○ 八月十一日 渡島半島を南下
午前七時三十分 ニセコキャンプ場~大成町キャンプ場
今日も一昨日、昨日と全く同じ天気である。こうも続くととたんに曜日の感覚が狂ってしまう。ふとテントの外に出ると見たことのあるゴミが一面に散らばっているのが目に入った、「やられた!」犯人はキツネであることは直ぐに察しがついた。キャンプ場の管理人にキツネに気を付けてと言われ食べ物の残りは二重にしたビニール袋に入れて前室の中に入れておいたのだが、奴等はここから引っ張り出して悪さをしたようだ。思ったよりも彼らは食べ物に対しての執着が強いようである。濃霧の中、荷物をまとめびしょ濡れになっている相方に括り付け朝なのか夕方なのか分からないニセコの山を後にした。
来年ここにもう一度来るつもりである、その時まで絶対に「後方羊蹄山」登山は諦めない。ニセコパノラマラインを岩内に向かって下る、道路はすでに乾いていて一日振りのフル積載でも走りやすかった、このまま海岸に降りても天気はこのままであろうと思っていたが、それは山と海の違いで標高がある程度下がってくると飛行機が雲の下に出てきたかのように霧が晴れ視界が急に開け日光まで差してきた。
岩内の町は晴れた朝を迎えていた、キャンプで溜まったゴミを燃えるものとそうでないものに分けてゴミ置き場に捨てて(今日がちょうど収集の日だったのは良かった)海岸沿いの国道R229を南下する。フェリーでみた緑色の崖が続く道を淡々と走る。
ここは内地をツーリングした時も見たような光景なので北海道を走っている実感が湧かない。ここは確かに北海道なのだが、出発前に多くの雑誌やガィドブックを読み漁ってイメージを膨らませてやってきたのだが、道内ではもっとも内地に近い景観をもつ道南なのでいたしかたないか。のんびり休憩をしながら走り、腹が空いてきたので早めの昼をとる事にした。
場所は瀬棚町、あの奥尻島へのフェリーが出ている所である、そして道内有数の海水浴場がある所でもある。ここの食堂で自分は一つ、北海道に来たら苦手な海産物を食べて好き嫌いをなくそうという目標を立てていたので、注文を開きにきた店員に「ウニ丼下さい」といった。
しかしウニの季節は終わってしまったとの事で無いと言われたので間髪入れず 「イクラ丼」。内地で普段絶対に口にすることのなかったこの未知の食べ物を本場で食べれば好き嫌いは攻略できると考えていたので運ばれてくるのが非常にたのしみであった。
「ィクラ丼おまち~」目の前に置かれた丼の蓋を開け、醤油をタラタラと垂らしてガツガツとまるで大好物を口にするが如くかきこんだ。率直にいって皆が口を揃えてウマィウマィと騒ぐほどこの時旨いとは思えず、醤油漬けのィクラに更に醤油をかけてしまったのでただただしょっぱくなってしまい失敗してしまったようだ。もっと市場で売っているような新鮮なやつを買ってきてあったかい御飯に乗せて食べればもっと旨いと思えるだろう。
不味いとは全然思わなかったので、あと何回か食べれば好物の一つに加わると思う。

瀬棚で食料買い出しを済ませ更に南下する、今日は早い時間にテントを設営してたまった洗濯物を乾かしたかったので到着した大成町キャンプ場に着くなり、さっさと荷物を下ろし濡れたものを全て芝生にひろげ夕食の下準備をすませ近くの国民宿舎で風呂に入り、夜を迎えた。
だが、ここの夜は最悪であった。海沿いで気温や湿度が高く寝苦しかったのもあったが周りのファミリーキャンパーのマナーか悪く夜おそくまで花火をしたり(八時)すぐ近くで宴会をして大声で騒いでいたり(十時)と一向に静かにならず、結局そこまで歩いていって注意する羽目になったり、最後明け方には連れてきた大が吠えて自分のみならず周りのキャンパーまでも起こしてしまう(朝三時)など悪い事だらけで自分は一睡もできなかった。四国祖谷キャンプ場以来の徹夜、これで来シーズンはキャンプ場は二度と使うまいと決断したのもこの日だった。 |