YAMAHA XV1600ロードスター 初めてのクルーザーツーリング 2000年の冬頃にかつて俺が勤務していたBMWディーラーの社員旅行で沖縄に渡った。 現地に到着して初日こそ全員が団子になって移動していたものの、その翌日からは完全自由行動となっていたので、俺以外の社員達はそれぞれの観光地に散っていったり、夜の街に繰り出す為に昼間から部屋の中でゴロゴロして飲んだくれていたりしていた。 当然、俺はそんな不健康な事を沖縄くんだりまで来てしたくは無かったので即断で単独行動に移った。 何をしたかといったら、レンタルバイクで沖縄本島をツーリングするというものだった。 ホテルの直ぐ近くにレンタルバイクショップが有り、乗りたいバイクは何にしようかと店に向かいながら考えていた。 「スーパースポーツは峠も無いから意味が無いし、オフ車で林道走るにもハブが怖いし・・・」 そこで消去法により導き出された答えが「クルーザー」になった。 クルーザーとか所謂「アメリカン」の事。俺はアメリカンという表現は正しくない事を知っているので敢えてこの言葉でこの手のバイクを表現している。 店に到着し、レンタルしたい事の旨を伝えると、店員からハーレーは生憎出払っているとの事。 これは残念だった。ハーレーなんて俺が一番興味を持たないバイクだっただけにこういう機会でも無ければまず乗る事もない。 それに似たようなものということで、俺が出した希望条件は「とにかく排気量がでかいヤツ」と言う事だった。 そこで引っ張りだされてきたのが、ヤマハのXV1600ロードスターだった、 ![]() 当時は新発売されたばかりだったと言う事とレンタルショップがヤマハ系列だったと言う事もあって店員は妙にこのバイクを強く勧めてきた。 店頭でエンジンを掛けてみると、確かに1600CCの野太いエンジン音は聞こえるものの、HOGのような弾けるノイズがないのが何とも心もとない。 つまり重みは有るのだが、迫力に欠ける訳だ静か過ぎて。 しかし、他に余っているバイクは250のロードタイプやスクーターしかないということなので、こいつに一日付き合って貰う事に決めた。 |
ところが走り始めて思った、意外と楽しいのだ。 飛ばす時は峠や林道で飛ばすが、基本的に俺のスタイルは巡航である。つまり周囲の車の流れに逆らわず邪魔にならない程度にゆったりと流すというもの。 ましてや、沖縄のような島国だったら飛ばして走ったところで、終点は直ぐだし、それにもましてこの島が放つ独特のゆったりした空気感、そして澄み切った南国の空の下では目を三角にして走るのが馬鹿馬鹿しく思える。 だから、ハーレーすらも上回る大排気量のバイクで4~50キロ程度で流すのは中々に丁度良かったのだ。 「クルーザーも悪くないな」 食わず嫌いの典型かもしれない。でも、まだ欲しいとは思えない。 粗探しをするつもりではないが、この手のバイクの最大の欠点は積載量の絶対的な容量不足と安定感の無さ、真価を発揮できる道路はあくまでも緩いコーナーが少し混じったほぼ真っ直ぐの舗装道路しかない。 ダートを走ればすぐ底付きするし、バンク角も泣けるほどに小さい、エンジンも低中速に振ってあるのでピーキーな走りをしたくても出来ない。そして国産であろうが欧州車であろうが、この形のバイクを見るとみな「ハーレー」と認識してしまうところだ。 まだ、欲しいとは思えない。 もっとジジイになって宿泊まりのツーリングしかしない、足つきが不安になってきたという位まで衰えなければ、触手は動く事は無い。 これはこのバイクに一日半(その晩は帰りが遅くなったので、ショップに連絡し一旦ホテルに連れて帰った)付き合った感想である。 さて、肝心の自身初の沖縄本島ツーリングであるが、まずもって詰まらなかったの一言。 道路が乾いているのにグリップ感に乏しい、これはアスファルトの中に貝殻を混ぜているせいとの事、なに余計なことするのか。 景色は隠岐の島や四国の瀬戸内のようなダイナミックな地形の変化も特になく、南房総や伊豆半島を走っているのと大差無い。 あと最悪だったのが交通渋滞の酷さ。本当には魚の背骨のように幹線国道と呼べるものが一本しかない。なのでホテルに戻る時の夕刻時は東京都心のお株を奪うような大渋滞に巻き込まれ乗って居るマシンの排気量の大きさも手伝って真冬だというのに汗をかきながら走るという羽目に。 元々俺は大陸をぶっ飛ばして走るようなスケールの大きな場所が好みだ。本州よりも北海道、北海道よりもオーストラリアである。 地平線至上主義なのである。 ゆえに馴染みのないクルーザーというバイクに乗れたのは貴重な経験ではあったが、それ以外に得る様な物は無かったと言える。 沖縄はバイク乗りにとってはつまらない場所だ。 この投稿の関連画像はこちら。 【完】 |