学生カバンの行方 | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

学生カバンの行方

 息子が学校からしょげて帰ってきた。
「学生カバンを盗まれた。」
とポツリ。
 学校の帰り道に自転車を停めて貸しCDを返却する間、ちょっとの時間だからと自転車の二台に学生カバンとコンビニで買ったお菓子を置いたままにしていたという。
 しばらく回りを探したが見つからず、やむをえず帰宅したのであった。
 中には貴重品は入っていなかったが、学生証と教科書とノートプリント、そして息子が一番気にしていたのが弁当箱であった。
 わしはすぐにその貸しCDショップに電話して届出があったら連絡してくれるようにお願いをし、近くの交番に電話した。
 すぐに被害届を出しにきてくださいとのこと。
 わしは目が見えないので息子と妻が自転車で出かけた。
 40分くらいたってから他の交番から電話があり、家の前に置いてあったカバンを見つけてくださった方が、10時を過ぎているのにもかかわらず、明日の学校に困るだろうと、わざわざすぐに届けてくれたとのこと。
 妻の携帯に電話して、折り返しその交番に受け取りに行って、無事一件落着であった。
 家に戻りカバンの中を調べてみると、お菓子と弁当のお箸だけがなくなっていたとのことである。
 お城に近い商店街でもあり浮浪者が多いので置いてあったカバンを食べ物と金目の物がないかと取っていって、律儀にも家の前に見つけやすいように置いてくれたのであろう。
 わずか2時間の出来事。
 今頃息子のお箸を大事に使ってくれているのかなぁ。
 けんどすぐに見つかってよかったよかった。