そのホームは、川沿いに建っていた
水回りは、不思議な霊を呼び込む。
特に東に面した角部屋は、次から次へと利用者が変わった
ある人は病死、ある人は入院して帰らず、ある人は突然退居した。
わたしは、管理者から「塩盛り」を頼まれて、結界の真似事をして塩を盛った。
ある夜勤時のこと
リビングルームには、カラオケ用のカセットデッキが、テレビに備えられてあったが
それが突然スイッチが入り、テレビがついて「瀬戸の花嫁」が流れ始めた。深夜2時だった。
スイッチを切って、事務用のデスクに戻ると
目の前の103号室の、締めてあったドアが、静かにスライドして開いた。
この部屋には誰もいないのに。