わしの見え方

　過去、何度もわしの見え方がどんなもんか書いてきた。
　けんど、はっきり意って自分でもどんなもんかと思うことがある。
　全くの全盲でない。
　調子のいい時はよく見えているような気がしているのだが、妻曰く行動が怪しいのである。
　まだら上に周辺部の視野が残っているので、言えの中でも見えていると進むとガツンとぶつかる。
　前に人がいても、顔の輪郭は分かるが顔の表情はまったく見えない。
　調子のいい時は、眉毛や目ん玉や口の一部だけがちらと見えるのである。
　今、パソコンに向かっている部屋の状態を見渡すと目の前のパソコンの全容は見えているがスクリーンの字は見えない。
　天井の照明のアカリは見えているがどんな証明の傘の形をしているのかはわからない。
　息子がアイポッドの充電をさせてくれと部屋の中に入りわしのノートパソコンのUSBポートにコードを差し込んでいるがその様子は見えない。
　けんど左横のドアにいる息子の様子は結構はっきり見えている。
　
　最近マウスの皮膚や肝臓から作ったES細胞で網膜を再生させる実験が成功をおさめているとのうれしいニュースが聞かれるようになった。
　5年後には人への移植もできるとかできないとか言われている。
　わしの網膜色素変性賞の患者数は、日本では3万人といわれている。
「結構好くナインじゃねぇ。お父さんは貴重な存在なんじゃねぇ。」
と、妻はあっけらかんと言う。
　けんど、
「これでお父さんもまた見えるようになるんかいねぇ？」
と少しうれしそうな声。
　わしにも将来が見えてきたかぁ？
　けんど、今は今で結構、充実した仕事と生活をしているので、だめもとって気持ちで・・・けんど、少し期待を持って見守って行こうと思ってますです。