酔っ払いは優しい | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

酔っ払いは優しい

 会社からの帰り道、酔っ払いの集団に出会った。
 わしはいつものごとく、ショルダーバッグを肩にかけ、白杖カンカン点字ブロックを頼りに歩いていた。
 連中は宴会が終わった同じ会社の一群らしかったが、先頭を歩いていた課長らしきおっさんが、
「おーーい、道をあけろよー。」
と大声で怒鳴った。
 そしてわしが
「すいませーん。」
と通る傍ら、
「じゃましてごめんなぁ。気をつけてなぁ。」
と優しい声をかけてくれる。
 
 晴眼者が道端で視覚障害者をみかけた時に、どう対処したらいいかはわからずどぎまぎしているのだろうが、酔っ払ってしまうと本心が出るのか、どなたも優しく接してくれるのである。
 
 以前も酒臭いおっさんが
「前に車が停まっているでぇつかまりんさい。」
と誘導してくれた。
 世の中捨てたもんじゃないんだとつくづく思うのでした。