視覚障害者の復職 | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

視覚障害者の復職

昨日、9年前に視覚障害のリハビリ受けた大阪のセンターに修了生として体験発表に出かけた。
昨年兵庫の盲導犬施設に見学に出かけて以来の単独での遠出である。

今回も白杖一本でどうにかなるかと家を出発。
まずはjrの駅までバスに乗る。
やはりバス停を一発で見つけられず通り過ぎてしまう。
引き返して立ち止まっているお姉さんに
「バス停はここらへんですよね?」
と質問。
その人も駅までバスで移動するとのことで一安心。
 
バスがまもなく到着し乗ろうとするが入り口がわからない。
先ほどのお姉さんが
「バスがきましたよ。入り口はこちらですよ。整理券も取ってあげましょう。」
と親切にサポートしてくれる。
どこがあいているか分からないので手すりにつかまり立っていると、
「どなたか空席を教えてあげてください。」
と運転手のアナウンス。
「こちらへどうぞ。」
とさきほどのお姉さんがまたまた登場。
他の人は一言も声を発せず。

駅について切符売場と改札口へ向かう。
ここは前回悪戦苦闘したところなのでどうにか自力で行き着く。
しかし切符の自動販売機を使用することができず、改札口付近に立っているらしき駅の従業員らしき人に「すいません、切符を買っていただけませんか?そして大阪の駅まで誘導をお願いします。」
と頼む。
快く了解してくれていつもの完璧な手引きで大阪の駅まで到着。
少し早く着いたので昼飯を食おうと到着駅の誘導の若い男性に
「ここらへんにラーメン屋かうどん屋はないですかね?」
と聞いてみる。
すると改札口出て駅前の100メートル歩いたラーメン屋さんまで手引きをしてくれる。
何と親切なJRの応対に感謝である。

そこからセンターまで歩いて15分くらい。
昔徹底的に歩行訓練受けた所なのでどうにかなるかと思いつつ白杖スリスリ歩く。
しかーーし、ラーメン屋からの歩行訓練受けてないのでいつもの道順と違い今ひとつ方向がつかめない。
途中で車の近くに立っている男性にセンターの方向を聞いて近くに公園があるのを確かめ近くまで来ていることを確認。
あとは目印になる建物を目標に歩きどうにか行き着く。
どうにかなるものである。

センターの玄関から入り応接室に通される。
お世話になった職業訓練部の先生が出迎えてくれてわしの他の3人の修了生とも対面しお話をする。
時間になったので訓練生8人をまえにいろいろな事前の用意された質問に答える。
少し不安げな訓練生と就職までこぎつけた修了生ではやはり話し方や態度が違う。
やはり修了生は自信に満ちた明るい様子が伝わってくる。

訓練生の中にわしと同じ職場復帰を望んでいる方がいた。
その人は少し視力が残っていて会社の中ではかなり上の人であり管理者のよう。
年はわしより一つ上である。
最初はいろいろとわしに聞かれることに答えていたがどうもまだ今までの管理者としての栄光が頭の中にあるのか、ちょっと一言一言が花につく。
体験談発表が終わりその3人の修了生と二人の指導員でお酒を飲みにいく。
その間もその人は少し見えているので「私は見えているのであなたもう少し左へ、会談がありますよ。」
といろいろと指摘する。
わしを手引きしてくれた同じ修了生の女性もまだ視力が残っているので大丈夫なのにその人にも
「大丈夫ですか
大丈夫ですか?」
とちょっとその女性も困った様子である。

飲み屋についても隣の指導員をつかまえて
「今年のボーナスはがくんと下がって100万円しかなかった。」とか
「私は2級で厚生障害年金を月25万もらっている。」とか
「もう少し視力が悪くなったら生命保険の脂肪特約が何千蔓延おりる。」
とか聞いてもないのに話している。
あんまり自分の個人情報をベラベラ話すもんじゃあないよ、おっさん。
他の修了生もわしもギリギリのところで訓練受けてここまで這い上がってきたんよ。
あんたみたいに下がったとはいえ高額な給料もらって出勤扱いでセンターにパソコン習いにきているような人はおらんのよ。
自分のことばからええようにいわんのんよ。
と思いつつ帰りの電車が一緒になり、必要に話しかけてくるのにほどほどに応対し分かれる。

生まれつきの全盲ではあるが大学まで点字受験で入り卒業し公務員の試験受けて市の職員になった若い女性も帰りの電車が一緒だったが、
「電車のドアまで案内しましょう?ほんとにここから一人で大丈夫ですかぁ?心配だなぁ?」
とあくまで自分が見えているので優位なしゃべり方。
彼女は毎日この駅使って通勤しているんだから大丈夫じゃよ。
先天性の全盲で今まで白杖使って歩行していたんだからあんたより周りの状況はつかめているよ。
と思いつつ、わしも途中で乗り換えのために下車をする。
 
夜の10時に無事自宅に着く。
下の両親はわしの帰りが遅いので
「大丈夫だったかぁ。」
とめちゃくちゃ心配していた様子。
大丈夫、大丈夫。
周りの人のサポート受けて援助依頼していけばどうにかなるものよ。
妻も娘もわしのことはよくわかってくれているので何事もなく
「おかえり。」と迎えてくれる。

まあ、久しぶりに他の視覚障害者の体験談などもお聞きして勉強になったなぁと思ったのでした。