浴衣祭り | new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~

浴衣祭り

 今日、会社から帰ると妻がポツリと言った。
「今日は子供たちは、
浴衣祭り
に行っていないんよ。」

 そう、高校2年のお兄ちゃんは、吹奏楽部の後輩と、中学1年の娘も女友達と、ここ地元では有名な祭りに出かけたらしい。
 西日本では最大の800件もの屋台が出展して、盛大に行われるみたいである。
 
「子供たちも、それぞれ自分の周りの友達や、学校のめんめんと行動をするようになったんじゃねぇ。」
と、妻と2人で夕食を食った。
 久しぶりの妻と二人の夕食もまんざらでもないような気がした。

 今日は酒を飲むつもりはなかったのだが、なぜかしら焼酎をお湯割で飲んだ。
 なぜかしら酔っ払いたいような気がしたのである。
「もう10年もすれば、子供たちはわしら夫婦の元を離れ、独り立ちしていくんじゃろうねぇ。」
としみじみ感じた。

 そんな時がいずれくるかと思うと、子供たちのことをあまり気にしすぎて毎日を過ごすのも疲れるんじゃないかと思った。
 子供たちは子供たちで、それぞれ自分のことお考えているんですよねぇ。
 そう言えば、下の娘が、
「私は将来絵の専門学校に行きたいんじゃけど、どんなとこがあるんかいねぇ?」
と聞いてきた。
 塾の先生にも同じ質問をしたらしい。
 漫画コミックを買いあさり、インターネットでそれらのサイトを見まくり、時間があると、机にしがみついて漫画を描いている。
 勉強をするときとは違ったものすごい集中力である。
 どうしても、漫画家を目指してがんばりたいらしい。
「けどね。絵の専門学校に行くにも、とりあえずは高校を出てからの話じゃよ。」とは話したが、彼女は彼女でいろいろ自分の将来について考えているらしい。

 昼間は強い雨が降ってたけんど、今はすっかりやんで、ひんやりとした風がベランダから流れてきてますです。
 お兄ちゃんは、自分の部屋で好きな音楽を聞いて一緒に歌ってる。
 娘は期末試験の勉強をしている。
 妻は今でうとうととしている。
 わしは畳部屋で、ほろ酔い気分でパソコンに向かっている。
 明日は、雨が降らないといいんじゃけどね。