私は65歳になったが、その昔、北の地の果てで介護福祉士をしていた。

今から13年前、介護福祉士の試験を受けた。私は自分の衰えた能力を知っていたから、1年かけて問題集を2冊丸暗記した。
そして、釧路という寂れた港町にでかけ、ホテルに泊まり翌日は試験というその夜。入念に予習のテキストを開いた私は、意外にも「覚えていない」問題が多いのに気がついた。

あっ、これも知らない
あっ、これもだ
やばい、これが出たらアウトだった!

そして臨んだ当日
昨夜、眺めた問題が、順番に出てきた

あっ、これ夕べの
あっ、これもだ
あれれ、これも、これも

信じられないが
ペラペラめくって眺めた問題が
全部出てきた。

しかも、すべて「落とすための」
引掛け問題ばかり
あるいは、現代には全く無用の
歴史の遺物のような問題

私は、満点だった。
とても不思議なことだ