○八月十五日

 さらば二度目の北海道


午前五時 曇り

 『えりも岬』から天気は一変した。横殴りの大粒の雨とミルクのような霧。R336に入り西へ西へ。天気は時折回復してくれたりはするが、それも浦河町を過ぎるほんの束の間だけであった。去年『支笏湖』でジンカンを御馳走になった外車ディーラーのキャンパーを探したが、名前も住所も勤務先も間いていなかったので、町内を二回りほどしてみたが、諦める事にした。
 しかし、さっきからイライラさせてくれるのは一向に調子が良くならないウインカーである、相方の純正のウインカーが余りにも前時代的なデザインで不細工だったので、社外の小型のウインカーに交換してみたのだが、ボディーアースの具合がイマイチで、途中何度も相方を止めてスクリューを増し締めを行ったり、配線の取り回しを変えてみたりと試行錯誤。これを、終点の室蘭まで続ける羽目になろうとは・・・・・。
 一方台風はいよいよ北海道に接近し、上陸せんとしている。その際を擦り抜けるようにR336はR235と名を変え、三石・静内・新冠・・・とサラブレッド銀座を通過。天気がもっとよくて、時間がに余裕があれば寄り道をしたかったが、ウインカーの修理にバカな程時間をとられ、かなり余裕が無くなってきてはいた。

 苫小牧市内では夕方に近づいたせいか、薄暗くなってきて雨も本降り、少々ヤバイ雰囲気になってきた。加えてリザーブになってからGSが全然見つからず、焦ってくる。ダラダラ走っているうち、何故か昼飯を食べそびれてしまい、猛烈に腹が減ってきた。
 数本の国道が合流、分岐する苫小牧市内で何度かR36を見失う、物事が順調に進まない時は概して色々な細かいトラブルが出てくるものだ。車の通行の邪魔にならない所でくどい程に現在位置を確認、R36になんとか合流し、GSも見つけガソリンは確保した。途中の白老町「ホテルウエシマポロト」で温泉に入る。腹の減りは温泉に入ることでも、幾分和らぐのだなとこの時、実感した。
 コーラ色のお湯は見た目は独特だが、シャンプーも石鯖も問題なく使える素直な泉質であった。風呂場から外を見ると、「ポロト湖』が大雨に降られ、風に吹かれて大きな漣がたっていた。
 室蘭のフェリーターミナルに到着したのは午後七時ごろだっただろうか。ここに来る直前にでも集中豪雨でもあったのだろうか、町の到るところで洪水が発生していた。地の理に明るくない場所では、一年振りに訪れると、その町のおおまかなイメージは残っているが、結局は方々迷ったあげくにようやく目的地を見つけるというパターンに陥る,特に馴染みの薄い都会(?)では夜にでもなったらそれこそ、ニセコの山といい勝負だろう。
 室蘭発のフェリーは台風接近にも係わらず、定刻には出港するという。だが、外洋に出た際には海象がかなり悪いらしく、「二~三時間の遅れがでるかもしれない」とビル内のアナウンスがわめきたてていた。しかし、船のベッドで横になっていれば二~三時間の遅れは大して苦にならない。その点は飛行機や電車に比べても優れている点だと思う。

 階段の手すりや仮眠室の到るところに雨カッパが掛けられている。天気の良かった去年とは対照的にカラフルなターミナルビル内にて、無事に夕食にありつける事が出来た。そして一服しようとした所で・・・・

「・・・・・ない!!!Z2のジッポーが!!!」

 恐らく百円ライターと併用して使っていたので、最後の休憩他の「白老温泉」の休憩所
に置いてきてしまったのかもしれない。
あ~あ、とても気に入って使っていただけに、メチャメチャ悔しい。ブルーな心境のままフェリーに乗り込む、帰りの船はバイクから荷物を下ろさなくても大丈夫なので、身の周りの物だけを抱えてサッサと自分のベッドに直行した。
 深夜、フェリーはかなり動揺していたようだがドロのように眠っていたので、殆ど安眠を妨げられる事はなかった。