしないで移動するので時開か余る。晴れの日も消化の良い日はあるが、時開か余ることはない。
その日のうちに目的地には到着するが、日中ギリギリ走り回れるようにペース配分するので、あとは風呂・飯・寝るしかなくなるのだ。

吹上温泉を一年振りに訪れたとき、嫌な看板が目に入った。
 

「キャンプ使用料はテント持ち込みは云々・・・」


 あの大宴会が行われたキャンプ場が、去年の秋から有料になってしまったのである。しかも、かなり高い金額。実際に利用している客層を見ても、明らかにバイクの数が少なくなっている。
それにたいして大人数のファミリーや、団体様の大型テントばかりが目立っている。

「まだライダー安息の地が一つ無くなったか・・」
 すぐ横には、吹上温泉保養センターなる立派な建物が出来、大勢の客でごった返している。自分はその夜、風呂を一回だけ利用させてもらったがもう二度と行きたいとは思わなかった。ツーリングライダーのバイブルとなったツーリングマップも、今年刷新され内容も最新のものが掲載されている。そこに吹上温泉キャンプ場のマークが消えているのも分かるような気がする。
 ドラマロケですっかり有名になってしまった吹上露天風呂が、今のままで存続出来るかは利用する人達のマナーにかかっている。このまま崖下に空き缶を捨てたり、脱衣所に煙草の吸殻を捨てたりし続けていたら、間違いなくここも有料化され、利用時間が決められ混浴も別々になってしまい尚の事ライダー離れが進んでしまうであろう。

 自分は翌日は麓に降りず、一日中風呂に入ったり、本を読んだりして時間を潰したが、それはこの吹上キャンプ場利用するのは今後もう無いだろう、時代は必ずしもいい方向には勤いていないのだな、という思いが交じって更にテンションが下がってしまったからである。よって十五日のレポートは省略する。