因縁の山その1 石鎚山 5.16
時刻は7時。間もなく、日没である。ここは、標高1500メートルのシラサ峠キャンプ場。今朝は、朝から25度の松山市のYHから出てきた。半袖でもじっとしていると汗ばむような陽気。しかし、ここはまだ春になったばかりといった状況。周りが暗くなってくると同時に、空気がグッと冷え込んできた。本日の天気は快晴。空気も乾燥している。放射冷却の条件は充分に揃っている。今夜から明日朝に掛けては相当の冷え込みが予想される。
でも、そんなことは分かっている。それだけの装備は十分に揃えて来た。気温が氷点下2桁にでもならない限りは安眠できるだけの暖は取れるようになっているので、まったく心配はしていない。
なにせ、ここでは痛い目に合っているのだから。そう、今を遡る事4~5年前。あの、悪夢のような山中行から時は流れた。それまでの間、様々な自然環境のなかで幕営をしてきた、雪の中以外には。だから、何でも来い。掛かって来なさい。こっちは、ちっともビビッてはいない。以前の教訓、あまりの山深さに予定外に移動に時間が掛かり、日没ぎりぎりになってからテントを張った・・・・今日は昼過ぎには山に入り、からっとしたお日様の下でゆっくりとテント設営。

以前の教訓、ピストンルートを嫌って寒風山側から無謀にもフル積載の相方と共に13キロに渡るガレガレダートの「瓶が森スーパー林道」を走った、疲労困憊、途中で発狂しそうになった・・・無料化した「石鎚スカイライン」側からのルートを迷わず選び、そこまでの国道も交通量が多い幹線道路を走り繋いで快適に移動できた。先日発生した「芸予地震」の影響で幕営を予定していた「面河渓キャンプ場」は閉鎖されていたが、時間も午前中だったので全く慌てず、シラサ峠まで登る事に計画を変更。
以前の教訓、限られた日程の中での強行軍、大雨の中無理を承知で山の中に入り、結局3日間動きが取れなくなり、それまで考えていなかった食料を小分けにしたり、テントから極力出ないようにして体力を温存し、昼飯を抜いたりしてなんとかやり過ごし空腹との孤独な戦いを山中で行っていた。

YHを出発前に天気予報をじっくりチェックし天候の崩れがない事を確認、およそ考えられるだけの食料を多めに買い、山中に入る前に準備を万全にした。以前の教訓、バカ正直に荷物を抱えて急な坂道をエッチラオッチラと相方とキャンプ場との間を往復して更に体力を消耗した・・・水場からは多少遠くなるがキャンプ場から少し離れた道路沿いにベンチのある草っ原があった事をその昔覚えていたので迷わず相方ごとそこに乗り入れ幕営。
だから、なにも不安はない。ただ、気温の低下でランタンが暗くなり、キーボードが見えにくくなる、気温が下がり手が少しかじかんで来た事を除いては。明日は、その因縁の山の「石鎚山」、以前に「今度来た時は絶対にあんたを征服してやる」と若さに任せて息巻いていたあの山に登る。そう、四国に置き忘れた2つの荷物の内の一つはこの「石鎚山」登山だったのである。それを、明日取り戻しに行く。
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