寒波到来 | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

寒波到来

 とにかく寒い。
 朝、妻が、
「お父さん、今日は寒くなるからコートを着ていった方がええよ。どうする?」
と聞いてきた。
 大丈夫カナとも思ったが、言われたとおりに今年初めての冬用のコートを着て言った。
 会社からの帰り道、やっぱし寒い。半端ではない。
 言われたとおりに着てきてよかった。
 
 わしは暑いより寒いほうがいい。
 暑いと、服を脱ぐのにも限度があるが、寒いととにかく余分に服を着てやればいいのである。
 寝るときは必ず靴下をはいて寝る。
 これで随分違うもんである。
 もう少しすると、ズボンの下にタイツもはく。
 これがまたぬくい。
 一度はくともう駄目である。
 毎日タイツのとりことなってしまう。
 
 最近、朝起きると、まず窓を開けて外の空気を吸う。
 ひんやりとした冷機の中に、冬の匂いがする。
 それに何か昔、子供の頃にかいだことがあるような懐かしい匂いもする。
 今日も生きているんだと思う。
 周りの景色が見えたらもっとええんじゃけど、悲しいかな、霧がかかっているように白くにごっている。
 たまに、なぜかしら調子がいい時は、部分的に妙にはっきり見えることがある。
 すると逆に見えている箇所が迫ってくるようで怖い。
 白杖使って前を確認しているのに、見えている箇所の物体がこちらに迫ってくるのである。
 今、また視力が回復したらどうなってしまうんでしょうねぇ。
 ヒトの顔をどのような感覚で見てしまうんでしょうねぇ。
 夢の中でははっきり見えているとは言え、最近はその表情が人形のような無表情のものとなってきているような気がする。
 このままどんどん見えなくなってしまうんかいなぁ?
  まあ、なるようにしかならんか。