遠い昔に、海の見える教会で洗礼を受けた。
コミュニケーションが不得意な牧師がいた。
礼拝に集まるのは、元アル中、統合失調症、うつ病、この人たちは、どこから見ても普通だが、頭の中は、口からアブクを吹いて暴れまわる真っ黒な馬が潜んでいた。
聖書の中に「無慈悲な主人に仕えなさい」というフレーズがある。
実際にわたしは、その「主人」に長い事仕えた。
嫌で嫌で、嫌で嫌で毎日ため息をついて、出勤した。
そこを辞めて17年が経つ。
人間には、誰でも。
いつか、自分とはまったく異質な存在と、向き合う時間が来る。
まるで、お前が来るのを、待っていた。
と、言わんばかりに、腕組みをして
わたしの風上に立っていた。