さかさま人間 | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

さかさま人間

 わしのやることは全てさかさまである。
 視覚障害で目が見えにくく、自分で確認することができないからだとも思うが、やることなすこと全てさかさまなのである。
  今日も寝室のベッドにひいてある電気敷布を直そうと、かけてある布団と毛布を跳ね除けて電気敷布を直した後、もとのように毛布と敷布団を戻そうとした、しかーし、妻のかけている毛布の上下が分からない。
 何かタオルケットらしきものが縫い付けてあるのだが果たしてそれが顔のほうにくるのか足のほうにくるのか迷ったあげく、足側にしておいた。
 そしていざ妻が布団に入ったときに、
「あれー、何か変じゃね。お父さん触った。」
そうわしが妻がきれいにしておいたものをわざわざさかさまにひいてしまったのである。
 シャツはさかさまに着る。
 こうかなと見ているつもりの本はさかさま。
 靴下は裏返し。
 妻もいい加減あきらめたのか何も言わなくなったが随分頭にきているんだろうなぁ。
 ごめんちゃい。
 決して悪気はないのです。
 妻もそれがわかっているので怒るに怒れず、あきれかえっているみたいです。
 今度、こうだと思った反対のことをしてやれば、ちょうどいいんじゃないかとも思いつつ、試してみちゃろうと思うのでした。