さらば九州、ご無沙汰四国 5.15
良く寝た。久しぶりに熟睡した。夕べの夕食も美味しく食べられた。味覚も味わえたし、気分も悪くなかった。朝飯もカップ焼きソバにシーチキンのマヨ醤油和えというシンプルな物だったが、全部食べられた。
夕べの寝つきも良かった。9時には明かりを消してシュラフに潜ったが直ぐ記憶が無くなった。起きたのは、朝の8時半。野宿している者としては遅い方である。天気は曇り、朝日に照らされてテントから燻り出される事も無かった。10時半には荷物を全て相方に乗せ、暖機開始。その間、何故か押し寄せてきた中学生の団体さまが横で長縄跳びの練習を始めたが、係わり合いになりたくないので、さっさと出発。
まず、明礬温泉入り口にある「保養ランド」に直行。あの、膝まで泥に浸かる強烈な温泉だ。自分のお気に入りになってしまった。1050円と少々お高いが、入ってて如何にも「温泉らしい」情緒は今までの九州の温泉の中ではトップクラスの「硫黄くささ」なので、ここは本当にお勧めである。

さて、その「硫黄臭さ」が体の芯まで染み渡った所で出発、「保養センター」の直ぐ近所にあるDIYショップで、ランタンのガスカートリッジを購入。ところが、自分のランタンはEPIGas製。ショップにはそれは無い。そんな事もあるだろうと想定して、ランタンの金具の部分だけ分解して持って来てあるのだ。店員に変に悟られないようにして、金具のサイズが一緒の事で有名なイワタニプリムスのカートリッジを手にとり、金具を取り付ける、締め込みOK、バルブを開けるガスの出OK。店をでて、今度は大分へ。
まず、フェリーターミナルに寄って場所の確認と乗船名簿を貰って予め必要事項を書き込んでおく、乗船受付は2時半からなのでそのときの時間は3時間近くあった。そこで、この時間を利用して色々な用事を済ませる事にした。まず、郵便局で現金補充。次、コインランドリーで洗濯物を放り込みスイッチオン。その間に偶然大分駅前を通りかかった時に見つけた「吉野家」で昼を済ませ、コインランドリーに戻る、洗濯は完了していた。次に乾燥機に投げ込んでスイッチオン、近所のコンビニに行き船の中で食べる夕食の買出し。コインランドリーに戻る。乾燥終了。
時刻は2時45分。バッチシである。迷い無くフェリーターミナルに戻り、モタモタと乗船名簿に書き込んでいる一般客の横を素通りして乗船手続き完了。なんともなぁ無駄のない事。こんな生活を送っていると頭も良く廻る。野宿生活しているから、さぞかしのんびりしているのかと思われがちだが、全て身の回りの事は自分でやらなければならないので、そんなことは全く無いのだ。野宿者は忙しい時もあるのだ。
定刻通り、船は大分港を出港。出発の銅鑼も鳴らさず、汽笛も鳴らさず船は静かに岸壁を離れた。港の中で180度巨大な船体を廻す。船尾の甲板に居る自分の正面に夕暮れ時を向かえた大分の町、そして九州のやまなみが見えてきた。
さらば、九州。
約半月間の滞在であった。いい事も、やな事も、辛い事も楽しい事もあった。晴れの日も、嵐の日もあった。寒くて凍えそうな日、暑くて干上がりそうな日もあった。・・・さて、もう一度行きたいか?う~ん、自走ではもう行かない。そして、九州の中でもまた行くとしたら、「やまなみハイウェイ」周辺だけになるだろう。屋久島も種子島ももう行かない。礼文島や利尻島に比べて今一の島情緒だったから。そう、自分にとってのまた行きたい所の定義は北海道・信州である。どうしても、そこと比べてしまうのだ。北海道には
去年行き損ねたので、今年は絶対に絶対に行く。
でも、九州や西日本は今回の旅でやる事はやったし、行きたかった所は全ていったし、思い残す事は無い。でも、北海道のように何回も同じ所に行きたいとは余り感じなかった。それは、何故か?やはり、所詮は「内地」なのである。全てに於いて、単車・野宿・一人旅をする者にとっては今一、居心地が良くない。キャンプ場の金額然り、道路の走り易さ然りである。後は、四国での2つの山を登ってしまえば本当に西日本でやるべき事は片が付く。旅ももうすぐ中盤から後半になる。
定刻通り、船は松山港に到着。我々が松山の街中に入ったのは8時半頃。船を下りるまえに、夜の街を走るからには・・と地図と睨めっこしてイメトレは済んでいた。しかし、それが有効だったのは道後温泉本館まで。その後が分からない。狭い街中をフル積載の相方と共にウロウロと彷徨う。
ある交差点ですれ違いザマにバイクにクラクションを鳴らされ、街中を付け回された。こっちは、宿を探すので一杯一杯だったので、無視して走り続けた。
しかし、信号待ちで止まったら横に並ばれ話し掛けられた
「何処行きはるんですか?」
振り返って見ると、荷物を載せた250のスクーターであった。
・・・何だ、普通のバイクじゃねえか。こっちはてっきり新手のポン引きかと思ったぜ。
「YHまで」
信号を見ながら応える。
「長旅ですか?後ろの荷物を見て付回してきてすんません」
「ええまぁ、ところでYHが何処にあるか知ってる?」
「いいえ、知りません」
こいつにもう用は無い、信号が青になった、挨拶もそこそこに発進。相手もそこで気が済んだのか、もう追いかけてくる事は無かった。・・・全く、脅かしやがって何が目的だったんだよ、俺はお前みたいに人の後をストーカーみたいに付回しているほど暇じゃねぇの。
結局、道後温泉駅前の交番にて場所を聞いてYHは直ぐに見つかった。別府の熱泥温泉では頭を満足に洗う事が出来なかったので、ここで頭だけでも現せて貰う事にした。館内を探すと、シャワールームが空いていたのでそこを使う事にした。広さは大人が2人入ってしまったら満員の本当のシャワーオンリーの浴室である。
ここで、自分は思わず「モンダミン」の置いてある場所を探してしまった。分かりますよね、この事。大人の野郎だったら、皆まで言わんでも分かるでしょ?勿論、その「モンダミン」か「リステリン」を渡してくれるのはオネイチャンである。さ、ここまで言えば充分だ。そう言う事だ、この場所はそんな事を思い出したの、久しぶりに。帰ったら行くぞ!早速。
てな感じで、松山の夜は更けて行くのでした。おしまい。
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