お城見学 | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

お城見学

 今日は会社は休みであった。
 午前中、妻の手引きで眼科に行く。
 3ヶ月ぶりに診察をしてもらう。
 測定するほどの視力は残っていないので、眼圧のみを測定して診察室へ。
 眼底を見てもらい、網膜の色素が随分変色している歩かは、白内障の心配もなく、視神経はしっかりと生きているそうである。
 網膜自体を再生できれば再び視力が蘇るのではとかすかな期待を持つ。
 いつも処方してもらう「あだプチノール」というドイツ製の薬が全世界的に原料不足で入手できないとのこと。
 メバチコールのみの薬をもらい、駅前の文房具屋でプリンタの用紙を買う。

 あまりにも転機がいいのでちょっとした駅弁とお茶と湾カップを買ってお城へ花見に再度行く。
 平日だというのに多くの観光客とご老人軍団が花見に来ている。
 12時を回っていたので高校生らしき学生も多く花見をしている。
 妻に周りの花の様子を聞きながら弁当を食べる。

 飯を食ってから久しぶりにお城の中まで入り見学する。
 わしは障害者手帳を持っているので、妻ともども無料とのこと。
 相変わらず昔の状態のままのお城に感激する。
 外人さんも多くいろいろな言葉が飛び交っている。
 わしは視覚障害のため、木の香りと踏みしめる床の感覚、柱を触る感覚を楽しむ。
 400年前にはこのお城の中をちょんまげ結った侍やお殿様が行き交っていたのかと思うと何か不思議な気分である。
 目の見えないわしを手引きをして回りの上京を聞かせてくれる妻に感謝である。
 帰りがけに吹きすさぶ風に桜の花びらが散っているとのことを聞く。
 顔に妻の右ひじを持つわしの手に花びらが当たるのを感じる。
 春爛漫ですねぇ。